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阪神ファームは北陸遠征中!BCリーグのオープニングゲームに参戦

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合前のキャッチボールで“ピッチング”を披露?久々のヒットも出た一二三選手。

4月11日に開幕を迎えた独立リーグの『ルートインBCリーグ』。プロ野球OBの方々が監督やコーチを務めていたり、阪神では富山から育成で入団し、支配下登録もされた野原祐也選手が退団後また富山に戻って、今もコーチ兼任で頑張っていることもあり、縁は深いですね。そして今季からは阪神のファーム監督もされていた吉竹春樹さんが福井で監督、育成選手の田面投手と、シーズン後半にはトラヴィス投手が派遣されます。また昨年までタテジマを着ていた西村憲投手が石川でプレーするなど、注目度も高くなりました。

今回、阪神ファームは11日に富山GRNサンダーバーズと、12日に福井ミラクルエレファンツと1試合ずつ行います。阪神にとっては育成試合ですが、富山と福井は公式戦の交流試合として記録に含まれるそうです。

試合前のセレモニーでBCリーグ憲章を披露する野原祐也選手兼任コーチ。
試合前のセレモニーでBCリーグ憲章を披露する野原祐也選手兼任コーチ。

11日に富山アルペンスタジアムで行われた富山GRNサンダーバーズ戦では、タイガースOBの亀山つとむさんと吉田浩さん(富山出身)がゲストで、富山の吉岡雄二監督や阪神の藤本、濱中両コーチも加わってトークショーもありました。では、吉田さんが投げて亀山さんが打席に立っての四球式に続いて始まった試合結果をご紹介します。打線が10安打で13点、投げては4投手で2安打完封リレーでした。

《交流試合》4月11日

富山-阪神 (アルペンスタジアム)

阪神 006 214 000 =13

富山 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】横山-守屋-藤原-秋山 / 小豆畑

【富山】元気(4回)-アヤラ(2回)-竹林(1回)-板谷(1回)-小柳(1回) / 佐伯

◆本塁打 伊藤隼ソロ(アヤラ)

◆二塁打 荒木、一二三 

◆打撃(打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]二:荒木  (2-1-0 / 1-2 / 0 / 0)

〃打二:西田 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

2]右:緒方  (5-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃右中:中谷 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]指:伊藤隼 (5-4-3 / 0-0 / 0 / 0)

4]一:原口  (3-1-2 / 1-1 / 0 / 0)

5]遊三:北條 (4-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

6]中右:横田 (4-0-1 / 1-1 / 1 / 0)

7]三:黒瀬  (4-0-2 / 0-1 / 0 / 0)

〃遊:植田  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]左:一二三 (4-2-4 / 0-0 / 0 / 0)

9]捕:小豆畑 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/暴投-失策/失)最速キロ

横山 4回 55球 (1-3-2 / 0-0 / 0) 146

守屋 1回 14球 (0-0-2 / 0-0 / 0) 143

藤原 2回 38球 (0-2-3 / 0-0 / 0) 136

秋山 2回 33球 (1-4-1 / 0-0 / 0) 140

中盤の4イニングで計13得点!

久しぶりに次々と点が入る試合を見ました。3回は先頭の一二三がショートの後ろ、センターの前へポトリと落ちるヒットで出塁。小豆畑の犠打でサードが送球エラー、荒木は死球で無死満塁となって緒方の二ゴロで一二三がアウト。1死満塁と変わり、まず伊藤隼が右前タイムリーで2人を還し、4番の原口も当たりは良くなかったんですが右前タイムリー。北條の左前打と、ここは3連打で再び1死満塁として横田と黒瀬が連続の押し出し四球。なおも満塁で一巡してきた一二三が中犠飛。打者11人で4安打ながら、3四死球に犠打失策も絡んで計6点を奪っています。

横山投手。最速146キロで見逃し三振を奪った時は場内から「おお~」という声が!
横山投手。最速146キロで見逃し三振を奪った時は場内から「おお~」という声が!
復帰登板だった守屋投手。2死からの四死球に反省しきりです。
復帰登板だった守屋投手。2死からの四死球に反省しきりです。
藤原投手は2イニングを投げ3四死球ながら無安打無失点。
藤原投手は2イニングを投げ3四死球ながら無安打無失点。
本人は不満だらけだったようですが、2イニングで4奪三振の秋山投手です。
本人は不満だらけだったようですが、2イニングで4奪三振の秋山投手です。

4回は先頭の荒木がライトフェンス直撃の二塁打を放ち、緒方の三ゴロで送球エラーがあって生還。緒方は三塁まで進み、1死後に原口の右犠飛で還って、この回は1安打で2点を追加。5回は先頭の横田が振り逃げ(三振と暴投)、すかさず初球で盗塁を決めて黒瀬の二ゴロで三塁へ。一二三は三ゴロでしたが、これで横田ホームイン。ここまでで早くも9得点となりました。

さらに6回、先頭の伊藤隼がライトへホームラン!原口は四球を選び、暴投で二塁へ。北條も四球、横田は三振に倒れるも、暴投があって1死二、三塁となります。続く黒瀬の三ゴロで原口がホームイン(サードのバックホームは野選、黒瀬に打点あり)。ここでまたまた暴投、1死二、三塁となって一二三が左中間へ2点タイムリー二塁打!2安打で4点と、6回まで8安打で13点。7回には伊藤隼が中前打で、この日4安打と爆発。9回には西田が中前打を放ち、計10安打です。

投手陣は、先発の横山が1回を三者凡退に切って取り、2回は先頭に四球を与えたものの併殺打など3人で片づけ、3回はまた三者凡退。4回2死から3番・野原に初ヒットとなる中前打を許し、4番のニックは死球でしたが無失点。5回の攻撃中にキャッチボールを始めないなと思ったら、ここで降板です。代わって、体調を崩し離脱していた守屋が登板。2死から8番と9番に連続四球を与えながらも0点に抑えました。

ついで藤原がマウンドへ。6回は野原への四球のあとニックから見逃し三振を奪うなど無失点。7回も死球と、粘られての四球があった藤原ですが最後は空振り三振で得点は与えず。4人目の秋山は8回、途中出場の佐々木にショート内野安打(代わったばかりの植田がよく追いつき、一回転して送球。惜しくもセーフ)、野原は四球で無死一、二塁とします。しかし4番からの3人はすべて空振り三振!9回も最後の打者は空振り三振で三者凡退に切って取り試合終了です。

「変化球のイメージを大切に」

横山投手は左手中指のマメがつぶれて4回で降板となったのが残念。
横山投手は左手中指のマメがつぶれて4回で降板となったのが残念。

まず横山投手のコメントからご紹介しましょう。4回1安打無失点ながら「前よりは変化球が入っていたように思います。でもまだまだですね。詰めていかないといけない」と手放しでは喜べない様子。受けた小豆畑選手が「彼の真っすぐがいいのはよくわかっているので、ちょっと変化球を多めにと意識していた」というように「前回の登板から変化球のイメージを大事にやってきました。カーブやスライダーのイメージは前より良くなったと思います」とのこと。

1軍が見えてきたかという問いに「やることは一緒なので。でもまだ1軍では通用しない。もっと詰めてやっていきたいという思いです」と慎重な答えでした。香田投手コーチ(今回はいつも残留の香田、藤本、濱中の3コーチが参戦)は

「指にかかった球は良いのがいっていたよね。変化球でカウントが取れれば、もっと真っすぐが生きるんだけど」と分析ています。なお、本来は7回100球をメドにしていたはず。香田コーチいわく「試合前に中指のマメが怪しくなって」短縮したそうです。

約1ヶ月ぶりの実戦復帰

久しぶりのマウンドを楽しむかのように投げた守屋投手。最速143キロでした。
久しぶりのマウンドを楽しむかのように投げた守屋投手。最速143キロでした。

3月中旬に胃腸炎で戦列を離れていた守屋投手。「復帰戦ですよ~」と、やはり楽しげな表情でした。ただし「ストライクを取れる感覚がまだ…」と、納得の内容ではなかったようです。さらに「無駄なフォアボール、無駄なデッドボールを出したのもダメですねえ。簡単にツーアウトを取ってからだったのが余計に。ああいうのからリズムを崩すことになる。やっちゃいけないことでした」と反省しきり。でもボール自体はそんなに悪くはなかったと言い「これからイニングを延ばしていきます!」と元気に引き揚げていきました。

香田コーチは「やっと実戦というところ。状態はこれから上がってくるんじゃないかな。ブルペンでいい球を投げられているし、イニングも延びてくるでしょう」と話しています。また秋山投手は「全然ダメ!ダメです!唯一よかったのが、フォークで腕を振れたことぐらいですわ」と短いコメント。

伊藤隼、原口、一二三で9打点

詰まった当たりながらタイムリーとなった原口選手の打席。
詰まった当たりながらタイムリーとなった原口選手の打席。

野手の話も、ひとことずつでした。すみません。まずホームランを含む4安打3打点の伊藤隼選手は「1打席、1打席、集中して立てているので、いいと思います」。久しぶりに4番を打った原口選手ですが「4番の仕事をしていない…」と冴えない表情。でもまあチャンスで打点はありましたしね。それと昨年秋以来となる守備については「動けたのでよかったです。恐さはなかった」とのこと。ファーストゴロを捕って自分でベースを踏むというプレーがいくつかありましたが、問題なし。これからですね。

最後に一二三選手です。対外試合でのヒットは、もしかすると3月17日のソフトバンク戦(雁の巣)以来かも…。スタメンを外れたり、直前のナゴヤ遠征は鳴尾浜に残っての練習でした。

6回は133キロの真っすぐを打って2点タイムリー二塁打の一二三選手。
6回は133キロの真っすぐを打って2点タイムリー二塁打の一二三選手。

藤本打撃コーチに聞くと「きょうにかける思いは誰よりも強かったんじゃないですか?残留したのは相当悔しかったはず。最初はつまりながらのヒットだったけど、あれで雰囲気が変わりますからね。気持ちで持っていった一打でしょう」と、藤本コーチ自身も力の入った言葉。

3回のあのヒットから打線がつながり6得点。その6点目は一巡した一二三選手の犠牲フライで、5回にはサードゴロで1点。6回には2点タイムリー二塁打と、計4打点をあげています。

一二三選手には藤本コーチの「気持ちで持っていった一打」というフレーズを伝えたら「押し込んだ。それだけで、つまっていようが、いいんです」と答えました。1本出て、あとの二塁打にもつながった?「そうですね」。強い気持ちと感触を忘れずに、きょうも打ってください!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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