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地球上で今年最強の台風14号が、台湾に接近

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
14日朝7時の台風14号の衛星画像。写真:NOAA。

地球上で今年最強の台風が、現在、台湾に接近しています。

明日には、強い台風のまま、中国南部へと上陸する見込みです。

台風14号の詳細

14日朝6時時点の予想進路図。天気図:ウェザーマップ
14日朝6時時点の予想進路図。天気図:ウェザーマップ

14号は午前6時現在、中心気圧890hPa、最大風速60メートルの「猛烈な」台風で、西北西へ20キロのスピードで進んでいます。

なお、890hPa以下の台風が出現したのは、2010年ぶりのことです。また2013年フィリピンで死者行方不明7300人を出した台風30号(最低気圧895hPa)よりも、さらに中心気圧が低くなっています。

これまでの観測値

台湾南東部の台東県では、今朝、一時間93ミリの雨、さらに最大瞬間風速54メートルの風が観測されています。

14日午前6時のレーダー画像。台湾中央気象局。
14日午前6時のレーダー画像。台湾中央気象局。

過去の台風との共通点

台湾が台風の影響を受けるのは、7月上旬に上陸した台風1号以来、今年2度目のことです。1号もまた非常に発達し、一時中心気圧は900hPaまで下がり、観測史上最強の台風1号となりました。この台風により、台湾では3名が死亡、140名以上がケガをしています。

今回の14号は1号よりも強いわけですが、かつて、同じように800hPa台の台風が台湾に接近し、その直後に上陸したことがあります。

それが、1959年の台風9号(国際名Joan)で、上陸直前、一時中心気圧が885hPaまで下がりました。この台風による強風と洪水の影響で、台湾では10名以上が死亡、3000棟以上の家屋に被害がでています。

左:台風1号、右:台風14号の赤外画像。NOAA。
左:台風1号、右:台風14号の赤外画像。NOAA。

台風の今後の進路

14号は今後やや弱まりながらも西進を続け、明日(15日)には中国南部の福建省や広東省あたりに上陸する見込みです。この地域は台湾同様、台風1号の上陸を受けた場所です。伝えられるところ、1号による死者は100名以上、また被害総額は1500億円以上に上ったとも言われています。

なお中国は今年の梅雨にも、大雨の影響により大災害が発生しています。7月の報道によると、今年の梅雨は、史上2番目に経済的損失が大きかったと言われ、今回の台風14号によるさらなる被害の拡大が懸念されます。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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