【横須賀市】極上の旨味・食感!新安浦港「弥春丸」の名物 浜茹で地だこ!8代目が継いだタコ漁に密着
横須賀の海が大好き!うみちゃんです。
「横須賀のタコは高級料亭や寿司屋で出されるほど、上質で有名」と聞いていました。しかし多くは都内に出荷されるため、地元ではほとんど流通しておらず、これまで食べたことがありませんでした。
新安浦港「弥春丸」の名物 浜茹で地だこ
見てください、立派な茹でダコですよね。
新安浦港でタコ漁を行う「弥春丸(やはるまる)」の名物、浜茹で地だこです。
「弥春丸」に代々伝わる秘伝の茹で汁で茹でることで、茹で汁の味が染み込み、さらに深い旨味が生まれます。
吸盤までしっかりと色がついているのが東京湾江戸前地だこです。
スライスしていただいてみると、しっかりした弾力にコリっとした歯応えです。
吸盤の部分の食感もしっかり残っていますよ。
今まで食べてきたタコとは食感が全く違います。
茹で汁は磯の香りとほんのり塩味で、タコの風味と旨味をより一層感じます。
「横須賀の地だこはこんなにも美味しいの?!」と驚きと感激です。
横須賀で8代続く漁師
「弥春丸」は横須賀で8代続く漁師の家系です。
現在は父 柴崎弥春(みつはる)さんとお母様、息子の好郁(よしふみ)さんの3人で漁業を営んでいます。
冬場はわかめやこんぶなどの海藻養殖、 海藻養殖が終わると、タコ壺漁を中心に刺し網などを行っています。
新安浦港の出漁時刻は午前7時。それまでにタコ漁の準備を済ませます。
タコの餌はカニです。1匹ずつ紐で固定し、タコ壺に結びつけます。
現在は壺型ではなく合成樹脂製の四角い箱。タコが入ると蓋が閉まる仕掛けです。
約800mのロープに約45個のタコ壺を繋ぎ、海に下ろして数日後に引き上げます。
新安浦港から約4km先の沖合に向かいます。
現場に到着すると、巻き上げ機でロープ引き上げることから始まります。
タコ壺が海面から上がってくると「ぐいっ」と引き上げて中に入れます。
中を開けるとタコがニョロッと出てきました。
ぬるぬるのタコをギュッと掴み、共食いしないように1ハイずつ網に入れ船底の生け簀に入れていきます。
タコ壺の汚れや中に入った砂を清掃して、再びエサを結びつけます。
大型船が通るたびに大きく揺れる船の上での仕事は大変なこと。
暑い日は遮るものがなく直射日光が照り付け、寒い日には冷たい風が体に吹きつけます。
大物が!?
「お!重いよ!」と弥春さんが手応えを感じたようです。
開けて「ポン!」と叩くと大きなタコが出てきました。
市場に出荷できるのは重さが0.8kg以上のもの。このタコは1.2kgもありました。
加工販売用に0.8g以下のタコも獲りますが、小さすぎるタコは海に返します。
ここ数ヶ月は全くタコが入っていないことや入っていても小さいもの多く、がっかりする時期が続いていたとのこと。
約20分で約45個のタコ壺を引き上げました。
次はタコ壺を仕掛けます。
別の場所に移動すると弥春さんが「いいよー」と合図。
好郁さんが間隔を見ながら、たこ壺を投げ込んで行きます。
場所を変えて水揚げを1日に7〜8本、天候が良い日は毎日行っています。
ベテラン漁師 柴崎弥春さん
ついつい「お父さん!」と呼んでしまうほど、気さくで優しい弥春さんは漁師歴約40年の大ベテランです。
4本目を回収したところで、天候が急変。
風が強くなり、雨がパラパラと降り出したため、一旦、船内に避難しました。
一般的に北風が風速8メートル以上の際には危ないため港に戻るとのこと。
「このまま引き返すかな」と話していたところ、再びパッと晴れ間が広がり、漁を再開しました。
海の上は危険と隣り合わせです。
天候や風、波の高さの変化など敏感に察知し、迅速に対応する姿はさすが経験豊富なプロです。
『変化』を求めるのではなく、『新化』を求めて親父がやってきてない新たな事にチャレンジしたい
統計によると横須賀市の漁業就業者数は2018年では486人です。
年々、漁業に関わる人は減少傾向にあり、高齢化と後継者不足の現状にあります。
新安浦港では昔は10軒ほどあったタコ漁師は現在は弥春丸を入れて2〜3軒に減少しました。
好郁さんは「高校まで何不自由なく野球を続けさせてくれた両親に恩返しをしたい」 という想いから家業を継ぐ決意をし、魚や船の操船、漁について必死に勉強しました。
漁師の世界に飛び込むと東京湾の資源の豊かさに気付かされ、漁の面白さに目覚めたと言います。
「漁業組合の先輩が師匠です。素潜りや多くのことを教えて下さるおかげで、父がやっていない新しいことにチャレンジできている」と話します。
午前の漁が終わると、午後はウエットスーツを着て素潜りの漁に出ます。
「港を活性化させていきたい気持ちと同じくらい、大好きな地元横須賀を”海の幸が美味いぞ”と思ってもらえるような街にしていきたい。周りの方々から愛される漁師弥春丸を目指したい」と目を輝かせて話します。
浜茹で地だこは、タコを傷つけないように蓋のない壺とカゴ網を仕掛け、好郁さんが捕獲したものです。
自宅用はもちろん贈答用にも喜ばれています。
オンラインで販売すると全国から注文が殺到しすぐに売り切れになるほど大人気です。
オンラインショップ(ポケマル)
お父様・お母様から息子さんへメッセージ
お父様とお母様から息子さんへの思いを伺い、あたたかい気持ちになりました。
好郁さんはインスタグラムで漁の日々を発信しています。
横須賀の海と漁業を身近に感じられますよ。
横須賀市内はもちろん、全国の皆さんに横須賀の潮の香りと海の幸の美味しさが伝わりますように!
【おまけ】タコ飯も作りました
袋にはタコと一緒に茹で汁が入っています。
茹で汁を捨てずに、ご飯を炊く際に水と一緒に入れて炊くとご飯にも旨味が染み込みます。炊き上がったご飯に切ったタコを混ぜて完成です。
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