主な新興国経済ニュース(6月4日)
仏ソシエテのロシア銀行子会社ロスバンク、CEO逮捕後の預金流出懸念を否定
仏ソシエテ・ジェネラル銀行のロシア銀行子会社、ロスバンクのジャン・フィリップ・アークティンギCFO(最高財務責任者)は先週末、同行のウラジーミル・ゴロブコフCEO(最高経営責任者)とタマラ・ポリャニツィナ上級副頭取が収賄容疑でロシア警察当局によって逮捕され、刑事告訴されたことに関し、取り付け騒ぎのような預金流出の懸念がないことを明らかにした。モスクワ・タイムズ(電子版)が2日に伝えた。
同CFOは、「今回の不本意な事件をうけて、当行の法人顧客の大半が預金を他行に移すような事態には至っていない。預金の流出は起きておらず事態は収まっている。先週、200人の法人顧客の集まりがあったが、我々がこの緊急事態をうまく乗り越えることができると信じてくれていた」と述べている。
これより先、ロスバンクの役員会は先週初めの5月27日に、収賄容疑で逮捕されたゴロブコフCEOを解任している。同CEOとポリャニツィナ副頭取は、5月中旬にロシア警察当局によって、オフィスの家宅捜索が行われた際に、融資延長や金利の引き下げ、毎月の返済額の引き下げなど便宜を図る見返りに顧客から500万ルーブル(約1600万円)の賄賂を受け取った容疑で逮捕された。ゴロブコフCEOは有罪が確定すれば7年の禁固刑が言い渡される可能性がある。
-
ハンガリー中銀、景気刺激狙った銀行向け金融支援制度を延長か
ハンガリー中央銀行のアーダーム・バログ副総裁は3日、地元テレビ局M1に対し、景気刺激策の一環として4月に導入した、銀行の中小企業向け融資の拡大を狙って中銀が商業銀行に低金利の流動性を供給する制度「成長のための資金調達スキーム(FGS)」が効果を発揮していることから、今年末まで適用期間を延長する可能性があることを明らかにした。ハンガリー経済専門サイト、ポートフォリオが伝えた。
FGSは2つの制度からなる。第1区分は、中銀は中小企業への融資を行うことを条件にFGSに参加する商業銀行に対し、金利ゼロ%の優遇金利で自国通貨フォリント建ての融資を行う。次に、商業銀行はこの資金を中小企業に対し2%を超えない一定の上乗せ金利で融資する。
第2区分は、中銀は中小企業が外国通貨建ての借り入れをフォリント通貨建てに切り替えることで中小企業の債務負担を軽減させることを狙った制度。これも中銀が商業銀行に対し金利ゼロ%の優遇金利で自国通貨フォリント建ての融資を行うのは変わらないが、中小企業は銀行から借り入れたフォリント建てローンを使って、既存の外貨建てローンを返済する形でフォリント通貨建てローンに切り替える。
同副総裁によると、第1区分の資金枠7500億フォリント(約3300億円)に対し、商業銀行からの需要はその3倍、また、第2区分の資金枠5000億フォリント(約2200億円)に対してもその2倍の資金需要があるという。
-
インドネシア政府、国営農業公社15社の合併持ち株会社構想を断念
インドネシア政府は、国営農業公社15社を合併して、世界最大級の農業コングロマリット(持ち株会社)を発足させる構想を断念した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が3日に外国通信社の報道を引用して伝えた。
これはダフラン・イスカン国営企業相が明らかにしたもの。断念の詳しい理由については明らかにされていないが、官僚機構の監督権限や税制上の問題があったためと見られている。政府がこの構想を打ち上げたのは2012年2月で、それによると、パーム油やゴム、コーヒー、ココア、茶、米、根菜類のキャッサバ、砂糖を生産する国営の農業公社15社を合併させ、巨大な持ち株会社を設立する計画だった。15社の合計資産額は56億ドル(約5600億円)に達し、構想が実現すれば世界最大級の農業コングロマリットが誕生するはずだった。
-
インドネシア国産車SMK、7月発売の商用車「エセムカ」に7千台注文
インドネシア国産自動車大手ソロ・マニュファクトゥール・クレアシ(SMK)は、7月から販売を開始する商用車「エセムカ(Esemka)」の予約注文が今月初め時点で7000台に達した。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が2日に伝えた。
同社によると、予約注文の大半は東ジャワ州や首都ジャカルタ、ランプン州からで、注文の大半はSUV(スポーツ用多目的車)「ラヤワリ(Rajawali)R2」となっているが、エセムカへの発注の大半は東ジャワ州からで商業利用目的となっている。
-
ベトナム中銀のグエン・ミン・トゥアン副総裁、1日付で退任
ベトナム中央銀行は、グエン・ミン・トゥアン副総裁が6月1日付で退任したことを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が3日に伝えた。
-
世銀、250億円の対ベトナム開発援助を承認―医療や科学技術分野で
世界銀行は傘下の国際開発協会(IDA)を通じて、ベトナムに対し、健康・医療制度の改善や技術革新、研究開発(R&D)、科学などの各種プロジェクトに2億5000万ドル(約250億円)の資金援助を行うことを決めた。ベトナム通信(電子版)が3日に伝えた。
全体のうち、1億5000万ドル(約150億円)は子供と女性を中心にベトナム国民1500万人を対象とした健康・医療サービスの改善、さらにはベトナム北東部とレッドリバー(紅河)デルタ地域にある13カ所の病院のサービス改善や利用患者の拡大などに充てられる。
残りの1億ドル(約100億円)は科学技術や革新分野の分野に充てられ、研究開発機関の効率化や技術革新に取り組んでいるベンチャー企業の支援を行う。特に、ハノイにあるホアラック・ハイテクパークのR&D地区に官民一体で建設する予定の調査研究センターの設立にも使われる。
-
ブラジル中銀週報:今年のGDP伸び率見通しは2.77%増に下方修正
ブラジル中央銀行が3日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは、前週予想の前年比2.93%増から同2.77%増に下方修正された。下方修正は3週連続。1カ月前の見通し予想は3%増だった。2014年のGDP伸び率見通しも前週予想の同3.5%増から同3.4%増へ下方修正された。1カ月前の見通し予想は3.5%増だった。
また、2013年末時点の政策金利の見通しは、前週予想の8.25%から8.5%へ引き上げられた。1カ月前の予想は8.25%だった。2014年末時点の政策金利は前週予想の8. 5%のまま据え置かれた。1カ月前の予想は8.25%だった。
IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しについては、2013年は前週予想の前年比5.81%上昇から5.8%上昇に上方修正(改善)された。1カ月前の予想は5.71%上昇だった。また、2014年の見通しは前週予想の5.8%上昇のまま据え置かれた。据え置きは3週連続。1カ月前の予想は5.76%上昇だった。
一方、為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、前週予想の1ドル=2.03レアルから2.05レアルに引き上げられた。引き上げは4週連続。2014年末時点の見通しも前週予想の2.07レアルから2.1レアルに引き上げられた。引き上げは3週連続。 (了)