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大雪の都知事選前日に思うこと…細川小泉両総理、街頭演説、原発問題

鈴木崇弘政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー
細川小泉両総理の数寄屋橋街頭演説の様子
細川小泉両総理の数寄屋橋街頭演説の様子

今日の大雪で、戦前に起きた軍の若手将校たちのクーデターである2・26事件を思いだした(注)。

ご存じのように、同事件は、5・15事件と共に、政府への不満と軍内部での対立から起きたのであるが、そのクーデターが鎮圧されたことで、軍部の中の対立する一派(皇道派と呼ばれた)が抑えられ、それとは別の一派である統制派(東条英機ら)が台頭し、その結果日本は太平洋戦争に向かい、破滅への道に至ったのである。

今日の大雪が、先のクーデターと今回の都知事選の結末の何かを暗示していなくはないだろうか。

都知事選の最終日である本日午後、筆者は数寄屋橋で、細川・小泉両元総理の街頭演説を聞いた。大雪に関わらず、かなりの一般の方々が集まり、熱心に耳を傾けていた。

他方、2005年の郵政民営化選挙の時の小泉総理(当時)の街頭演説も聞いているのでよくわかるが、小泉元総理の演説は今回も非常に熱いが、前回のような高揚感や盛り上がりは聴衆には必ずしもないように感じた。

メディアや世論調査の現状によれば、細川さんの当選はかなり厳しいといわれている。もしそうだとすると、今回の都知事選で、都知事や東京のマターではないといわれながらも、底流において大きなかつ重要な政策アジェンダであると考えられる原発問題に関して、大きな変化が生まれることになるだろう。そして、脱原発の方向性にノーという意見が都民から表明されたことになり、小泉元総理が指摘している「原発再稼働しようというグループと原発ゼロを目指すグループ」の間に今存在しているせめぎ合いのバランスが崩れることになるといえる。特に、国政において、巨大な与党が存在している一方で、脆弱な野党しか存在せず、カウンターが存在していない現状においてはなおさらのことだ。

本当にそれでいいのだろうか。

歴史が社会に関して教えている教訓は、社会からカウンターが失われて、チェックが行われなくなったとき、社会が暴走しだすということである。先に述べたクーデターも、日本に同様のことが歴史的に起きることを示している。

このようなことを考えていくと、東京都民の明日の選択は、単に東京都の問題であることを越えて、日本全体の問題と日本の将来がかかっているといえよう。

東京都民の方々には、ぜひとも慎重かつ適切な判断を望みたいものである。

(注)東京が大雪のときに発生した歴史的事件には、1703年の忠臣蔵や1860年の桜田門外の変などがある。

政策研究アーティスト、PHP総研特任フェロー

東京大学法学部卒。マラヤ大学、米国EWC奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て東京財団設立参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・阪大FRC副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。新医療領域実装研究会理事等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演多数。最新著は『沖縄科学技術大学院大学は東大を超えたのか』

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