シリアでロシア軍が対人クラスター爆弾を市街地に投下
シリア内戦ではロシア軍およびアサド政権軍がクラスター爆弾を大量に使用しています。様々な種類のクラスター爆弾が使用され、爆発の瞬間が撮影され、不発弾が発見され、動かぬ証拠となって上がっています。そして市街地に投下されている様子が動画に収められました。ロシア空軍のSu-34攻撃機による爆撃とされています。
- 2016年2月15日、シリアのアレッポ北部市街地で撮影したとされる
ロシアもシリアもクラスター爆弾を禁止制限するオスロ条約には加盟していません。しかし、それ以前の前提として戦時国際法であるジュネーブ条約は市街地への無差別な攻撃を禁止しています。クラスター爆弾はピンポイント攻撃が出来ない面制圧兵器であり、無差別に広範囲を破壊・殺傷するものである以上、市街地での使用は戦時国際法に違反した行為であることは明白です。そして一つの親爆弾に数十個から数百個の子弾が入っている為に不発弾が大量に発生し、戦争が終結した後も民間人に犠牲を強いる事になります。
シリアで確認された各種ロシア製クラスター爆弾の子弾
- 対人クラスター子弾AO-2.5RTM(航空爆弾RBK500)
- 対人クラスター子弾AO-1SCh(航空爆弾RBK250-275)
- 対人クラスター子弾ShOAB-0.5(航空爆弾RBK500)
- 対人クラスター子弾9N235(スメルチ多連装ロケット、9M55K弾)
- 対人クラスター子弾9N24(トーチカ短距離弾道弾、9N123K弾頭)
- 対人クラスター子弾O10(240mm重迫撃砲M240、3O8迫撃弾)
- 焼夷クラスター子弾ZAB-2.5(航空爆弾RBK500、テルミット)
- 対戦車クラスター子弾SPBE-D(航空爆弾RBK500、自己鍛造弾)
上記に挙げたものはシリアで確実に確認されたクラスター子弾ですが、これで全ての種類ではありません。更に多くの種類のロシア製クラスター爆弾が使われている可能性があります。クラスター航空爆弾はRBK500やRBK250-275といった親爆弾の中に子弾が収納されています。不発弾は親爆弾、子弾ともにシリアで大量に発見されておりロシア軍とアサド政権軍による使用は明白なのですが、ロシア政府、アサド政権ともに「クラスター爆弾は使用していない」と言い張っています。しかしロシアによる介入以後、突然に使用が確認された物や使用量が急増した物がとても多く、ロシアが供給しロシア自身も使用している事は間違いないでしょう。