大接戦!ミドル級3団体統一戦はカネロがジェイコブスを僅差で破る
ミドル級3冠統一戦が、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで行われ、WBAスーパー&WBC統一チャンピオンのサウル・カネロ・アルバレス(28)とIBFチャンピオンのダニエル・ジェイコブス(32)が対戦した。
前日の計量後のフェイスオフ(顔合わせ)では乱闘寸前となり、いわくつきの試合となった。
ルールを無視したジェイコブス
今回の試合では当日朝に計量を行い、体重を170ポンド以内に設定するルールが設けられた。
だが、試合当日の計量で、IBF王者のジェイコブスがパスできなかった。
試合は予定通りタイトルマッチとして行われるが、ジェイコブスはファイトマネーの一部を、罰金として没収される。
当日計量はカネロが169ポンド(76.6キロ)、ジェイコブスが173.6ポンド(78.8キロ)となり、170ポンドから、3.6ポンド(1.6kg)オーバーとなった。
ジェイコブスは、ルールより勝負を優先した形となった。
ボクサーは勝つために少しでも有利な条件で戦いたいものだが、王者でもあるジェイコブスが、ルールを無視するとは驚きだった。
両者の体格を比較すると、
カネロが身長175cm(リーチ179cm) に対して、ジェイコブスは身長183cm(リーチ185cm)となる。
身長、リーチそして体重までもジェイコブスが上回り、ひと回り小さいカネロがどのように戦うか注目となった。
距離感とリーチの違い
試合が始まると、カネロは体格が上回るジェイコブスに対し、距離を詰めようと前に出て、プレッシャーを掛けていく。
お互いにクリーンヒットが少なく、様子を見ながら戦うラウンドが続いていく。
次第にカネロが、上体の動きを加え、ジャブをヒットさせてペースを掴んでいった。
ジェイコブスは時折サウスポーにスイッチしていくが、なかなかペースを見出せない。
身長、リーチ共にジェイコブスが上回っていたが、距離を制していたのはカネロだった。距離感とリーチは違うのだ。
ボクサーは互いに有利な距離で戦おうとする。自分のパンチがあたる距離で、尚且つ、相手のパンチを殺せる距離だ。
リーチが長いカネロは前に出て、距離を取りたいジェイコブスは足を使って間合いを取ろうとする。微妙な駆け引きが続いたが、若干カネロがペースを握っていった。
互いに相手を警戒し、単発のパンチが多く、追撃させない展開が続いた。
後半になると、カネロも疲労が見えてきて、動きが落ちてきた。
ジェイコブスも盛り返していったが、近距離では、カネロの攻撃とコンビネーションが目立ち、ペースを掴むまでには至らなかった。
判定は3−0(115-113、2者 116-112、1者)で、カネロが僅差で勝利して、ミドル級3団体を統一した。
ミドル級の中心はカネロ
この階級は、スター選手が多く、世界で最も注目されているが、他の選手にも目を向けてみよう。
WBO王者には無敗のデメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)、
WBC暫定王者に世界2階級制覇王者のジャーモール・チャーロ(アメリカ)、
そして、WBAレギュラー王者には村田諒太からタイトルを奪った、ロバート・ブラント(アメリカ)が健在している。
ブラントは、7月に大阪で村田と再戦を行うので、村田が勝てばここに名前を連ねることになる。
また、6月8日には元ミドル級3冠統一王者のゲンナジー・ゴロフキンが復帰戦を行う。
今回の試合には、ゴロフキンも会場に足を運んでいた。カネロVSゴロフキンの第3戦も気になるところだ。
多額のビックマネーを生み出し盛り上がりを見せるミドル級だが、その中心にいるのは間違いなくカネロだ。
スポーツ動画ネット配信のDAZN(ダゾーン)と、大型契約を結びビックマッチ路線を行く、カネロが、今後誰と戦っていくかに注目が集まる。
しばらくは、ミドル級はカネロを中心に動いていくだろう。メキシコ人初の4団体王者を目指すカネロの動向から目が離せない。