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デビューから12連勝を飾ったミドル級のニューフェイス

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 メキシカン同士の打ち合いとなったミドル級8回戦、アルマンド・リセンディス(22)とクリスト・マデラ(26)の一戦は、国民性をよく表していた。

 両者とも下がらず、ファーストラウンドから至近距離で打ち合う。初回に左フックをクリーンヒットして先手を取ったマデラだが、ラウンドが進むにつれ、リセンディスのパンチが正確さを増していった。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 第4ラウンド2分5秒には右のロングフックで、マデラを棒立ちにする。

 まだ粗さも目立つが22歳のリセンディスは思い切りが良く、フルスイングのハードパンチを休みなく振るう。上下への打ち分けも忘れず、中間距離ではストレートを、接近戦ではボディへのアッパーを狙った。

 リセンディスは12戦目にしてアメリカデビューを飾ったが、このハートならまだまだ先がありそうだ。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 6年以上のプロキャリアがあるマデラは、ペースを握られたまま反撃の糸口を見出せず、8ラウンドが終了した。

 判定は、78-74、77-75、75-77の2-1でリセンディスが勝者となったが、リセンディスが優勢だったことは間違いない。

 試合後、リセンディスは戦績を12戦全勝8KOとし、マデラは12勝(8KO)3敗になった。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 勝者は言った。

 「マデラがタフだということは、我が陣営全員が理解していた。だからこそ、十分に対策を立て、ハードなトレーニングをした。今後はミドル級かスーパーミドル級の世界タイトルを目指し、より厳しい相手と対戦していくこととなるだろう。その為にも、自分を創り上げなければいけない」

 FOXが興味を示したリセンディス、どこまで上ることができるだろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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