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写真が語るコロンビアの「今」 ノーベル平和賞発表直後に撮影された25枚をオスロで特別展示

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
受賞者発表後、3週間で撮影された写真 Foto: Mads Nissen

半世紀以上続いたコロンビア内戦の終結に尽力したとして、サントス大統領がノーベル平和賞を授与された。授与式が開催されたノルウェーの首都オスロ。市民や反政府ゲリラ組織FARCを代表して賞を受け取るのであり、これはコロンビア市民みんなへの賞だということを、大統領は記者会見で強調した。

ノーベル平和センターでは、毎年受賞者のテーマに沿った展示が開催される。10月に受賞者が発表されて以降、たった2か月で展示テーマを決め、展示物を揃えなければいけない。マララ・ユスフザイさんの時には、武装勢力に銃撃された当時の血染めの制服が公開され、大きな注目を集めた。

今年のテーマは「HOPE OVER FEAR」という、恐怖を乗り越えた希望について。デンマークの写真家マッヅ・ニッセンが、ジャーナリストのドリット・サイエッツと共にすぐさまコロンビアに飛行機で飛び、現地の「今」を撮影。たった3週間という撮影期間で、現地に漂う、未だに残る不安と未来への希望を感じさせる写真を撮ってきた。

首都ボゴタで和平合意を訴えてデモする人々 Foto: Mads Nissen
首都ボゴタで和平合意を訴えてデモする人々 Foto: Mads Nissen

ノーベル平和センターは、授与式が開催される市庁舎から、徒歩で2分ほどのところにある。毎年、新しい展示を最初に見るのはオスロを訪問中の受賞者と決まっている。サントス大統領は、自身の写真の隣に、「コロンビアの上に、平和の太陽が輝く。世界中に輝きますように」とオスロ現地でサインした。

Foto:Johannes Granseth/NobelsFredssenter
Foto:Johannes Granseth/NobelsFredssenter

展示には大統領のビデオインタビューも公開されており、「戦争を起こすことは簡単だが、平和を築くことはもっと難しい」と語る。

紛争地域だった場所に立つ学校帰りの12才 Foto: Mads Nissen
紛争地域だった場所に立つ学校帰りの12才 Foto: Mads Nissen
コカ農園で働く若者。珈琲農園よりも2倍の収入 Foto:Mads Nissen
コカ農園で働く若者。珈琲農園よりも2倍の収入 Foto:Mads Nissen

ノーベル平和センター内にあるショップには、日本人観光客に人気のあるお土産、ノーベルメダルの形をしたチョコレートが販売されている。今年のサントス大統領の受賞を記念して、新しいグッズは、平和を象徴するハト。

大統領のポストカード、ハトのグッズとチョコ Photo:Asaki Abumi
大統領のポストカード、ハトのグッズとチョコ Photo:Asaki Abumi

実は、サントス大統領をよく見ると、常に胸元にハトのバッジがつけられている。ノーベル平和センターは同じものを製作したかったそうだが、「コロンビアの政府機関関係者だけが使っているもののようで、同じバッジは作る許可は得られなかったんです」と広報のランボル氏は語る。

現地ではノーベル平和コンサートなども開催された。ゲストなど関係者の中には、米国大統領選の結果を口にした者も多かった。不安が広がる現代の世の中で、どうしたらコロンビアのように平和を取り戻せるのか、大統領などに問う人もいた。「平和」について答えを求めている人が多い、そんな印象を受けた取材期間だった。

展示会の写真クレジット Foto: Mads Nissen / Politiken for Nobels Fredssenter

Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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