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若トラ契約更改《11/21》ルーキーバッテリーが大幅アップ!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
台湾での21Uワールドカップで活躍。期待を込めて年俸が少しアップした北條選手。

きのう21日、阪神タイガースの球団事務所で9選手の契約更改交渉が行われました。朝10時半から夜19時半まで(予定では17時半か18時には終わっているはずだったんですけど…伊藤隼選手が1時間半を要したため)1時間の休憩を除いて計8時間、部屋の中で缶詰めです。会社にお勤めの方は大変だなあ、なんて考えながら。それは失礼ですよね、私はただ待っているだけなのに。

まずトップバッターは島本投手。既に報道されていた通り、この日めでたく支配下登録選手として契約を交わしたわけですが、この時期の登録は初めてで、取材する側も戸惑い気味。とりあえず普通の契約更改交渉のパターンで質疑応答が始まりました。なお島本投手の支配下登録についての話は、後日たっぷりとお伝えします。

では交渉順にコメントをご紹介しましょう。年数の右の数字は『今季の年俸→来季の年俸』で、単位は万円。金額はあくまでも推定です。

【島本】 4年目 300→420

これまでの契約更改と「全然違った」と島本投手。支配下登録おめでとう!
これまでの契約更改と「全然違った」と島本投手。支配下登録おめでとう!

サインは?「しました」。どんな話を?「支配下登録していただいて、“おめでとう”と言われました。来年が勝負の年なので頑張ってほしいと」。背番号は?「69番です」。契約更改交渉はこれまでと違った?「全然違いました」と、ようやくここで笑顔が出ます。「今まで以上に結果を求められるので、出していきたい」。中西1軍投手コーチが、1軍でやってもらわないと、という話を。「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、もっと頑張っていかないといけないという気持ちです」

島本投手自身は、支配下登録されることを知って臨んだ秋季キャンプだったでしょう。「来年の沖縄キャンプへ行けるように、しっかりアピールしようと思って取り組みました」。アピールできた?「まあ、ぼちぼち」。関西人ならではの答えですねえ(笑)。オフの予定は「今のところまだ。これから決めます」とのこと。育成選手と3年目までの選手は例年、12月は強化練習になるのですが「詳しいことはわからないけど、とりあえず鳴尾浜で練習します。オフも体作りはしっかりやりたい」と話していました。

【筒井】 11年目 3000→2500

500万円ダウン(推定)も「納得しています」と筒井投手。
500万円ダウン(推定)も「納得しています」と筒井投手。

「サインしました。ダウンです。納得しています」。球団からは?「いろいろ話はされたんですが、一番印象に残っているのは“来年やってもらわないと困る、やってもらえると思っている”という言葉でした」。今季を振り返って「まあパッとしなかったというか、やられたことしか印象に残っていないですね。全部リリーフで投げましたが、すべての数字が物足りない。チームがCS、日本シリーズに進んだけど、そこに自分がいなかったということ。それがすべてですね」と悔やみます。

来年に向けての課題は?「もう基本的なことですけど、とにかく力をつけること。マウンドに立って、どんなバッターでも、どんなシチュエーションでも抑えられるというものがないと、気持ちや小手先では1年間戦うことはできない。そういうところでやる力をつけたい」。力をつけるというのは?「すべてなんですけど、僕の場合まっすぐで勝負できるってことがないと、なかなか1つの数字をクリアできないと思います。20試合、30試合で終わってしまうようでは先がない、続かない。リリーフとして50試合を目標に立てていきたいし、クリアできる体を作っていきたい」

昨年は先発でのスタートでしたね。「自分の成績、実績を見ても当然、言われたところでやるしかない立場ですから。それに、どこでやっても変わりはないです」。オフの自主トレの予定は?「例年通り関西と、三重の施設中心になると思います」

【玉置】 10年目 800→900

この日、結婚も発表された玉置投手ですが…「不甲斐ない」と今季を反省。
この日、結婚も発表された玉置投手ですが…「不甲斐ない」と今季を反省。

サインは?「しました」。増減は?「上げていただきました。いろいろ考慮してもらいました。本当は上げてもらえるような成績でもないですし、不甲斐ない思いでいっぱい。正直ダウンも覚悟していた。その中でこうやって上げていただいて本当に嬉しく思っています。かといって、そんな甘く見てもらえることじゃないと思いますので、来年こそチームに恩返ししたい。優勝に貢献出来るように頑張りたい」

今季は?「プロに入ってもう10年終わっちゃいましたが、ことし初めて1軍で、同点の切羽詰まった場面で投げさせてもらった。そこで結果を出せなかったのが、ことしのすべてだったかなと思います」。プライベートでは結婚も。「そうですね。契約でもそっちの方を考慮していただいた部分が多いと思いますので感謝しています。それに甘えるんじゃなく、もう(自分)ひとりの野球人生ではないので、来年こそは死ぬ気で頑張ります」

なかなか会見中に笑顔が見られなかったので、帰りのエレベーターを待っている玉置投手に「結婚おめでとう!」と言ったら、振り返って「ありがとうございます」とニッコリ。カメラマンさんのシャッター音が響く中、私はカメラを構えていたにもかかわらずシャッターが下りなくて…なんと1枚も撮れませんでした。やっぱり取説を読むべきですかね。反省。

【鶴】 9年目 1700→1600

来年は10年目を迎える鶴投手。2012年のように、ずっと1軍で!
来年は10年目を迎える鶴投手。2012年のように、ずっと1軍で!

「サインしました。ダウンです」。どんな話が?「去年とことしが似たような成績だったけど、その前のシーズンは1年144試合できたんだから、くすぶっているこの2年間の流れを来年は打破して欲しいと。来季は10年目になるので、チームの戦力として頑張って欲しいということも言われました」。先発も中継ぎもやった今季、振り返って?「与えられたところでしっかりと結果を出さないといけない立場なのに、それが先発、中継ぎという確立したポジションで出来なかった。来年はしっかり勝負出来るようにやっていきたいです」

自身ではどちらが?「チームの状況で必要とされるポジションで投げることが一番だと思います。先発としてやっていきたい気持ちもありますが、まずはしっかり確立したところでチームの主力としてやっていけるように」。来年に向けて「

ストレートを生かす変化球、シュートもスライダーもそうですが、横の変化だけではなく縦の落ち球を磨いて 投球の幅を広げていけるようにしたい」と話していました。

【俊介】 5年目 2800→2500

ダウンは「仕方ないかな…」と俊介選手。写真のピントが合っていなくてすみません。
ダウンは「仕方ないかな…」と俊介選手。写真のピントが合っていなくてすみません。

サインは?「しました」。金額は?「ダウンです。少し下がりました」。納得?「仕方ないかな~という感じです。まず成績が悪かったと言われましたね」。球団とは野球とお金の話が半々くらいだったとか。野球の話ではどんなことを?「2軍に落ちた時のことで、10日で上がってきてくれたことを評価していると。144試合1軍の戦力としてやってくれたという(ことに等しい)とは言われました」

1年間を振り返って「成績は下がったけど、チームとしてはCSも優勝したし、日本シリーズにも出られたし。日本一にはなれませんでしたが、僕の中でもいい経験。また来年しっかりと結果を残してチームに貢献したいと思います」。当然レギュラーとしてやっていきたい?「そうですね。やはりレギュラーで144試合出たいという気持ちは変わらず持っています」。オフの自主トレは前回と同じところでやるそうです。

【岩崎】 1年目 660→1500

来年の自分がどうあるべきかを聞いたという岩崎投手。倍以上のアップです。
来年の自分がどうあるべきかを聞いたという岩崎投手。倍以上のアップです。

まず、初めての契約更改交渉で「緊張して固い部分もあったんですが、思ったよりすんなりといきました」という感想。サインは?「はい、しました。しっかりと評価してもらって上げてもらいました。さらに気が引き締まりますし、来季に向けてさらに頑張っていこうと思いました」。交渉時間が長かった(45分くらい)ですね。「今季をしっかりと振り返り、これから自分がどういった成績を残せばいいのか?という話を自分から聞きました」

プロ1年目を振り返って「自分が思い描いていたのとは違う、充実した1年でした。だけど今振り返って、もっとできたかなというシーズンでもあります」と岩崎投手。もっとできたかなと思う部分は?「5回くらいにつかまることが多かった。それを乗り越えれば6回、7回が楽になる。そこに思いが残っていますね」。5回につかまる原因として「まずは自分。自分のレベルアップアップをしていきたい」と言います。

思い描いていたのと違った?「1軍で(こんなに)たくさん投げるとは思っていなかったので」。手応えは?「そういった部分もいくつかありますが、やられた印象の方が多いので、その回数を減らしていけたらと思う」。課題は?「コントロールにもっとこだわっていけたらいいかなと思います。高低内外というところをしっかり。低めばかりにこだわるのではなく、状況に応じて自分のボールをキャッチャーの要求通りに投げるという意味で」

来季の目標を。「まずはケガなく1年通してチームの戦力になること。それが一番です。ことしは早いイニングで降板することがあったので、イニング数も登板数も増やしたい。ことし以上にやらないと評価してもらえないと思うので」。そして規定投球回数のクリアも目指していきたいと意欲的でした。オフは体力アップに励むそうです。

【伊藤隼】 3年目 1200→1500

契約更改交渉で球団事務所があるフロアへやってきた伊藤隼選手。
契約更改交渉で球団事務所があるフロアへやってきた伊藤隼選手。

約90分の交渉、どんな話を?「交渉が長かったというよりも、3年間やってきて感じた部分とかの話を聞いてくださったので、非常に有意義な時間でした」。サインは「はい、しました。ある程度評価していただいたので、自分が納得する形でサインしました」。今シーズンを「スタートからずっと1軍でやれれば、それにこしたことはなかったのですが(ケガで)そうもいかず、それでも夏場以降に声を掛けてもらってからは、数字上の結果ではありますが、そこそこやれるなという自信がついたシーズンでもあった」と振り返りました。

自信がついた要因は?「去年のオフからキャンプ、オープン戦と取り組んできたことが間違いではなかったと感じたので、それが自信になったということですかね」。打率3割までもう少し(.294)でした。「具体的に数字を目標にするとので縛られてしまうので。もちろんことしの数字に満足はしていないし、もっともっと上を目指したいという気持ちはある」。レギュラーで出るための課題は?「バッティングだけではいけないと思うし、守備や走塁とトータルで1試合任されるような選手にならないと。それはわかっているので、オフも休まずに練習していきたいです」

どんなオフに?「どんなというより、まだまだ調整と言っていられる段階ではないので、日々進歩していけるように1日1日を大事に過ごしていきたいと思います。いろいろ考えていますが、具体的に言うと話が長くなってしまうので」と苦笑いでした。1時間半待ったので聞きますよ~と思ったけど断念。来シーズンの目標は「1年間通してレギュラーとして試合に出ること。それに尽きます」と締めくくりました。

【北條】 2年目 720→730

「来年は絶対に1軍で試合に出る!」と3年目に賭ける北條選手。
「来年は絶対に1軍で試合に出る!」と3年目に賭ける北條選手。

サインは?「しました」。金額は?「少し、少しだけ上げていただきました」。どの部分を評価したという話があった?「去年より体もガッチリして、しっかりできてきたと。ファームの成績は(査定に)あまり関係ないと言われました」。

他にどんな話を?「いろいろ」。それはまあ確かに(笑)。ウエスタン公式戦での後半の打率がよかったと言われたそうです。そして「来年、勝負しろ。絶対1軍の試合に出てくれ」という激励もあったとか。その期待を込めてのアップ?「そうですね。ありがたいことです」

試合出場はなかったものの、1軍に登録された2年目のシーズン。「終盤で上がらせていただいて、接戦の試合が多かったので、とてもいい経験が出来たなと思います」。来年、1軍の舞台に自分がいるというイメージは?「イメージというか、チャンスだと思って来年は絶対、1軍の試合に出ようと思っています」。同世代の選手が1軍で活躍しているのは意識する?「はい、特にしますね」。21Uのワールドカップに侍IAPANの一員として出場。「同世代の選手のレベルの高さ、野球に対する姿勢とかをしっかり見られた。まだまだ僕はもっと頑張らないとダメだなと思いました」

どういうところで?「特に鈴木誠也選手(広島)とか1軍で出ている選手の、練習に取り組む姿勢を見ていたら僕はまだまだダメなあと。鈴木選手は、ことし前半にケガをしていて、体のコンディショニングにも気を使っているのがよく見えたんで。そういうとこです」。また北條選手は「そういう高い目標を持たないと妥協してしまう。目標を高く持って来年過ごしていきたい」というような話もしています。台湾でいろんな意識改革があったのかもしれませんね。

帰りのエレベーターに乗り込んだ北條選手。
帰りのエレベーターに乗り込んだ北條選手。

来年に向けて「3年目ということで、どのポジションを任されても信頼されるような選手になって、来年は1軍に上がって試合に出たい。まずは守備をしっかりしていかないと試合に出られないと思うので、まずは守備から信頼されるように頑張ります。ことし1軍登録されましたが試合には出ていないので、来年は絶対試合に出て1本でも多くヒットを打ちたい」と意気込みを語りました。

最後に「このオフは体をしっかり作るというよりも、自分の技術、体力面もすべてレベルアップしていかないとダメだと思っています。特に下半身の強化。去年は上半身のトレーニングをやっていたんですけど、ことし8月に打率が一気に下がった。バッティングをやっていて下半身の粘りがないかなと思いました。しんどい時に強い下半身でいられるよう、オフは走って体を動かして下半身のトレーニングをします」

21Uで教わったことも?「誰かのやり方とかは…しないです。僕には合わん」。ぶっ!正直な意見をありがとう。

【梅野】 1年目 840→1800

サインは?「しました。アップです。想像にお任せします」。どんな話を?「この1年よく頑張ってくれた。来年この経験を生かせるようにと、そういう話でした」。特に評価が高かったのは?「やっぱり守りの面でマスクをかぶることによって、すごく成長してくれたと。1試合1試合、見るたびに技術的にも上がってくれたと言っていただきました。自分自身はまだまだ成長段階でもありますし、これから勉強していかないといけない立場なので、来年につなげていけるように頑張っていきたいです」

やれば上がるという実感を得た?「自分は1年目で過去の実績もない中、きょうを迎えたので、すごく細かく高く評価してもらったことが嬉しいですね」。ドラフト指名時の気持ちと比べてどうかとの問いに「(指名)順位の悔しさも当時はありましたが、今はプレーしてこれだけ出させてもらった中での評価。すごく嬉しいです」。笑顔の絶えない会見になりました。

今シーズンを振り返って「自分が思った以上に経験させていただいた。最後は悔しい思いもしたけど、この財産は来年に生きると思います。課題もたくさん見つかったし、来年に向けてしっかり克服していきたい」と梅野選手。課題とは?「守り、バッティング。バッティングは最後に苦しんだのでフォームの固定など。守りは、当たり前のことをしっかり。ワンバンとか送球、そういうところの正確さをしっかり追及していきたいと思います」。田淵さんと比較されることが多かったですね。「“何年ぶり”というものがついて来ながら、自分は意識することなく試合をこなすことに一生懸命でしたが、2打席連続(ホームランを)打った時に“何年ぶり”と出たのは、すごく嬉しかった。光栄なこと」

大幅アップした年俸の金額を聞かれ、思わず笑顔がこぼれる梅野選手。
大幅アップした年俸の金額を聞かれ、思わず笑顔がこぼれる梅野選手。

オフは?「体を鍛え直して、体重が落ちた分もトレーニングで取り返していきたい。技術も、1日1日やれることをやって無駄のない、来年につながる練習をしたいです」。またオフにはゴルフコンペも多く「プライベートの素顔も見られるイベント。リフレッシュした中での経験も必要かな」と楽しみにしている様子。ゴルフは大学の授業でハーフラウンドしたものの、フルコースを回るのは初めてで「ヘタだとは思うんですけど、ちょっとうまいかな?というくらいのスコアは出したい」と、そこは負けん気も顔を覗かせます。

来季に向けて一言。「今シーズンの数字を上回ることはもちろん、信頼のおけるキャッチャーとして、またスタメンで多くマスクをかぶれるように。144試合通じて体力の面も必要だと思うので、144試合どっしりと構えられるようなキャッチャーとして、来年は頑張っていきたいと思います」。キャッチャーで144試合出るのは、なかなかないことですね。「誰もが144試合(マスクを)かぶりたいという気持ちは持っているはず。アクシデントもあると思うけど、それに耐えうる体力をつけたい。先のことは考えず、1試合1試合が勝負。その結果として144試合の積み重ねだと思います」。自信はある?「そういう自信は持っていきたいです」

今回も『小虎日記』に掲載するには申し訳ない顔ぶれがあったんですけど、これからの契約更改は1軍でシーズンのほとんどを過ごした選手やベテラン選手の登場となるため、取材は遠慮させていただくと思います。ご了承くださいませ。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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