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じっくり決めてもあっさり離婚。セレブにも見る、“絶対”はない結婚の法則

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
知り合って10年、8ヶ月で破局したマイリー・サイラスとリアム・ヘムズワース(写真:REX/アフロ)

 焦らず、じっくり相手を見極めてから。それは、結婚相手選びにおける鉄板のルール。だが、そのとおりにしたのに、うまくいかないこともある。マイリー・サイラスとリアム・ヘムズワースは、その最新の例だ。

 ふたりが結婚したのは、昨年12月。しかし、出会いは映画「ラスト・ソング」を撮影した2009年で、なんと10年前である。その間、くっついたり離れたり、婚約したり破棄したりと波乱万丈だったが、昨年秋、マリブの火事でサイラスの家が焼けた時、ヘムズワースが彼女のペット(犬7匹、猫3匹、豚2匹、馬4頭)を救出してくれたことが、決心を後押しした。晴れて夫妻となったふたりを世間は祝福したが、8ヶ月後に聞いた最新ニュースは、ベイビーではなく、破局だったのである。

 アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットも、カップル歴は11年ながら、うち結婚していたのはたった2年だ。ともに離婚経験者であるふたりは、長い間「誰もが結婚できる世の中になるまで自分たちも結婚しない」と述べてきたが、成長するにつれて、子供たちが「どうしてパパとママは結婚していないのか」と聞くようになったことから、考え始めた。指輪は、ピットが1年もかけて、ジュエリーデザイナーと一緒にデザイン。ウエディングドレスは、6人の子供たちによるイラストを施したものを特製している。だが、その後、ふたりは、結婚期間と同じくらいの年月を、親権争いのために費やすことになってしまった。

 ピットの元妻ジェニファー・アニストンの2回目の結婚も、交際時代に比較して短い。彼女とジャスティン・セローが交際を公にしたのは2011年、結婚は2015年、破局宣言は昨年2月だ。実際には、その発表の何ヶ月も前に別れていたそうで、そうなると、7年一緒だったカップルが結婚していたのは2年ほどだったことになる。オスカー女優ヘレン・ハントとハンク・アザリアも、5年の交際を経て1999年に結婚したが、わずか11ヶ月で破綻した。

 そして、ジョニー・デップとアンバー・ハードがいる。彼らの交際期間は3年で、結婚期間は15ヶ月。彼らが特有なのは、争いがまだ続いていることだ。離婚条件の合意自体こそ3ヶ月でなされたものの、その後も泥沼状態で、今年3月には、デップがハードに対する訴訟を起こしているのである。現在のところ、裁判は、来年2月にヴァージニア州で始まる予定。決着がいつになるかは予測のしようもないが、1年ちょっとの結婚の後始末にしては、相当に長い。

 現在26歳のマイラスも含め、これらのセレブは、みんな、もう十分大人。若気のいたりでよく考えずに突っ走ったわけではなく、長年、一緒に暮らし、いろいろ乗り越えてきた相手と、このまま一緒に生きようと決めたのである。お互いの悪いところも含めて、この人を知っている、この人なら受け入れられると思った。それなのに、ある時、どちらかが、あるいは両方が、もうダメだと思う何かが出てきてしまったのだ。人生にも、結婚の法則にも、“絶対”はないのである。

 そこは、最も選べる立場にあるセレブでも同じなのだ。一方で、その先に何があるのかわからないのも、同じである。もしかしたら、本当に正しい相手との出会いは、明日にでもあるのかもしれない。あるいは、すでに知っている人の中に潜んでいたりするのかもしれない。彼らの人生の次のステージに、きっと素敵な何かが待ち構えていることを祈りたい。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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