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プロキャンパーが解説!日常と災害の境界を無くす「フェーズフリー」はどんな世代にもマストな防災手法

いわもととしたつキャンプクリエイター/アウトドアライター
PHOTO by Unsplash

2024年8月に発生した「台風10号(サンサン)」は、2018年に関西国際空港を孤立させた2018年の台風とコース、勢力が似ているという事もあり、最大限の警戒をするようにアナウンスされています。

しかし、我が家はこれといって特別な防災対策を取っていません。なぜなら日常と災害の境界を極力無くす「フェーズフリー」を実践しているから。これはキャンプとの相性も非常に良く、いつ起こるか分からない地震などにもうってつけな防災手法なんです。

今回はプロキャンパーが実践するフェーズフリーのやり方を解説していきます。

フェーズフリーとは

PHOTO by 写真AC
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防災と聞くと、非常食の備蓄や避難場所の確認など、日常生活から切り離された特別な準備を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、フェーズフリーとは「日常と災害の境界を無くす」というのが目的の比較的新しい考え方です。

災害時に必要なアイテムやスキルを、普段の生活の中で自然と使いこなすことで、いざという時に慌てることなく対処できるようにします。これにより、無理なく防災対策ができるという訳です。

アウトドアなどのレジャーや日常のシーンでも活用することで、災害時でも使い方が分からないとか、上手く動かないといったことを避けることが可能になります。

防災用品を日常に組み込む例

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フェーズフリーの実践例として、まずは防災用品を日常生活に取り入れる方法が分かりやすいでしょう。例えば、停電時にも使える手回し式のラジオを普段の生活の中で音楽を聴くために使ったり、ソーラー充電式のライトを庭やベランダでの照明として使うことが挙げられます。これらのアイテムは、普段から使用することで使い方に慣れておくだけでなく、いざという時にもすぐに使える状態にしておくことができます。

また、防災用の保存食も日常的に食卓に取り入れるというのも考え方の一つ。非常食は長期間保存できますが、実際の災害時に初めて食べると味に馴染めないという事態も起こりかねません。普段から非常食を食事に取り入れることで、食べられそうなものとそうでないものを確かめ、ストックしておく物を見極めることが出来ます。このあたりは「ローリングストック」という手法が非常に便利なので、合わせてチェックしておいてくださいね。

キャンプと防災は相性抜群

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ここまで紹介してきた事でお分かりいただけるかと思いますが、フェーズフリーの考え方はキャンプとの相性が非常に良く、キャンプを楽しみながら無理なく取り入れる事が出来る様になります。

電気が途切れた時に重宝するランタンについても普段からキャンプで使用していれば使い勝手は分かりますし、ガスバーナーといった調理系のギアも安全性を配慮して使用する事が出来ます。避難所に行く際にはマットや寝袋を持って行けます。

その他にもピクニックで使うような「ポップアップテント」は避難所でのプライベート空間確保に非常に便利ですが、収納の仕方にコツがあるので普段から使っておくと安心です。

防災用品選びに役立てて

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逆に、防災用品を選ぶ際に、キャンプやレジャーに使えるものを選ぶという考え方もあります。例えば、多機能ナイフやコンパクトな調理器具などは、災害時にもアウトドアでも非常に便利です。

さらに、家族構成やライフスタイルに合わせて、必要な防災用品を見直していくことも重要です。子育て世代の場合は、子供が使いやすい防災グッズを選ぶことがポイントになります。小さな子供でも簡単に使える防災用のラジオやライト、軽量で持ち運びしやすいブランケットなど、家族全員が安心して使えるものを揃えていきましょう。

災害はいつ起こるかわからないからこそ、日常から備えておくことが大切です。フェーズフリーの考え方を取り入れ、日常から防災スキルを身につけることで、比較的どんな世代でも無理なく防災対策が可能になります。何が起こるか分からないこのご時世、無理なく無駄なく備えておきたいものです。

キャンプクリエイター/アウトドアライター

『子どもを育む場としての「キャンプ」こそ持続可能な社会の第一歩』をテーマに、子どもはもちろん大人の環境意識やサバイバル知識を高めるために日夜活動。実体験を通したキャンプの知識や雑学、マニアならではの考察についてお届けしていきます。

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