推定年俸は463%増、取材陣も昨年の5倍以上!それでも自然体の阪神・桑原謙太朗投手
連日の契約更改で、大幅アップも続出している阪神タイガース。この3日間で9選手が契約を更改して、結果は以下のようになりました。数字は今季→来季の年俸(単位は万円)、金額は推定です。
【5日】
中谷将大選手 1200→3800
鳥谷敬選手 40000→40000
梅野隆太郎選手 1350→2500
高山俊選手 4000→3800
上本博紀選手 3300→4300
【6日】
秋山拓巳投手 1100→4100
岩崎優投手 2500→4500
高橋聡文投手 5000→7000
【7日】
桑原謙太朗投手 800→4500
5日の中谷選手が「現時点でチーム最高217%のアップ率」と新聞記事に出た翌日、今度は秋山投手が273%アップ。そして、きのう7日の桑原投手は463%増!これは球団史上最高のアップ率だそうで。まあ今季年棒との比較ですからね。考えてみると、今季の成績に桑原投手がどれほど大きく貢献したか、ということでしょう。もっとあげたいくらいです。自分のお財布じゃないけど。
ひとことで言うと「大変だった」
では、きのう7日の契約更改交渉後、会見に臨んだ桑原謙太朗投手(32)のコメントをお伝えします。この日は桑原投手ひとりだけの交渉だったのですが、球団事務所のプレスルームにはテレビカメラが10台近く並び、記者陣もカメラマンの数も多かったですね。会見場に入ってきた桑原投手は、まずそれに驚いた様子でした。
【桑原謙太朗投手】 10年目 800→4500
★1軍 67試合 4勝2敗 65回2/3 防御率1.51
安打52(本塁打2) 三振63 四球10、死球3
ホールド39、ホールドポイント43
★ファーム なし
《テレビインタビュー》
サインはされましたか?「しました」。間違いなくアップだったと思いますが、上がり方は“思っていた通り”、“思っていた以上”、“ちょっと低かったかな”のどれでしょう?「思っていた以上に評価していただいたと思います」。素晴らしい成績に、球団からはどんな評価が?「よくやってくれたという話はしていただきました」
最多ホールド、最優秀中継ぎ投手というアピールポイントがありますが、桑原投手から何か話したことは?「僕から特にはなかったです」。高い評価を得た具体的なところは何だと?「そうですね。まあランナーがいた時だったり。ホールドもそうですけど。そういうところですね」
年俸が上がる分の使いみちは?「今のところ、まだ特に決めてないです」。この1年を振り返ると?「ひとことで、大変だったなあと思います」。どのあたりが?「年間通してやる難しさ。すごく疲れたシーズンでした」。2月のキャンプまでの過ごし方は?「体を動かしながら、しっかりと来年に向けて準備をしていきたい」
来シーズンの抱負を。「ことし1年、しっかり活躍できたと思うので、ことしの成績に負けないよう来年もしっかりやっていきたいです」
ここまでが代表質問で、追加で2つ質問がありました。
1年を振り返って、ピッチング面の課題を感じた部分と、2月のキャンプで取り組みたいところは?「ずっと制球力は課題だと思っているので、そこはしっかりやっていきたいなと思います。重点的にそこかなと」
登板数、ホールド、防御率などありますが、来シーズン一番大事にしていきたい数字は?「一番は防御率なのかな。失点しないことが一番チームに貢献できるのかなと思います」
取材陣の多さも昨年の5倍以上?
《囲み取材》
続いて、記者陣による囲み取材です。ことしは自身で想像しなかった1年でしたか?「そうですね。まったく想像していなかったですね」。シーズン途中まで防御率0.00だったことも。数字はモチベーションになる?「なかなか難しいことだと思いますけど、頑張って成績を残せるようにやっていきたいと思います」
年間通してやる難しさという話がありました。来年に必要だと感じたものは何?「一番はやっぱりケガしないこと。ことしに関しては、そういう面でできたかなと思います」。ケガをしない体作りが大事だと?「序盤、中盤あたり調子がよかったけど、終盤にちょっと打たれたりしたので、そのへんに関してもやっぱり、すごく大事だなと思いました」
以前、球種を増やしたいと言っていましたが。「自分にない球種をちゃんと使えるようにはしていきたいなと思っています」。落ちるボール系?「そうですね」。そういう球は今までなかった?「持ってはいますけど」。理想の軌道は?「漠然としたイメージしかないので、何とも…」
ことし結果を出して、来年へのプレッシャーはある?「今のところまだ来年がどうなるか、わからないですけどね。期待もあれば不安もあるかなって感じですかね」。ことし感じた手応えは?「まずフォアボールが少なかったのが一番かなって思います」。巨人戦の防御率をもっとよくしたい?「そうですね。たぶん巨人戦が一番打たれたなって、自分の中でイメージはあります。そのへん何か対策をしっかりしていきたい」
ところで、提示された金額を見てどう思った?「あ、ありがとうございます」。ここで本人も記者陣も大笑い。「その、ひとことですね」。だいたいこれくらいはいくかなと?「すごい評価をしていただいたなと思いました」。予想より、だいぶ上?「だいぶ、ではないですけど。想像よりちょっと上くらいです」(ちょこちょこ探っているものの、なかなか推定が難しい)
昨年は、球団事務所でも安芸の秋季キャンプ宿舎でもなく、虎風荘で契約を更改した桑原投手。テレビカメラどころか取材陣も多くて5人くらいだったはずです。しかも交渉はトップバッターだったと思いますが、ことしは12月のこの時期に、これだけの注目を集めて…。そんなことを思いながら「もう質問はないですか?」と広報の方に言われたので、最後に聞いてみました。
昨年は鳴尾浜での契約更改で、ことしはこういう場になって、戸惑いますか?「そうですね。記者が多いなあと(笑)」の答えに我々も爆笑。やっぱり、かなり環境が違いますか?「そうですね。そこが一番、思いましたね」。1年前に比べて時間も5倍くらいだった会見は、桑原投手のいい笑顔で終了です。
来年も変わらず自然体で
ことしの7月16日、オールスターゲームが終わって後半が始まる前日、甲子園での練習終わりに桑原投手と遭遇。開幕からずっと1軍にいたので、なかなか会う機会もなかったのですが、久しぶりですねえ!から始まって少しだけ聞いた話をご紹介します。
すごい活躍で感動していると言ったら「どうなっているんでしょうねえ(笑)」と桑原投手。予想通りの返事で笑いました。去年でも同じようにやれたのでは?「それはわからないですよ。うまくタイミングが合っただけで。でもオープン戦から落ちずに、そのまま来られたのは大きいですね」
疲れはない?「疲れはまあ…歳もありますし(笑)。行けるとこまで行くだけですね」。別れ際に、頑張ってください!と激励したら「行けるとこまで行きますわ。やれるとこまでやりますわ」と、力みもなくナチュラルに返して去っていきました。
桑原投手らしい、桑原投手ならではの言葉。それで本当に最後まで“行った”わけですよ。昨年ファームで、終盤にずっと無失点の好投が続いていたのに、最後のソフトバンク戦でそれがストップしてしまった時も「まあ、いつかは打たれますからね」というコメントでしたっけ。あの自然体は、きっと来年も変わらないでしょう。
<掲載写真は筆者撮影>