なぜレアルは失態を犯したのか?ジダンのマネジメントと頓挫した「新生レアル・マドリー」構築計画。
レアル・マドリーに、危機が訪れている。
現地時間20日にコパ・デル・レイ3回戦が行われ、マドリーはアルコジャーノと対戦。1-2で敗れ、ベスト32敗退が決定した。
この試合前、公式会見で「コパを獲得していない事実を思い出させてくれてありがとう」と皮肉交じりに記者に答えていたジネディーヌ・ジダン監督だが、2部B(実質3部)に属するアルコジャーノに屈して解任の可能性が取りざたされている。
いま、マドリディスタが思い起こしているのは、ジダン監督のコパにおける無冠ではない。それは「アルコルコナッソ」だ。2009-10シーズン、マヌエル・ペジェグリーニ当時監督の下、マドリーは2部Bのアルコルコンに大敗した。そのシーズン終了時にペジェグリーニのクビが切られている。
では、なぜマドリーは格下相手に屈してしまったのだろうか?
問題は複数あるが、そのひとつは若返りの失敗だろう。
今回のコパの敗戦の直前に、ルカ・ヨヴィッチのフランクフルト移籍が決定した。今季終了時のレンタルでフランクフルトへの復帰を果たしたヨヴィッチだが、デビュー戦でいきなり2得点を挙げている。わずか28分で、マドリー在籍時と同じ得点数を記録したのだ。
「私に責任があると言うのは簡単だ」とはジダン監督の言葉だ。
「だがレアル・マドリーというのは難しいクラブだ。私は選手としてもそれを経験している。全選手にとって条件は同じだ。(レアル・マドリーの)チーム内にいる時は自分の強さを示さなければいけない。競争は激しい。監督のせいではない。選手が証明しなければならないんだ」
現役時代に輝かしいキャリアを築いたジダン監督らしいコメントだ。だがフロレンティーノ・ペレス会長は数年前から若手選手の発掘に力を入れている。ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエス、エデル・ミリトン、アルバロ・オドリオソラ、こういった選手たちが出場機会を得られない状況をクラブは予想していなかっただろう。
今季、マドリーはチャンピオンズリーグでも苦境に追い込まれていた。グループステージ最終節のボルシア・メンヒェングラッドバッハ戦を前に、敗退の危機に瀕していた。そこでジダン監督が賭けたのは 'vieja guardia(ビエハ・グアルディア)'と呼ばれる古参グループだった。
ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、カゼミーロの盤石の中盤とセルヒオ・ラモスやカリム・ベンゼマを中心にしたチームだ。
この夏、レンタルバックしたマルティン・ウーデゴールは、今冬の移籍市場で移籍に傾いている。プレータイムを求めて、若い選手が流出してしまっている。
ダニ・セバージョス、ヘスス・バジェホ、ボルハ・マジョラル、久保建英、ヘイニエル・ジェズス、ブラヒム・ディアスといった選手が夏の段階でレンタルで放出された。彼らも残留していたらウーデゴールのようになっていた可能性がある。
今季、マドリーの出場試合数のトップ10を見るとティボ・クルトゥワ(公式戦25試合出場)、ラファエル・ヴァラン(24試合)、モドリッチ(24試合)、ベンゼマ(23試合)、クロース(23試合)、マルコ・アセンシオ(23試合)、カゼミーロ(22試合)、ルーカス・バスケス(22試合)、セルヒオ・ラモス(21試合)、フェラン・メンディ(21試合)となっている。
2017年夏以降に加入した選手はクルトゥワとメンディだけだ。ジダン監督が語るように、ポジションは掴み取るものである。だがベテランに頼る結果、勤続疲労がくるのは否定できない。
「新生レアル・マドリー」の構築は成功しているとは言い難い。コパの敗退はジダンのマネジメントにおける失敗で、それは今後を見据えた時に危険な兆候かも知れない。