freeeと楽天銀行がAPI連携を終了へ。ユーザーの対処法はある?
クラウド会計「freee」が、2022年2月24日をもって楽天銀行とのAPI連携を終了すると発表しました。中小企業や個人事業主に人気のサービスの使い勝手が変わることに、戸惑いの声が上がっています。
銀行口座と外部サービスの情報連携では、かつては利用者向けのWebサイトを解析して機械的に情報を取得する(スクレイピング)方式でしたが、最近ではデータ連携に適した「API」の整備が進んでいます。
楽天銀行は法人向けに「楽天銀行APIサービス」を提供しており、同社によればfreeeもこれを利用していたようです。しかしfreeeは、その契約期間を満了したことでAPI連携を終了すると発表。「2社間の協議の上、契約満了に至った」(freee広報)と説明しています。
楽天銀行側も同様の事実を認めており、一方的に契約を破棄したような形ではなく、楽天が提供するサービスなどに顧客を誘導するといった意図もないと説明しています。両社ともに詳細は語っていないものの、API利用における条件面などで折り合いがつかなかった可能性が考えられます。
気になるのはユーザーへの影響です。freeeでは、API連携終了後も明細をアップロードすることで、取引を自動的に登録する方法を案内しています。つまり2月24日以降も、楽天銀行の明細を1件ずつ手入力する必要はなさそうです。
実際に操作してみました。楽天銀行からは、24ヶ月以内かつ3000件以内の明細について、CSV形式のファイルを即時ダウンロード可能です。
freeeにアップロードする際には、ファイルの中身やファイル名の変更などは不要。アップロードしたCSVファイルの列が自動的に認識されました。
ただし、CSVファイルに出力した期間が重なっている場合など、明細が重複していないかどうかは自分でチェックする必要があるようです。また、モバイルには対応しておらず、パソコンが必要と説明されています。
freeeによれば、CSVファイルのアップロード機能は「2月中旬までに機能アップデートする予定」とのことから、何らかの改善を期待できそうです。
2022年2月14日追記:
楽天銀行の口座明細アップロード機能が改修され、freeeのサイトに操作手順や動画が公開されています。
freeeと楽天銀行の両方が損する結果に
筆者のfreeeの使い方は、毎月1〜2回ほどログインして銀行やクレジットカードから同期された内容を確認し、必要があれば追加の入力作業をしています。これに伴い、さまざまな事務作業をするので、手動でアップロードする手間が増えても大きな負荷になることはなさそうです。
すでにfreeeと楽天銀行を使っているユーザーにとって、他の会計ソフトやネット銀行に移行するのは大変なので、ただちに使うのをやめるとか、乗り換えるといった事態にはならないと思われます。
一方で、これから会計ソフトを選ぶ人、ネット銀行を選ぶ人にとっては気になる要素です。freeeのライバルであるマネーフォワードや弥生は、楽天銀行との接続を今後も継続するとしています。
こうして見ていくと、ユーザーや購入検討者を戸惑わせつつ、freeeと楽天銀行の両方が損をする結果になっているように思います。両社ともに今後も協議をしていく意向はあるようなので、進展を期待したいところです。