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首位と1ゲーム差の2位へ浮上!福永がトップタイの4勝、陽川は4号3ラン《5/16 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
試合が終わり、選手を迎える掛布監督。3ランを放った陽川選手と手を合わす直前です。

ずっと5割前後を行ったり来たりしていた阪神ファーム。16日から鳴尾浜に広島を迎えての3連戦が始まりました。まず初戦、きのう16日は3回に森越選手のタイムリーと陽川選手の4号3ランで逆転!5回に坂本選手の2点タイムリーで追加点を挙げ、6対4で逃げ切っています。これで貯金2となった阪神ですけど、これが今季最多、しかも3月28日以来2度目。たった2つの貯金なのに。

と思われる方も多いでしょう。きのう16日現在のウエスタン・リーグ順位を見ると、首位から最下位まで4ゲーム差しかないんですよ。最初はオリックスが走っていたものの、いつの間にかソフトバンクが一番上にいますね。相変わらず。

1 ソ 19‐15‐3 .559

2 神 18-16-4 .529 1.0

3 オ 15-14-4 .517 1.5

4 広 14-18-3 .438 4.0

4 中 14-18-2 .438 4.0

なお、4号3ランの陽川選手が本塁打と打点で上位に入ってきました。これはのちほどご紹介します。5月6日に甲子園の広島戦で1軍デビューを果たした福永投手が、それ以来の登板で先発。4勝目を挙げて、リーグトップタイです!またこの日は、1軍からキャンベル選手と江越選手が出場しています。

《ウエスタン公式戦》5月16日

阪神-広島 9回戦 (鳴尾浜)

広島 100 100 002 = 4

阪神 004 020 00X = 6

◆バッテリー

【阪神】○福永(4勝2敗)‐安藤‐山本‐伊藤和‐メンデス / 坂本‐小宮山(7回~)

【広島】●中村恭(2勝3敗1S)(5回)-今井(2回)‐中崎(1回) / 磯村

◆本塁打 陽川4号3ラン(中村恭)

◆二塁打 狩野、キャンベル

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]遊:植田  (5-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .254

2]二:森越  (5-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .219

3]右一:陽川 (5-1-3 / 2-0 / 0 / 0) .260

4]左:狩野  (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

〃走左:俊介 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .297

5]一:キャン (2-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .280

〃走三:大山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .233

6]三一:新井 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .372

〃右:板山  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .203

7]中:江越  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .000

〃中:緒方  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .258

8]捕:坂本  (2-1-2 / 0-1 / 0 / 0) .167

〃捕:小宮山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 1) .111

9]投:福永  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000

〃打:小豆畑 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .185

〃投:安藤  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:山本  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃投:伊藤和 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打:西田  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .319

〃投:メンデ (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

福永 5回 71球 (6-1-1 / 2-2 / 2.50) 144

安藤 1回 18球 (2-0-0 / 0-0 / 0.00) 140

山本 1回 15球 (0-0-0 / 0-0 / 1.62) 137

伊藤 1回 22球 (0-0-1 / 0-0 / 0.00) 145

メン 1回 17球 (2-0-1 / 2-2 / 2.18) 151

試合経過

福永は1回、先頭の庄司に四球を与え、坂倉の中前打で無死一、三塁として3番・メヒアの遊ゴロ併殺打の間に1点を失います。しかし2回は三者凡退、3回も内野安打1本のみで後続を断って無失点でした。打すると打線が3回に反撃。先頭の坂本が死球、福永は初球で犠打を決め、植田の中前打で1死一、三塁。続く森越の左前タイムリーで同点!なおも1死一、三塁で3番・陽川がレフトへ特大の4号3ランを放って勝ち越し!4対1とします。

4回に福永は先頭のメヒアに右前打されるも、バティスタを二ゴロ併殺打で2死ランナーなし。ところが次の岩本と土生に連打を許し、下水流のタイムリー(レフト、センター、ショートの間にポトリ…)。3連打で1点を返されました。でも5回は三者凡退に切って取り、この回で交代。5回を投げ6安打2失点です。

ともに1イニングを無安打無失点に抑えた山本投手(右)と伊藤隼投手。
ともに1イニングを無安打無失点に抑えた山本投手(右)と伊藤隼投手。

打線はその裏、狩野の左前打とキャンベルの三塁を強襲する左翼線二塁打で1死二、三塁として、2死後に江越の四球で満塁。続く坂本が中目タイムリーを放って2人(代走の俊介と大山)を還し、6対2とリードを広げました。

6回は安藤がバティスタと岩本の連打を浴びながら無失点。7回は山本と小宮山のバッテリーで三者凡退。8回は伊藤和が2死から四球を与えたバティスタの代走・上本に二盗を許し、小宮山の送球エラーもあって三塁まで進めますが、岩本は二ゴロで無失点でした。こちらの打線も6回から追加点なく、9回にメンデスが四球とヒットなどで2死二、三塁として1番・庄司の右前タイムリーで2点を返され、6対4で試合終了。

期待があるからこその注文

掛布監督は、まず4号3ランを放った陽川選手について聞かれると「あの後もう1本、何か結果を出してくれるといいんだけどね」と、三振2つと遊ゴロに終わった、以降の打席を指摘しました。「この6連戦で、きょうのホームランを含めてどういう形を作れるか。このホームランだけではね。だいたい普通は続くもんなんだけどねえ。この6連戦が1軍をうかがう上で陽川にとって大きな意味を持つと思うよ」

そして、もう一言つけ加えました。「あすも広島は左ピッチャーなので、きょう最後の中崎は打ってほしかった(結果は2死一塁で見逃し三振)。あれを打てば評価も変わってくる。まあ、あすからですね」

また5回2死満塁で2点タイムリーの坂本選手には「あれ、(初球のストライクを見送って)2球目を打ったでしょう?フォアボールで満塁になって、当然ボールから入る場面じゃないから初球の変化球を打ちにいっていいんだと言いました。状況を判断して、絞っていくことが大事と。これをピッチャーのリードに生かせばいい。両方で勉強になる」と話しています。

ケガで出遅れた1軍の正捕手争いですが、掛布監督は「他の3人にないものを出すべきだよね、坂本は。打つことより守ることで」と言い、坂本選手に“守備”でアピールすることを説きました。

陽川、打点2位へ浮上!

陽川選手は3ランを振り返って「1、2番がつないでいい流れだったから、自分もその流れに乗ってつなぐという意識で打席に入りました。打球方向が微妙だったので切れるかなと思ったけど、切れなくてよかったです」とコメント。また、この日はライトで先発出場し、8回からファーストに回りました。

カメラを向けると必ず、一度は“拒否”しますが、ちゃんと陽川選手だとわかりますね!
カメラを向けると必ず、一度は“拒否”しますが、ちゃんと陽川選手だとわかりますね!

ライトは?「初めてですよ。中学以来かなあ」。大学も高校もなかったそうです。レフトに比べてどうかと聞かれ「まだ1日しかやってないけど、角度も違うので」とのこと。でも、こなせれば1軍でのチャンスが広がりますね。「それもあるけど、まずバッティングで結果を出さないと」と陽川選手。

昨年、陽川選手が二冠を獲得したホームランと打点は、先日まで『ジェンセン、バティスタ、メヒア』と外国人選手が上位を独占していたウエスタン・リーグ。ここへきて、ホームランはバティスタ選手(広島)が10本でトップ、ジャンセン選手(ソフトバンク)が8本、ついで陽川選手の4本という順。打点もトップはバティスタ選手の27点ですが、陽川選手はジェンセン選手の25点を抜き、26点で2位に浮上しました。このまま打ち続けてアピールしましょう!

坂本選手は5回の2点タイムリーについて「4対2になって(ゲームが)どっちに行くかわからない展開だったから、あそこで点を取れてよかった。しっかり打ててよかったです」とコメント。復帰してから順調に打席も重ねてきましたね。「1打席目にフォアボールを取れたし、低めの変化球とかしっかりボール球も見られたので、そこはいいかなと思います。そういうのがあるから、次につながったのかも。ただ速い球を待ちながら変化球にどう対応できるか、というのが大事。ちょっとずつよくなっています」

3回1死一、三塁で左前タイムリーを放った森越選手。レフトの前に落ちる当たりで坂本選手が同点のホームを踏み、一塁からスタートを切っていた植田選手も三塁へ進みました。ただし森越選手は「エンドランです。ゴロですよね、ゴロ」と複雑な表情。結果はタイムリーで、続く陽川選手の3ランに繋がったわけですが、あそこは転がすべきだったと悔やんでいるのでしょう。

「慎重になりすぎた」と反省の福永

福永投手は5回6安打2失点で4勝目。とはいえ反省しきりのコメントです。「慎重にいきすぎました。安全になりすぎた。いつもファームで投げている思いきりの良さや大胆さが、今までで一番少なかったかも。もっと思いっきり腕を振って攻められていたら…」

それはやっぱり1軍で投げた直後だったことも影響していた?「それが一番大きかったと思います。1軍で自分のピッチングができなくて、課題が出て、そこから初の登板だったので。その課題とかをしっかりやらなアカンというのがあって、すごく慎重になってしまったと思います」

今後、取り組むところは?「制球力。それよりもっと思いきって自分の力を出せるように」。開始早々、先頭への四球は「まさにそこですね」と苦笑する福永投手でした。5回裏の攻撃中、久保投手コーチに呼ばれてブルペンへ行き、ピッチングをしたみたいですね。「はい!50球投げました」。久保コーチによれば「ちょっと調整をね」とのこと。

1軍初登板初先発は、4回10安打6失点と苦いデビューとなったものの「きょうは1軍で実際に得た感じをそのままと思って。緊張感とかも、イメージではなくわかったので」と言います。思い描いていたイメージが、今はもう実感として体にも頭にも残っているわけですね。

試合後、坂本選手(右)と話す福永選手。ちょっと苦笑い、ですかね。
試合後、坂本選手(右)と話す福永選手。ちょっと苦笑い、ですかね。

なお坂本選手とは普段から、配球についてテレビを見て話したりしているそうで「自分の中では“次に何が来る”と想定しながらいけた。その通り(のサインが)来ましたし」とニッコリ。

おまけ★さまざまな母の日

最後に、14日の母の日は何かしたのか聞いてみたところ、福永投手からはこんな答えが。

「ちょうど母の日が僕の誕生日だったんですよ。だから『おめでとう』って電話がかかってきたので、『いやいや、それは生んでくれたから。生んでくれてありがとう』と言いました」

なかなか言えませんよ。たとえ電話でも。そばで聞いていた二神広報が「僕も、ありがとうは言いますけど、生んでくれてとは…」とビックリしていましたし。

他にも何人か質問したら、守屋投手は「奥さんがしてくれました」と笑顔の返事。そういえば新婚の原口選手も同じでした。青柳投手は「大学まではしていたけど、去年とことしはしていませんね。送るのって大変だから」と言い、植田選手も「去年しましたよ。1回したからいいでしょ」と、それぞれの解釈です。

そして藤谷投手は「母親の誕生日が5月6日なんで、母の日と一緒に兄弟でプレゼントはしたんですよ。で、当日はLINEを送りました」と言います。お、やりますね。なんてLINEを送ったの?「え、『母の日やね』って」。…そ、それだけ?「はい!」。お母さんの返事は?「『そやね』って(笑)」。コミュニケーションはしっかり取れているようです。お母さん、また今度ゆっくりお話しを聞かせてください。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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