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【森友学園問題】 誰が朝日新聞に文書をリークしたのか

安積明子政治ジャーナリスト
追及はなお続く(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

朝日新聞が掴んだもの

 朝日新聞が3月2日の朝刊で報じた「森友文書書き換えの疑い」のニュースは、それ以降の国会を一変させた。ただし“現物”を朝日新聞が文「入手した」のではなく「確認した」としたところがミソだ。果たして朝日新聞は本当に別の文書を手に入れたのか。そしてその文書は「真正なもの」なのか。

「朝日新聞がいま報道する限り、社運をかけてやっているはずだ」

「社長決裁までとったのだろう」

 永田町では色々なウワサが飛び交っている。しかしながら永田町では朝日新聞が掴んだものが本物かどうかという議論は、一部を除いてあまり聞かない。むしろその出所がどこなのかという点が話題になっている。

現物を公表することなく報じたほど朝日新聞が自信を持つということは、その出所はおのずと限定される。まずは最有力視されているのが、原本を持っているとされる大阪地検説だ。

 なぜ大阪地検説が有力視されるのかというと、人事が絡んでいるのがその理由とのこと。ある永田町関係者はこう話す。

検察人事の影響か

「1月の人事で事務次官に昇格するはずだった林真琴刑事局長が、名古屋高検検事長に転出した。名古屋高検検事長は検察内では検事総長、東京高検検事長、大阪高検検事長に次ぐナンバー4で、異例の昇格に見える。しかし法務省は刑事局長の林氏を次官に据え、次期検事総長にと考えていた。それをひっくり返したのが官邸だ」

 正しくは、ひっくり返したのは上川陽子法務大臣のようだ。一見して「大抜擢」のような林氏の名古屋高検検事長人事だが、その裏には「林潰し」があるようにも見える。それに不満を持った検察の一派が今回のリークを目論んだ……というのが、永田町の一部の見たてだ。

「検察にすれば、共謀罪が成立して捜査に必要な法制度はいちおう整備された。もう官邸におもねる必要はないだろうから」(同関係者)

財務省の内部の反乱?

 近畿財務局説も無視できない。というのも昨年3月には、参議院議員鴻池祥肇事務所の面談記録が流出した。それには森友学園理事長だった籠池泰典氏が鴻池事務所を介して財務省に乗り込もうとしていた経緯について書いてあった。

そのメモはまず、3月1日の参議院予算委員会で共産党の小池晃書記局長によって「ある自民党の国会議員の事務所の面談記録を手に入れたもの」と暴露された。同日夜に鴻池氏が会見し、自分の事務所から出た記録であると表明した。

その鴻池氏は麻生派の重鎮だ。これによって麻生太郎財務大臣の関与も囁かれ、「財務省による籠池潰し」の話も一部で流れた。今回もそれに非常に近い匂いがしないわけではない。

 いずれの説も、朝日新聞が“現物”を提示しないことがミソだ。もしわかってしまえば、入手のルートが明らかになってしまう。

 一方で3月8日には毎日新聞も入手した文書の一部を公開。これは朝日新聞が把握しているものとは異なる文書だ。森友学園の国有地購入をめぐる文書は、いったい何種類あるのかわからなくなっている。

 各紙のし烈なスクープ合戦とともに、安倍政権が窮地に立たされているのだけは確かなようだ

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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