主な新興国経済ニュース(5月24日)
ロシア中堅医薬品会社ファームシンセス、来年、米ナスダック上場へ
ロシア中堅医薬品会社ファームシンセスは22日、来年11月をメドに、米ナスダック店頭市場に新規株式公開(IPO)を実施する計画を明らかにした。同社はその前段として、来年3月に試験的にナスダック店頭市場を補完するOTCブリティンボードに店頭上場する方針。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。
同社はすでに先週、米国でロードショー(上場承認後株式公開前に、機関投資家に行う会社説明会)を行っているがドミトリー・ゲンキン会長は同社のIPO計画に対し多くの投資家から関心が寄せられたとしている。同会長は新規上場を機に長期成長戦略をスタートさせ、2022年には売上高を昨年の3億7600万ルーブル(約12億5000万円)から3倍の11億2770万ルーブル(約40億円)に引き上げたいとしている。
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ハンガリー中銀、今年末までに政策金利を3.25%へ―JPモルガン
米大手証券JPモルガンは最新の顧客向けリポートで、ハンガリー中銀の利下げキャンペーンによって、政策金利の2週間物預金金利は今年末時点で現在の4.75%から3.25%へ、1.5%ポイント引き下げられるとの見通しを明らかにした。ブタペスト・ビジネス・ジャーナル(電子版)が22日に伝えた。
中銀は4月23日の前回金融理事会で、市場の大方の予想通り、政策金利を5%から0.25%ポイント引き下げ、過去最低となる4.75%にすることを決めている。昨年8月29日から0.25%ポイントの利下げキャンペーンを開始し、4月会合で9回連続となる0.25%ポイントの利下げを決めており、利下げ幅は計2.25%ポイントに達した。次回会合は5月28日に開かれる予定。
また、JPモルガンは今年末時点のハンガリー通貨のフォリント相場は、1ユーロ=290フォリントと、従来予想の305フォリントからフォリント高に予想を修正した。今年のGDP(国内総生産)伸び率見通しについては、従来予想の0.2%減から0.5%増と、プラス成長に上方修正した。
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旭硝子のインドネシア子会社アサヒマスケミカル、生産能力増強投資へ
旭硝子<5201.T>のインドネシア化学品製造子会社アサヒマスケミカルは22日、今年、3億‐4億ドル(約310億‐410億円)の生産能力増強投資を行う計画を明らかにした。アンタラ通信(電子版)が伝えた。
同社のエディ・スタント取締役は、西ジャワ州チレゴンの既存工場での苛性ソーダとポリ塩化ビニル(PVC)の生産を拡大するとしており、今年末から生産を拡大する計画。生産能力は、苛性ソーダが現在の年間50万トンから70万トンへ、また、PVCは25万トンから60万トンへそれぞれ拡大する。これは石鹸や、合成樹脂、衣料・繊維製品など向けの基礎化学品に対する国内や輸出の需要増加に対応するため。
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商工中金、バンクネガラインドネシアと戦略的業務提携を締結
商工中金は22日、インドネシア4位の国営金融大手バンクネガラインドネシア(BNI)と戦略的業務提携で合意したことを明らかにした。今回の提携について、商工中金は「すでにインドネシアに進出している顧客企業や今後進出を検討している企業への業務支援を強化するのが目的」としている。
提携内容は、インドネシアの経済・投資環境に関する情報提供とバンクネガラインドネシアでの現地口座開設、借り入れなど個別相談への対応となっている。
一方、ジャカルタ・グローブ(電子版)によると、バンクネガラインドネシアは、商工中金との提携によって、今後、日本の中小企業による対インドネシア投資に積極的に関わっていくとしている。同行によると、現在、インドネシアには約1000社の日系企業が進出しており、そのうち、約200社が商工中金の得意先となっているという。
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ベトナム首相、銀行の不良債権買い取り専門会社の発足を最終承認
ベトナム中央銀行のレ・ミン・フン副総裁は22日、懸案となっていた銀行の不良債権の買い取り専門会社(VAMC)の発足に関し、グェン・タン・ズン首相から最終承認が得られたことを明らかにした。地元金融情報サイト、ストックスプラス(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。
中銀によると、VAMCは今四半期(4‐6月)中に運用を開始するとしている。当初、政府の計画では3月末に発足する予定だったが、ようやく動き出す見通しとなった。
政府が20日に議会に提出した報告書では、3月末時点の不良債権比率は融資全体の4.51%となっている。他方、最新の中銀調査では2月時点の不良債権額は78億ドル(約8030億円)、不良債権比率は6%となっており、昨年9月末時点の8.82%、昨年12月末時点の7.8%から徐々に低下しているが、依然高水準だ。
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IMF代表団、「ベトナム経済に回復の兆し見られる」と楽観視
IMF(国際通貨基金)がこのほど発表したベトナムのマクロ経済見通しによると、同国の経済は主に堅調な輸出に支えられて回復の兆候が見られるとし、景気の先行きを楽観視していることが明らかになった。ベトナム通信(電子版)が22日に伝えた。
この見通しはIMFの代表団が4月下旬にベトナムを訪問して同国のマクロ経済の見通しを調査した結果をまとめたもの。また、IMFは、中銀の金融政策については、3月の消費者物価指数(CPI)が総合指数で前年比約7%上昇と、落ち着いてきているものの、値動きが激しいエネルギーや食品を除いたコアCPIは依然高い水準にあるため、中銀による一段の利下げ余地は限定的だとしている。
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ブラジル政府、今年度財政支出を1.4兆円削減へ―黒字目標達成で
ブラジル政府が22日に発表した、今年度の連邦政府歳出削減案によると、今年のプライマリー黒字の目標額1559億レアル(約7.7兆円)を達成するために、歳出を280億レアル(約1.4兆円)削減するとしている。これは今年度の税収額が予想額を678億レアル(約3.3兆円)下回る見通しとなったためだ。
ただ、今年度の歳出削減額は2011年度の500億レアル(約2.5兆円)や2012年の550億レアル(約2.7兆円)を大幅に下回るため、投資額の調整だけで比較的容易に達成できるとしている。また、歳入の減少で、地方政府への資金移転額も今年度は202億5000万レアル(約1兆円)削減されるとしている。
他方、明るい材料としては、今年のGDP(国内総生産)伸び率見通しが従来予想の3.5%増のまま据え置かれたことだ。これは中銀見通しの3.1%増を上回っている。
プライマリー黒字は、プライマリー収入(歳入から地方政府への資金移転に当てられる税収を除いたもの)とプライマリー支出(歳出から国債の利払いを除いたもの)の差額となっている。(了)