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「アマゾンに勝てないなら、手を組め」 中小の小売業者を飲み込むマーケットプレイス事業

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米国の市場調査会社eマーケターは先ごろ、米アマゾン・ドットコムの米国eコマース市場における1年間(2018年)の売上シェアが48.0%となり、前の年の43.1%から拡大するとの推計を公表した。

 また、最新レポートによると、これと同時にアマゾンのマーケットプレイス(出品サービス)を利用する業者も増えている(図1)。

マーケットプレイス、売上高は35.6%増

 2017年の米国eコマース市場全体に占める、アマゾンのマーケットプレイス事業の売上比率は、26.7%だった。これが2018年は31.3%に拡大したとeマーケターは見ている。

 米国における2018年のアマゾンのeコマース売上高は、前年比で29%増と高い伸び。しかし、そのマーケットプレイスの売上高は、同35.6%増と、さらに高い伸び率という。

 また、米国で上位10社に入らないeコマースサイトの売上高は、減少傾向にある。「だからと言って彼らのビジネスが不振というわけではない」とeマーケターは指摘する。

 多くの業者、とりわけ中小の業者は、アマゾンのマーケットプレイスを利用することで売上を伸ばしているという。

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アマゾンの米eコマース売上、2位以降を大きく引き離す

 米国eコマース市場の売上ランキングは1位から、「アマゾン」「イーベイ」「ウォルマート」「アップル」「ホーム・デポ」の順。

 前述したとおり、アマゾンのシェアは48.0%。これに対し、イーベイは7.2%、ウォルマートは4.0%と、いずれも1桁台。

 小売り世界最大手のウォルマートであっても、eコマースではアマゾンの足下にも及ばないという状況のようだ。

 こうした中、アマゾンに対抗するのではなく、アマゾンと手を組んで、売上増を目指す中小の小売業者が増えているというわけだ。

成長原動力の「Prime」も、会員数の伸びは減速

 eマーケターによると、アマゾンの最大の強みは、有料会員プログラムの「Prime」。

 Primeは、アマゾンの米国事業成長の原動力で、今年は、米全世帯の半数以上がメンバーになると、同社は予測している。

 ただ、ここ最近、会員数の伸びは低下傾向にある。

 米JPモルガンがまとめた推計によると、2018年の米国におけるPrime会員数は5850万人で、その前年比伸び率は19%。この数値は4年前、50%だったが、その後右肩下がりで推移している。

 アマゾンは現在、世界17カ国でPrimeを展開している。

 全世界の推計会員数は1億1800万人で、米国外では5950万人。米国外の伸びは30%と依然高い水準。しかし、こちらも数年前に比べ減速傾向にある。

  • (このコラムは「JBpress」2018年11月30日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて編集したものです)
ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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