2019年に向け、本格始動するなでしこジャパン。年内最後のキャンプで光る選手たちのアピール(1)
【2019年女子ワールドカップに向け、新たなスタートを切ったなでしこジャパン】
なでしこジャパン(日本女子代表)候補のトレーニングキャンプが、5日から8日まで静岡県内で行なわれている。
今年はなでしこジャパンがリオデジャネイロ・オリンピックに出場できず、代表の活動日数が限られた。そんな中、高倉麻子監督はなでしこリーグの合間を縫って積極的に代表候補合宿や海外遠征を組んできた。なでしこリーグはすでに全日程が終わっているが、現在は皇后杯の大会期間中。ベスト8が出揃ったが、次の準々決勝は12月17日に開催されるため少し間が空いており、ここしかない、という日程を組んだ。
チームを率いる高倉監督と大部由美ヘッドコーチは、U-20女子ワールドカップが行われたパプアニューギニアから4日に帰国し、そのまま、翌日から静岡県で始まるなでしこジャパンのトレーニングキャンプに合流した。2人はこれまではヤングなでしことなでしこジャパンを兼任する形だったが、U-20の実質的な活動が終わったため、今後はなでしこジャパンに集中する形になる。ハードなスケジュールにも、「選手の顔を見るとフレッシュな気持ちになるので、疲れは感じていません。」(高倉監督)と、指揮官の表情は明るい。
なでしこジャパンは今後、2019年にフランスで開催される女子ワールドカップと2020年の東京オリンピックを目指すことになる。その前にも、来年3月のアルガルベ杯(ポルトガル)、来年12月に日本で開催される予定の東アジアカップ、2018年4月に行われるAFC女子アジアカップ(ワールドカップ最終予選)は現時点で決まっている。
代表チーム強化に向けた高倉監督のビジョンは明確だ。来年は海外の強豪国との親善試合にも意欲を見せる。
「世界ランキングの上から順にリクエストを出しています。」(高倉監督)
2019年のワールドカップに向け、なでしこジャパンのチーム作りはいよいよ本格モードに突入する。U-20女子ワールドカップを終えた選手たちも候補入りする可能性があり、競争も激しさを増していく。
【光る選手たちのアピール】
今回の合宿には、なでしこリーグの各チームの主力クラスを中心に、国内組23名が選ばれた。
選手たちはチームの攻守におけるコンセプトを学びつつ、それぞれの持ち味をアピールしている。
初日の持久力テストでは中島依美(INAC神戸レオネッサ)がダントツでトップになり、スタミナをアピールした。
澤穂希、宮間あやら、歴代のなでしこジャパンのリーダーたちと共にプレーし、リオデジャネイロオリンピック予選にも出場した中島は、5月に発足した新生なでしこジャパンから継続して招集されている。
26歳の中島は、今後なでしこジャパンを引っ張っていく存在になれるか、これからの成長が楽しみである。
「今まで上の(世代の)方たちに引っ張ってもらってきましたが、いつまでも、甘えていてはいけないな、と。しっかりと自覚を持ってやっていきたいです」(中島)
合宿2日目の午前練習では、全員で体幹トレーニングなどやストレッチを入念に行い、ボールを使った練習ではパスやボールがないところでの動き方など、高倉ジャパンの基本的なコンセプトを徹底注入。パススピードを上げることを強調しながらも、状況に応じた強弱を求め、プレー中のステップや姿勢に至るまで「質」にこだわったトレーニングを行った。
午後は2チームに分かれて紅白戦を実施。ピッチでは味方への指示やボールを呼び込む声が響き渡り、選手たちのアピールが随所に光った。
そんな中、中盤でゲームをコントロールしたのが上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟レディース)だ。
今回の合宿では最年長(30歳)で、「(最年長ということで)いろいろと押し付けられています。」と笑うが、チームを盛り上げるために、若い選手と積極的にコミュニケーションをとることも意識していると言う。
本日、7日の午後には、地元の静岡学園高校との練習試合が組まれている。
「攻守においてコンパクトに、全員が連続、連動しながらボールを大事につないでいくことを目指しています。」(高倉監督)
テクニックのある強豪チームとの対戦となるが、チームとして、短期間で共有したコンセプトをどれだけ表現できるかがポイントとなる。
その中で、変化に対する個々の対応力や、「違い」を見せる選手が出てくることにも期待したい。
(3)【選手コメント】に続く