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米陸軍の新型中距離ミサイルLRHWの発射機が初公開

JSF軍事/生き物ライター
米陸軍より中距離ミサイルLRHWの発射機。トラクターヘッドと発射筒はまだ未装着。

 2021年10月7日、ワシントン州タコマ市郊外にある米陸軍のルイス=マコード統合基地に、開発中の新型中距離ミサイル「LRHW」の発射機の試作型が送られてきました。実物の発射機は初公開になります。

 LRHWは極超音速滑空ミサイルであり、現時点で判明している性能は射程2775km以上の中距離ミサイルです。なお最近になってダークイーグル(Dark Eagle)という愛称で呼ばれるようになりました。

 LRHWはトレーラー牽引式で、トラクターヘッドとしてHEMTT(重高機動戦術トラック)のオシュコシュM983A4が使用されます。

米陸軍よりLRHWの発射機。トラクターヘッドを装着、発射筒はまだ未装着。
米陸軍よりLRHWの発射機。トラクターヘッドを装着、発射筒はまだ未装着。

 発射筒(キャニスター)は発射機の上に2本を載せます。大きな油圧シリンダーで起倒し、垂直に近い角度(完全な垂直ではない)まで発射筒を立てて発射態勢とします。

米陸軍よりLRHWの発射機を後ろから。2本搭載する発射筒のうち1本を載せたところ。
米陸軍よりLRHWの発射機を後ろから。2本搭載する発射筒のうち1本を載せたところ。

 最後部にある白い板は耐熱板です。起立した発射筒から発射時に出る膨大な噴射炎を横に逃がす構造で、セラミックス製の耐熱タイルが貼られているようです。

米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。
米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。

米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。
米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。

 アルミナのセラミックスと思われる白い耐熱板はかなり厚く、厚さは数cmから10cm近くはありそうです。新品なので真っ白ですが、ミサイルを発射すれば黒く焼け焦げた色になってしまうでしょう。

左:米陸軍よりLRHW、右:生産担当ロッキード・マーティン社よりLRHWイメージ絵
左:米陸軍よりLRHW、右:生産担当ロッキード・マーティン社よりLRHWイメージ絵

 中距離ミサイル級の固体燃料ロケットのホットランチでの噴射炎を直撃しながら受け流す構造です。

米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。左側面から
米陸軍よりLRHWの白い耐熱板。左側面から

 LRHWは予定では2022年度から2023年度にホットランチ実験と発射飛行実験を行い、2023年度末に1番目の部隊が実戦配備。2024年度から本格生産開始となっています。

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弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人戦闘兵器、オスプレイなど、ニュースに良く出る最新の軍事的なテーマに付いて解説を行っています。

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