フーシ派がうっかり間違えてロシアからの石炭を積んでいた民間貨物船を攻撃し撃沈
6月12日に紅海を航行中のリベリア船籍のばら積み貨物船「MVチューター」号がイエメンのフーシ派による自爆無人水上艇および対艦ミサイルの攻撃を受けて、フィリピン人船員1名が死亡し、6日後の6月18日に船は沈没しました。
2023年10月19日から始まった一連の紅海危機でフーシ派の攻撃を受けた民間船の沈没はこれで2隻目であり、自爆無人水上艇による攻撃成功は初になります。自爆無人水上艇にはダミー人形を乗せて一般小型船に偽装して突入し、船に乗っていた護衛班の対応が遅れました。
攻撃目標選定の失敗
この紅海危機の発端は、2023年10月7日に始まったハマス・イスラエル戦争でフーシ派がハマスの側に立って参戦しイスラエル本土に弾道ミサイル攻撃を仕掛けたものの、イスラエル側のアロー防空システムに阻止され効果が無いと判明した後に、攻撃目標をイスラエルに関連した民間船に切り替えたものです。
しかしフーシ派はイスラエル企業が運航に関連した船を狙って攻撃する方針を取っていますが、目標の選定に誤りがあることが多く、イスラエルやイスラエルを支援するアメリカやドイツなどと全く関係が無い船が攻撃されてしまうことが度々あります。
今回のMVチューター号の場合、5月18日にロシアのウスチ・ルガで石炭の積み込みを行い、インドに向かう途中でした。6月9日にエジプトのポートサイドで荷降ろしし、ヨルダンのアカバに寄港する前にフーシ派の攻撃を受けています。出典:アルジャジーラ
この船はイスラエルやアメリカなどとは関係が無く、ロシアからの積み荷を運んでいたことになります。フーシ派の後ろ盾はイランであり、イランはロシアや中国と連帯しています。つまりフーシ派はうっかり間違えて味方の船を襲ったことになります。
フーシ派の攻撃目標選定の失敗による味方船への攻撃は今回だけではなく頻繁に発生しています。イランに向かうトウモロコシを積んでいた船を攻撃したり、ロシアから出荷された石油を積んでいた船を攻撃したり、中国に向かって石油を運んでいた船を攻撃したり、失敗事例が目立つようになっていました。