漸減する事故死者数…年齢階層別の交通事故死者数の実情をさぐる(2022年公開版)
警察庁は2022年3月に2021年中の交通事故の状況を精査した報告書「令和3年における交通事故の発生状況などについて」を公開した。これを基に年齢階層別の交通事故による死者数の実情を確認する。
まずは積み上げ式と個々の年齢階層の値の動きを折れ線グラフにした、年齢階層別事故死者数の推移。これは「事故発生から24時間以内に死亡した人」に限定している。また、直近年に関しては実数値のグラフも作成した。
全体数が減少の傾向を見せている一方で、紫系統色の階層にあたる高齢者(65歳以上)の部分が他の年齢階層と比べると縮み方が緩やか(=人数があまり減っていない)なように見える。高齢者人口そのものが増加しているのに加え、高齢者の対人口比交通事故死者数が高い値を示しているのが、この高齢者の減少率が緩やか、さらには増加している原因。
そこで今度はこれらの動向について、各年毎の交通事故死者数全体に占める割合でグラフにしたのが次の図。一つが棒グラフで、各年ごとに占める割合が分かりやすいように、もう一つは折れ線グラフで、各年齢層毎の割合の変化を見易くしたもの。後者のグラフでは全階層を掲載すると見難くなるため、対象年齢階層を限定して表記している。
ここ数年の傾向として、死者「数」は(最初のグラフにある通り)各年齢層で減少しているが、高齢層では減り方がおだやか、時として増加の動きすら見せるため、全体に対する比率では逆に増えてしまっている。特に80歳以上では増加の一途をたどっている。
2021年における全交通事故死者のうち65歳以上の比率は57.7%。これまでの公開データの中では最高値だった2020年における56.2%を超え、最高値を更新する形となった。この値は今後もさらに増加していくことだろう。
■関連記事:
【戦後の交通事故発生件数・負傷者・死者数をさぐる(2022年公開版)】
【60-70代の自動車運転者、4割は毎日運転・地方居住者は5割近くも】
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。