「全面的」は26.3%…老後の生活では公的年金はどれほどあてにされているのか(2024年公開版)
老後の生活において、公的年金はどれほどあてにされているのだろうか。内閣府の世論調査「生活設計と公的年金に関する世論調査」(※)の調査報告書から世間の実情を確認する。
いくつか選択肢を挙げ、回答者自身の考えにもっとも近いものを選んでもらった結果が次のグラフ。
もっとも多い考え方は「公的年金を中心とし、個人年金や貯蓄などを組み合わせる」で53.8%、次いで「全面的に公的年金に頼る」が26.3%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が11.7%。個々のお財布事情や人生設計などにより内情はさまざまだが、全体では2割ほどの人が公的年金には頼るだけの実情が備わっていないとの認識と見てよいだろう。
男女別では女性の方が公的年金への信頼度が高いように見える。「全面的」「中心」を合わせると、公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性で77.6%だが女性では82.4%となっている。
さらに年齢階層別に区切り直したのが次のグラフ。
全体としては女性の方が公的年金への信頼度が高いのだが、年齢階層別に見ても全年齢階層で男性より女性の方が高い結果が出ている。また、年上になるに連れて公的年金への信頼度が高まる感はある。具体的には、おおよそ高年齢ほど「全面的に公的年金に頼る」の値が増えていく。
ただし「高年齢ほど公的年金に頼る」傾向は、公的年金への信頼が高いからなのか、額としては満足のいかないものでも頼らざるを得ない実情を示しているのか、あるいは甘い見積もりで判断している(していた)のか、その内情までは分からない。ともあれ70歳以上の4割台は、老後の生活設計において「全面的に公的年金に頼る」と考えていたことに違いはない。
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※生活設計と年金に関する世論調査
2023年11月2日から12月10日にかけて日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を持つ男女から層化2段無作為抽出法によって選ばれた5000人に対し、郵送法によって実施されたもので、有効回答数は2833人。男女比は1336対1497、年齢階層比は18~19歳52人・20代227人・30代309人・40代400人・50代498人・60代540人・70歳以上807人。
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