【BC栃木が川﨑宗則選手との再契約を発表】

　独立リーグのBC栃木がシーズン開幕を2日後に控えた4月8日、昨シーズン途中から同チーム入りしていた川﨑宗則選手と今シーズンも契約したことを正式発表した。

　昨シーズンのBC栃木は、川﨑選手合流後に観客動員数が飛躍的に伸びるなど、“ムネリン・フィーバー”に沸いたが、今シーズンもBC栃木で3年目のシーズンを迎えることがすでに決まっていた西岡剛選手と、WBC二遊間コンビが再結成されることになった。

　今年6月に40歳を迎える川﨑選手だが、またグラウンドで元気な姿を見せてくれることになった。

【他の選手と違う川﨑選手の目標設定】

　ところで独立リーグでプレーする選手たちの目標といえば、その究極にあるのがやはりNPB入りだろう。それは若手選手だけでなく、ロッテや阪神で活躍してきた西岡選手も、同様の目標を掲げている。

　だが川﨑選手に関しては、他の選手とはちょっと違うのだ。

　2017年にソフトバンク復帰後に自律神経の病に侵され、一時野球界から身を引くことになったが、2019年に電撃的に台湾リーグに参戦することを発表し、現役復帰を果たした。

　そして昨シーズンからBC栃木入りし独立リーグに回ったわけだが、実は川﨑選手の元には、これまでもNPB数チームから入団の打診が届いていたのだ。にもかかわらず、敢えて自分からNPBと距離を置くことを選択し、野球を続けているという事実はあまり知られていないように思う。

　このことが、現在の川﨑選手を理解する上で、重要な手がかりになってくる。

【川﨑選手に「引退」の2文字は存在しない】

　独立リーグを含めプロ野球選手が引退を決意する場合、普通は「（NPBや独立リーグから）戦力外通告されたから」「NPB入り（もしくは復帰）できなかったから」など、やはりNPBが基準になってくる。

　だが現在の川﨑選手はNPBに復帰する希望はないので、他の選手のような現役引退を決意する明確な基準が存在していないのだ。つまり本人の意思次第で永遠に野球を続けることができるというわけだ。

　なので、仮に今回BC栃木入りが決まらなかったとしても、川﨑選手は野球がプレーできる場を求めて、100％練習を続けていたと断言できる。実際新型コロナウイルスのため実現しなかったものの、昨年オフも某国ウィンターリーグに参戦することを目指していたほどだ。

　場所はどこでも構わない。とにかくプレーできる場を探しながら、野球を続けていこうとしているのだ。

【新しいプロ野球選手像の追求】

　これまでのプロ野球選手の定義は、「野球で生計を立てられる」というのが基本になってくる。もちろん川﨑選手もそうだった。

　だが台湾リーグや独立リーグ、さらにはウィンターリーグに参戦したとしても、もちろんNPBほどの収入を得るのは難しく、その根本が成立しなくなってしまう。

　そこで現在の川﨑選手は、「野球を続けるために生計を立てる」という新たなプロ野球選手像を追い求めようとしている。グラウンドに足を運ぶファンの前で野球をプレーするだけではなく、野球を通じて様々な分野にまで活動の幅を広げようとしているのだ。

　その一環として今年3月からYouTubeに【宗チャンネル】を開設し、ユーチューバーとしての活動をスタート。最近は自身のトレーニングメニュー紹介やキッズ向けの野球指導の動画を公開している。今後は更に多岐にわたる動画も公開していく予定だ。

　さらに今年4月から個人会社を設立。そこを窓口にしながらいろいろな取り組みにも挑戦しようとしている。まだ構想段階の域を超えていないが、川﨑選手の頭の中には、野球界の変革に繋がりそうな興味深いプランもあるようだ。

　現在の川﨑選手からは、従来のプロ野球選手の枠を超えた可能性を感じ始めている。「野球を通じて川﨑選手と交流してみたい」「川﨑選手と一緒に何かをしてみたい」等々、興味がある方は川﨑選手の公式サイトまで問い合わせてほしい。