Yahoo!ニュース

少女時代も「家買うオンナ」。芸能人の“不動産投資”が韓国で注視されるのはなぜか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
少女時代ユナも先日、約10億円でビルを購入(写真:アフロ)

韓国芸能界で今、何かと話題になっている問題がある。芸能人の不動産投資についてだ。

大物俳優から少女時代まで

そもそも韓国には不動産投資に積極的な芸能人が多い。例えば、韓国の“元祖CMクイーン”チョン・ジヒョンは有名で、いくつも不動産を所有しており、その合計額は770億ウォン(約77億円)に上るとされている。

先日も少女時代のユナが約10億円でビルを購入したとの報道もあった。

(参考記事:少女時代ユナ、約10億円でビルを購入。「なかなか売り物件の出ない一等地」

他にもクォン・サンウ、RAIN、チャン・グンソク、ソン・スンホン、ハン・ヒョジュ、ソン・イェジンらも不動産投資に積極的な芸能人として、韓国メディアによく取り上げられる。

20代芸能人もビルオーナーに

また近年は、20代のK-POPアイドルや若手俳優が“ビルオーナー”になることも珍しいことではない。

ガールズグループmiss A出身で、女優として活躍するペ・スジもその一人だ。

2016年、スジは17億ウォン(約1億7000万円)の融資を受けて37億ウォン相当のビルを買い取ったと報じられた。ソウル江南区にある地下2階、地上5階建のビルで、毎月発生する賃貸収入は1500万ウォン(約150万円)ほどだという。

「世界で最も美しい顔100人」で58位に入り、韓国では“国民の初恋”とも呼ばれるほど清純なイメージのある彼女だが、立派なビルオーナーでもあるのだ。

(参考記事:【PHOTO】「世界で最も美しい顔100人」発表。韓国芸能界から選ばれた美女、一挙全公開!!

元KARAのク・ハラ、ハン・スンヨンらも不動産オーナーとして有名だ。日本では北川景子主演のドラマ『家売るオンナの逆襲』が始まったが、韓国では「家買うオンナ」たちが増えており、不動産投資を行う芸能人の枚挙に暇がないほどだが、なぜ今、芸能人の不動産投資が注目を集めているのか。

国民的歌手が巻き込まれた“疑惑”

きっかけは、その愛くるしさから“国民の妹”とされる歌手のIU(アイユー)に関するメディアの報道だった。要約すれば、「IUが購入した不動産の価格がGTX事業などによって大幅に上昇し、2億円ほどの差益を得た」というもの。

GTXとは、首都圏外郭からソウル都心の主要拠点を接続する広域急行鉄道のことで、現在3つの路線の建設が進められている。つまり、IUはGTX事業が行われることを事前に知っており、相場が上がることを見越して投機目的で不動産を購入したのではないかという疑いが持ち上がったのだ。

この“投機疑惑”は韓国芸能界だけでなく、韓国大統領府の国民請願で「IUが非公開情報を土台に不動産を購入したのか捜査すべき」といった声が上がるなど、社会的なイシューにもなっている。

IU側は疑惑を完全否定。不動産購入は投機目的ではなく、実際に使っているということをアピールするために、私生活をさらけ出すリスクを背負いながら建物内部の写真まで公開する事態となっている。

(参考記事:K-POP歌手IUが“不動産投機”で2億3000万円の差益!? 写真公開で全面否定

関連情報の流出は昨年9月のことで、IUが不動産を購入したのはそれに先立つ1月。さらに実家から歩いて10分の建物を購入していることから、冷静な専門家は疑惑を一蹴している。

そもそも不正に情報を得たなどの不法行為がなければ、投機目的で不動産を購入してもなんら問題ないはずだ。それでもIUを取り巻く疑惑は“炎上”している。

その背景には、「不労所得に対する社会的な葛藤がある」との見方も出ており、疑惑が事実関係を無視した感情的なレッテル貼りにならないかと心配にもなってくる。

ちなみに……。当然ながら、韓国芸能人の不動産投資は、誰もが成功しているわけではない。

例えば、ドラマ『太陽の末裔』でヒロインを務め、現在はドラマ『ボーイフレンド』で人気俳優パク・ボゴムと共演しているソン・ヘギョは、2008年にニューヨークのコンドミニアムを174万ドルで購入している。

そのコンドミニアムは立地もよく、韓国財閥も多く購入していたそうだが、「ソン・ヘギョが2016年に220万ドルで売りに出したが買い手はつかなかった」(『韓国経済』)らしい。

そういったリスクを背負い、税金も払っているだけに、不動産投資によって差益を得てもなんら問題ないはずなのだが……。

いずれにしてもIUの疑惑によって、再び注目を集めている韓国芸能人の不動産投資。今後の動向に注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事