社会人野球の公式戦で実現した、もと阪神チームメイト対決!野原選手vs阪口選手
このところウエスタンの試合結果をご紹介できなくて、すみません。その間に阪神ファームは負けが込んできました。4月30日のオリックス戦(鳴尾浜)で勝って今季初の4連勝!なんて言っていたら、そのあと広島(由宇)とソフトバンク(雁の巣、八代)の遠征6連戦で白星なし。戻ってきて8日と9日のオリックス戦(神戸サブ、東大阪)も負けてしまって、3日の広島戦での引き分けを挟んで7連敗です。
そういや昨年のゴールデンウィークも6連敗でしたし、同8月には過去24年間でワーストの9連敗があったので驚きはしないけど…なかなか勝てません。ウエスタン・リーグは9日、中日がソフトバンクに勝ったため順位が変わっています。試合のなかった広島が首位に立ち、勝率8厘差でソフトバンクが2位に落ちました。この2チーム、貯金は広島の方が多かったけど勝率で逆になっていたんですね。
そして3位・阪神と4位・中日は8日の時点で0.5ゲーム差、9日に阪神が負け中日が勝ったので逆転、と思いきや阪神の方が借金は多いのに勝率6厘差で3位をキープしました。キープと言えるのかどうか複雑ですけど。勝敗が重要ではないファームでも、そろそろ勝ってほしい。打ってほしい。私は今月まだファームの試合を見ていないので、いいかげん参戦しないと。10日は取材に行かせていただきます!
“チーム野原”の直接対決
その前に、きょうも小虎日記恒例・もと阪神の選手たちがプレーしている社会人野球の話題をお送りします。前回はカナフレックス2年目の藤井宏政選手(24)が出場した『第68回 JABAベーブルース杯大会』で、中日と対戦した様子をお伝えしました。今回は北九州市の2球場で開催中の『第68回 JABA九州大会』で、これも優勝すれば11月の『第41回 社会人野球日本選手権大会』(京セラドーム)の出場権が得られる対象大会です。
ここに、野原将志選手(27)が昨年から入部して今季はキャプテンを務めている三菱重工長崎と、社会人1年目の阪口哲也選手(22)が所属するパナソニック、さらに若竹竜士投手(27)の三菱重工神戸・高砂もエントリーされました。しかも野原選手と阪口選手は同じCブロックで直接対決あり!となれば行かなきゃダメでしょう。近畿同士ならチャンスはありますけど、九州のチームですからね。(注:チーム野原は野原選手、藤井選手、阪口選手がメンバー)
実は4月17日から倉敷市で行われた『第58回 JABA岡山大会』にも三菱重工長崎とパナソニックが出場していて、この時は違うブロックだったので決勝トーナメントに残れば対戦の可能性がありました。勝ち残ったパナソニックは優勝!でも残念ながら三菱重工長崎は決勝に進めず。という前に、野原選手は初日の大阪ガス戦で死球を受けて左手首を骨折したんですよ。本人は「手首ポッキリ」なんて言っていたけど、その後の試合も、4月末の都市対抗長崎・佐賀1次予選も欠場を余儀なくされています。
この九州大会もまだ出られませんが「たぶん一塁のベースコーチしていますよ~」と言うので、8日のパナソニックvs三菱重工長崎戦を見に北九州市民球場へ行ってきました。それと三菱重工長崎にいる江越海地(かいち)外野手は、阪神・江越大賀選手の弟さんで、少しコメントも聞いています。ではまず結果と試合経過からどうぞ。
《第68回 JABA九州大会》 5月8日
パナソニック-三菱重工長崎
(北九州市民球場)
三菱 100 320 100 =7
パナ 101 010 003 =6
◆バッテリー
【三菱】奥村(8回)-林田(1回) / 平野
【パナ】花岡(3回)-安部(1/3回)-榎本(1/3回)-鶴川(3回1/3)-四丹(2回) / 足立
◆本塁打
【三菱】堀ソロ(花岡)、ソロ(鶴川)
【パナ】井上貴3ラン(林田)
◆三塁打
【パナ】松元
◆二塁打
【三菱】堀、加治前、鶴田
【パナ】松元、井上貴
試合経過1 中盤に逆転成功
まず1回、三菱重工長崎は1番の河野が四球を選ぶも、続く鶴田のライナーをセカンド・阪口が捕って一塁へ送球。“野原コーチ”の「バック!」という声も及ばず併殺に。ところが3番・堀に先制のソロホームラン!パナソニックはその裏、2死から3番の松元が中越え三塁打を放ち、足立の死球のあと5番の三上が中前タイムリー。あっという間に同点です。
2回はともに先頭をヒットで出しながら無得点。3回は三者凡退だった三菱重工長崎に対して、パナソニックは先頭の松元が中越えの二塁打と暴投で三塁へ進み、2死後に6番・井上貴の中越えタイムリー二塁打で生還!
2対1とパナソニックがリードして迎えた4回、三菱重工長崎は2四球と富岡の右前打で1死満塁とし、続く6番・中道が押し出しの四球を選んで追いつきます。さらに7番の平野が右犠飛で勝ち越して、2死一、三塁となり次の佐々木が中前タイムリー!この回2安打で3点を取り逆転に成功です。5回にも四球と内野ゴロで1死二塁として堀の中越え二塁打と加治前の左中間二塁打、つまり3番と4番の連続タイムリー二塁打で2点を追加しました。
その裏のパナソニックは松元の右前打と三上の四球、井上貴の左前打などで1死満塁となり7番・柳田が左犠飛。なおも2死一二塁で阪口は三振です。残念…。7回にまたまた堀のソロホームランで7対3とリードを広げた三菱重工長崎。先発の奥村は8回まで投げて7安打3失点でした。パナソニックの投手は4回に3人が登板。通算4人目の鶴川が7回まで投げ、最後はベテランの四丹が2イニングで2安打無失点。
経過2 9回裏にまさかの…
7対3で迎えた9回裏、三菱重工長崎は2人目の林田が登板。私もカメラマン席からスタンドに移動し、最後の整列写真を撮ろうと構えました。ところが簡単に2死を取った林田は足立と三上に連続四球を与え、コーチがマウンドへ。そして井上貴へ1ストライクからの2球目を打たれ……これがライトスタンドに飛び込む3ラン!なんとまあ1点差になってしまったわけで、パナソニックベンチは大騒ぎです。
打席には柳田が入り、もう回ってこないだろうと思っていた8番・阪口もネクストバッタースサークルに向かいましたが、柳田は投ゴロで試合終了。三菱重工長崎が1点差で逃げ切りました。
両チームとも3番打者が3安打と貢献していますね。三菱重工長崎の堀選手は2本塁打を含む3安打3打点で3得点。パナソニックの松元選手は打点がないものの同じく3得点で、あとホームランが出ればサイクル安打でした。パナソニックは6番の井上貴選手が3安打4打点の活躍です。
見ていない時は打っています!
パナソニックの阪口哲也選手は、2回の1死一塁の場面で1つファウルのあとキッチリ犠打を決めたものの、4回は先頭でカウント2-2から二ゴロ、5回は先ほど書いたように2死一、二塁でファウル、ボール、ファウルの4球目に空振り三振。8回の第4打席は無死ランナーなしで、1球目にセーフティーバントを試みますがファウルになってしまい「あー!」という悔しそうな顔。結果はカウント2-2からの5球目を打って中飛です。でも、これはいい当たりでした。
「そうですね。最後はよかったと思いますけど。打たれへん…」と試合後にしょんぼりする阪口選手。あのセーフティはベンチの指示?ネクストにいる時、コーチから何か耳打ちされていましたよね。「いえ、あれは思いきっていって来いと言われただけです。セーフティは自分で。打たれへんから何かせんと、と思って」。なるほど。とはいえ再三いい守備を見せて併殺も2つあったし。「打てないのはいつものこと」と寂しそうにつぶやくので、私が見ていない時は打ってるね~と言ったら「ほんまですよ!」と笑います。
現にJABA岡山大会の準決勝、決勝では9番セカンドで先発出場し、2本ずつヒットを打ってパナソニックの優勝に貢献した阪口選手ですが、調子よくなってきた?と聞いたら「調子はわかりません(笑)。日替わりです」と正直な答え。それより、とにかく「優勝できたことがメッチャ嬉しいです!優勝なんて中学以来ですね」とのこと。これでパナソニックは日本選手権本大会の出場が確定しました。
8日の北九州市民球場には阪口選手のご両親も来られていたんです。「せっかく見に行くなら、阪神ですごくお世話になった野原さんにお礼を言いたいので」と、直接対決の日を選ばれたとか。聞けば野原選手の新婚宅に度々お邪魔していたそうですよ。ちょうど野原選手の奥さんとお子さんも来られていてよかったですね。帰りに小倉駅で「次は11月の京セラドームで」と言って、ご両親と別れたと阪口選手に伝えたところ「その前に東京ドームですよ!」って返事が。そうでした。都市対抗を忘れちゃいけません。
「都市対抗には間に合わせる」
野原将志選手は先ほど書いたように、JABA岡山大会初日の4月17日、死球を受けて左手首を骨折。プロと違って社会人は、ケガをしても動ける選手はベンチに入るんですね。もちろんケガの状態によりますが、今大会も野原選手はベンチにいて、攻撃の際は一塁コーチを務め、自社以外の試合はデータ用にスタンドでスコアをつけていました。ゲームが急に動くと「うわ、これパニック(笑)」と言いながら。試合前は阪口選手もスタンドに来て話ができたみたいですよ。
そして里美夫人と息子の悠成くんも観戦に訪れ、もうメロメロのパパぶりを発揮。だって可愛いですもんねえ!悠成くんはしっかりした足取りで歩くし、とっても人懐っこくて、この3月に1際になり少し顔つきは変わってきたそうですが、その前は本当にパパそっくりだったとか。カメラにいい笑顔を見せてくれるところもパパ似ですね。野球するのかなあ?体はさすがに大きいので、勝手にちょっと期待。
左手首は順調に回復していて、固定装具は既に外せたものの「まだ負荷はかけられない」と野原選手。手首を回すのも無理でバッティングはまだやっていません。「1ヶ月で骨がくっつくので、もうすぐですね。それからは早いと思いますよ。都市対抗2次予選はぶっつけ本番かな」とのこと。昨年7月、三菱重工長崎のグラウンドへお邪魔した時に開田(ひらきだ)前監督がおっしゃった「社会人の本気は都市対抗!」という言葉を思い出しました。
その都市対抗野球の長崎・佐賀1次予選は4月26日に行われ、昨年の2チームから3チームになって1チームが2次へというものですが、難なく突破。6月6日から九州2次予選が始まります。あと1ヶ月、間に合うのかな?「ギリギリ何とか。いや間に合わせないと」。キャプテンですからね。昨年夏に副キャプテンとなり、ことしはキャプテン。何か変わった?「全然違いますよ。いろいろ大変です」。野球の試合や練習以外にやらなければならないことも多く、さらに「だいだい前に出て引っ張っていくタイプじゃないし」と苦笑い。
また昨年は野原選手が初めて迎えるNPB経験者の現役選手だった三菱重工長崎ですが、ことしはもと巨人の加治前竜一外野手(30)と、もと巨人~ロッテの岸敬祐投手(28)の2人が加わりました。野原選手も「プロを経験しているし、いろんな考えを持っている人。チームにとって大きい」と言います。年上の2人、特に4番を打つ加治前選手は頼りになる存在なのでしょう。都市対抗2次予選も期待しています。
重工長崎が決勝へ進出
今回のJABA九州大会に話を戻しますと、CブロックはJX-ENEOS、パナソニック、九州三菱自動車、三菱重工長崎の4チームで、8日終了時に1勝1敗で並んでいました。ただし普通の勝ち負け、タイブレークでの勝ち負け、コールド負けによってポイントが違うため、JX-ENEOSとパナソニックは0、九州三菱自動車は-2、三菱重工長崎が1となっていたのです。よって9日のJX-ENEOS戦に勝てば三菱重工長崎の決勝トーナメント進出(各ブロックで上位1チームのみ)が決まるという状況でした。その結果はこちら。
《第68回 JABA九州大会》 5月9日
三菱重工長崎-JX-ENEOS
(北九州市立大谷球場)
JX 001 030 001 =5
三菱 002 000 301x=6
これ、かなりドキドキの展開ですねえ。野原選手に得点経過を聞きました。1点先取された直後の3回裏に河野選手の2ランで逆転。でも5回にエラーからの3連打などで3点を奪われ、4対2とリードを許します。7回裏に河野選手、鶴田選手、加治前選手のタイムリーで5対4とまたまた逆転に成功。このまま…と思いきや9回表に相手のタイムリー、土壇場で追いつかれました。しかし、その裏に佐々木選手がソロホームランを放ってサヨナラ勝ち!
これでポイント5となり、きょう10日に行われるパナソニック対九州三菱自動車の結果を待たず、Cブロック1位が確定した三菱重工長崎。11日の決勝トーナメント進出です。A~Dの各ブロック1位によるトーナメントで2つ勝てば優勝、11月の日本選手権出場が決定します。阪口選手についで、野原選手も京セラドームへ来てください!とはいえ今はまだ試合に出られない野原選手。延長タイブレークで負けた7日の九州三菱自動車戦も「もどかしくて…」と言っていました。治ったらガンガン打って、東京ドームも決めときましょう。
お兄さんによく似た江越選手
続いて三菱重工長崎の江越海地外野手(20)の話です。兄の阪神・大賀選手とは2学年違いで、海星高校から入部して3年目。「将志さんは高校の時から知っていました。実家が近いし」。確かに同じ長崎県南島原市内で、住所も近そうだなあと思っていたんですよ。お兄さんが入団した時に。「はい、車で5分くらいです」。そりゃあ近い!その将志さんはどうですか?と聞いたら「優しいです」とニッコリ。
お兄さんの大賀選手とは「マメに連絡しています。きのうもラインでやり取りしました」とのこと。どんなこと言われるの?「打てよ!しか言わないです(笑)」。答えは?「わかった、って」と苦笑いの海地選手。この8日は残念ながら3三振と一ゴロでしたから…。タイガースの試合は結構見ていると言いますが、実は巨人ファン。「でもTG戦の時は阪神を応援しています!」と即座に付け加えてくれました。
藤井選手、穴田選手も
最後に、他のもと小虎たちの近況も書いておきます。藤井宏政選手のカナフレックスは、都市対抗滋賀1次予選を突破し京滋奈予選に挑みましたが、3チームでの戦いに連敗して2チームが進める近畿2次予選には出られません。残念です。あとは9月にある日本選手権の近畿最終予選で本大会出場を目指します。
穴田真規選手が所属する和歌山箕島球友会は、4月に行われた都市対抗の大阪・和歌山1次予選を勝ち抜き(9チーム中1位)、順当に近畿2次予選へ駒を進めています。近畿2次予選は5月17日から明石や京都、大阪で開催され、ここに阪口哲也選手のパナソニックなど企業チームが参戦してくるわけで、また“てつあな対決”が見られるかもしれませんね。
また箕島は6月20日から『第40回 全日本クラブ野球選手権大会』の大阪・和歌山1次予選が始まります。ここは軽く突破、次の西近畿予選もクリアして本大会へ行くことは当然、一昨年のように本大会で優勝して日本選手権の出場も勝ち取らなければならない運命です。ことしはやってくれるでしょう。皆さんもぜひ応援してください。