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台風19号通過後の明日13日も羽田空港・成田空港は多くの便が欠航。明日の宿泊先も考える必要が出てきた

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
閑散とする羽田空港第1ターミナル(10月12日午前10時、筆者撮影)

 まもなく首都圏に台風19号が最接近し、上陸する可能性が高まってきた。羽田空港発着の国内線も一部便が発着しただけで、国内線の出発便ではソラシドエアの10時発鹿児島行き(10時31分出発)の便を最後に終日全便欠航、国際線も一部便を除き、ほぼ全便欠航となっている。羽田空港は14時より、成田空港は11時より着陸が禁止された。

 この影響は今日だけでなく、台風通過後の明日13日(日)も終日影響が出ることが確定し、明日中の移動も難しい可能性が高くなってきた。出張先や旅行先で足止めされている人は、飛行機の予約変更と共に、今晩だけでなく明日の宿泊先の手配も考えるべき状況になっている。

羽田空港発の国内線運航再開は15時頃か?

 今回の台風19号、既に台風上陸前から空の便にも大きな影響が出ているが、これまでの台風や雪などによる影響と大きく異なるのが、台風通過後の運航再開予定だ。通常の台風では台風が通過し、滑走路及び空港ターミナルの安全が確保された段階で運航再開となるが、既に12日の15時時点で国内線においてANAでは13日(日)の14時頃までに出発する全便の欠航を決めている。JALも午前中の多くの便の欠航を決めている。スカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、スターフライヤーなど羽田空港を発着する便も同様の対応となっている。今後、台風通過後に被害状況も踏まえ、欠航便が増えることが予想される。

 国際線においては、ANA・JAL共に13日(日)に羽田空港・成田空港を出発する多くの便の欠航を決めている。ANAでは成田空港発着の全便(国内線・国際線共に)の欠航を発表している。

羽田・成田の両空港で着陸制限を開始

 台風通過後を半日以上も欠航が続く理由の1つとして、国土交通省航空局による「着陸制限」がある。9月の台風15号通過時においては、空港アクセスが全て不通になっている状況にも関わらず、成田空港では滑走路が利用できたことから海外からの到着便を通常通りに着陸させたことで、ターミナル内は到着客で溢れ、その多くが当日中に都心への移動ができずに空港ターミナル内で一晩を過ごすことになったことが挙げられる。そのような経験から今回、羽田空港・成田空港では公共交通機関の計画運休に合わせて、飛行機を到着させない「着陸制限」を実施することになった。

 成田空港では11時、羽田空港では14時を最後に到着便の受け入れを停止し、着陸制限が解除されるまでは到着する飛行機(旅客便)は一切なく、明日、公共交通機関の運航が再開するまでは解除されない見込みとなっている。羽田空港に乗り入れる京浜急行は明日(13日)昼頃まで計画運休が続く可能性が高いと発表している。

JALは羽田空港発朝7時50分の便を最後に本日の国内線運航を終了した(10月12日午前9時、筆者撮影)
JALは羽田空港発朝7時50分の便を最後に本日の国内線運航を終了した(10月12日午前9時、筆者撮影)
スカイマークは午前9時35分発の福岡行きが羽田発の最終便となった(10月12日午前9時10分、筆者撮影)
スカイマークは午前9時35分発の福岡行きが羽田発の最終便となった(10月12日午前9時10分、筆者撮影)

これだけの長時間に渡る羽田空港の欠航は聞いたことはない

 基本的には鉄道に比べると倒木や停電などの影響を飛行機は受けにくいことから空港機能の復旧は早い。だが、首都圏空港である羽田空港と成田空港は多くの利用客が鉄道やバスなどの公共交通機関を利用することから、電車が動かないことには空港としての機能を果たすことができないことから、着陸制限を実施している。羽田空港と成田空港が1日半以上、完全に運航停止となり、大量欠航になったケースは航空会社の関係者に聞いても過去に聞いたことがないと話す。午前中に羽田空港で取材をしている中でも、既に多くの飛行機は安全な場所へ避難したようでスポットに駐機している飛行機は数えるばかりであった。

国際線ターミナルは午前10時半の時点では一部便の出発便があったが、外国人を中心に多くの人がソファで運航再開を待つ姿も見られた(10月12日午前10時30分、筆者撮影)
国際線ターミナルは午前10時半の時点では一部便の出発便があったが、外国人を中心に多くの人がソファで運航再開を待つ姿も見られた(10月12日午前10時30分、筆者撮影)
到着便は数便のみで人が少ない羽田空港国際線ターミナルの到着ロビー(10月12日午前11時、筆者撮影)
到着便は数便のみで人が少ない羽田空港国際線ターミナルの到着ロビー(10月12日午前11時、筆者撮影)

明日の宿泊先の手配も考える必要が出てきた

 通常であれば明日(13日)は移動できると思っている人が多いと思うが、現時点(12日15時)においても飛行機利用の場合は13日中の移動が難しい可能性が十分に考えられることから、14日にずれ込むことも考えて、代替便や宿泊先の手配をするのが望ましい。また本日も、ANAやJALに比べると、スカイマーク、ソラシドエアなどでは午前便の一部便が運航されたことから、目的地によってはANAやJAL以外の航空会社の運航状況も明日以降、確認しておくといいだろう。被害が最小限になることを願いたい。

 最新の情報は、航空会社や空港会社、鉄道会社、バス会社などのホームページで確認していただきたい。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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