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ヤクルト新垣、開幕ローテ入りへ! 新天地2年目で復活なるか

菊田康彦フリーランスライター

2015年のプロ野球もいよいよ開幕。まずは各球団とも悲喜こもごものスタートとなりましたが、開幕ローテーション最後の1枠が流動的だった東京ヤクルトスワローズの先発6番手の座に、移籍2年目の新垣渚投手が大きく前進しました。

神宮開幕を31日に控え、最寄りの地下鉄・外苑前駅も開幕仕様に
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混沌とした先発6番手争い

ヤクルトの開幕ローテについては『ベースボールチャンネル』に寄稿した「新・燕軍戦記」にも書いたとおり、開幕を前に小川泰弘、石川雅規、杉浦稔大、成瀬善久、石山泰稚の各投手の順に5番手まで確定していました。彼らに続く6番手については、今月26日のイースタン・リーグ、横浜DeNAベイスターズ戦に先発予定だった村中恭兵投手が、そのまま中6日で4月2日の阪神タイガース戦(神宮)の先発マウンドに上がるものと見ていました。

ところが村中投手はそのイースタン、DeNA戦で3回1/3を投げて11失点(自責点10)。同じく開幕ローテ候補だったオーランド・ロマン投手も翌27日のイースタン、北海道日本ハムファイターズ戦で5回を投げて4失点とピリッとせず、先発6番手の座は一気に混沌としてきました。

そして迎えた28日の日本ハム戦。今年から背番号を66に変えた新垣投手は、シーズン途中で福岡ソフトバンクホークスから移籍してきた昨年とは、見違えるようなピッチングを見せました。いくぶん抑え気味にも見えましたが、ストレートは140キロ台中盤から後半をマークし、相手の打者が差し込まれることもしばしば。四球は3つ与えたものの、昨年のように大きく制球を乱すことはなく、5回を投げて4安打、無失点でマウンドを後にしました。

最終的に誰を先発6番手で起用するかは、真中満監督ら一軍首脳陣が決めることですが、伊東昭光二軍監督はこの日の試合後、「今年の新垣はキャンプから本当に良いんで、(一軍首脳陣に)『良いから見てくれ』とずっと言っているんです。(一軍で)使ってほしいですよ」と、改めて新垣投手の状態の良さに太鼓判を押していました。

新垣は「そのつもりで頑張ります」

成本年秀二軍チーフ投手コーチ、石井弘寿二軍投手コーチや関係者に聞いても、皆が口を揃えて言うのは「今年の新垣はずっと調子が良い」ということです。石井コーチは「今いるファームのピッチャーの中では、先発としては一番(一軍に)推薦できるピッチャーじゃないですか。今日はそこまで調子は良くなかったと思うんですけど、悪くても悪いなりに考えたピッチングができるようになっている。去年(トレードで)ウチに来た時と比べたら状態には雲泥の差があります」と、昨シーズンとの違いを話してくれました。

新垣投手自身は「今日はちょっと苦しかったですけど、なんとかゼロに抑えたかなという感じです。あまりにもコントロールを気にしすぎて、変化球を入れよう入れようとしたのは、僕のスタイルにはほど遠かったです」と、この日の内容には納得していない様子ながらも、「去年とはだいぶ違って、感じも調子も良いです。自分でも楽しみですけど、僕はとりあえず自分にできることをやって、常に調子を落とさないようにすることだと思います」と、ここまでの手ごたえを口にしていました。そして、開幕ローテーション入りについて聞いてみると、返ってきたのは「そのつもりで頑張ります」という答え。順当に先発6番手に入ると、中4日での登板になりますが、この日は球数も84球に抑えており問題はなさそうです。

高校時代には春夏の甲子園を沸かせ、ダイエー、ソフトバンク時代には3年連続2ケタ勝利、最多奪三振などの実績を残しながら、ここ数年は精彩を欠いていた「松坂世代」の右腕が、新天地2年目でかつての輝きを取り戻すことができるか。故障からのカムバックを目指す由規投手や館山昌平投手もそうですが、新垣投手の復活にも期待したい今シーズンです。

※2015年3月31日加筆

最終的に6番手に抜てきされたのはロマン投手でした。31日の練習後には「一軍で投げられるのはうれしい。先発でもリリーフでも、自分のやるべきことをやるだけだ」と話してくれましたが、まずはロマン投手のピッチングに期待します。そしてシーズンのどこかで、新垣投手にもチャンスが巡ってくることを願っています。

フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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