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プレミアム「キャッシュレス」フライデーを始めるとか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 経済産業省とキャッシュレス推進協議会は13日にキャッシュレス決済の認知や利用を拡大するための施策を始めると発表した。3月29日の「プレミアムフライデー」に合わせて、プレミアム「キャッシュレス」フライデーと位置付け、キャッシュレス推進協議会に参加する各社が、「キャッシュレス決済」の周知・告知を店頭のポスターなどを通じて行うそうである。

 4月26日の「プレミアムフライデー」と4月27日からはじまる10連休を「キャッシュレスウィーク」と位置付け、各社が一斉にキャンペーンを実施するとか。キャンペーンの内容は、別途発表されるようである。

 そもそもプレミアムフライデーが浸透しているのかどうかも不透明なところ、その不透明なプレミアムフライデーを浸透させるためにもキャッシュレスを組ませてきたようである。

 経済産業省の永井武彦消費・流通政策課課長によると、現金決済インフラを維持するためにATM設置費用で4120億円、レジ締めの人件費で5000億円など、年間1兆6000億円を超えるコストが発生しているとか。キャンペーンを通じて、消費者にキャッシュレス決済のお得さを伝えるとともに、人手不足に悩む事業者の生産性向上につなげたい」とか(流通ニュースの記事より引用)。

 すでにPayPayなどが大規模なキャンペーンを行っているが、プレミアムフライデーの認知度の向上や大型連休に合わせて、経済産業省とキャッシュレス推進協議会があらたな仕掛けを行うようである。

 キャッシュレス推進協議会の福田好郎事務局長も「キャッシュレスという言葉は知られてきたが、実際に利用するところまで至らない人も多い。全国で一斉に積極的なキャンペーンを行うことで『やってみよう』と思わせることができれば」とコメントも紹介されていた(IT Media NEWS)。

 日本ではそれほどキャッシュレスの認知度は低いのであろうか。老若男女を問わず、財布のなかにはクレジットカードやコンビニ・スーパーなどで使える電子マネーカードが数枚は入っていると思われる。電車を使うためには定期などでも交通系カードを使い、駅の売店でも利用しているのではなかろうか。お年寄りも電車を使うときに切符を買うよりも交通系カードを使う機会が多いはず。

 給与所得者の給与、フリーランスの報酬、年金生活者の年金も銀行振り込みが中心のはず。その銀行口座からアマゾンなどでのネットストアーで買い物した代金がクレジット会社経由で引き落とされる。給与所得者は年金や健康保険の料金も自動的に支払っており、公共料金も引き落としで行っている人も多いはず。

 たしかに日本人の現金保有高は異常に高いとされている。消費財の購入の際の現金決済比率もそこそこ高い。災害時も意識して一定の現金保有をしていることも確かである。しかし、だからといってキャッシュレス決済が普及していないわけではない。

 災害時や停電時にも使える現金のありがたさ、現金の持つ匿名性なども知らずに意識されて、現金決済が残っている面もある。その現金決済を少しでもキャッシュレスに振り向けようとのキャンペーンのようではあるが、訪日観光客まで意識したものだとすれば、今後、日本でいったいどのようなキャッシュレス化を促進していきたいのかという具体的な姿も見えてこないのも事実である。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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