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エンジェルスの「借金ゼロだが貯金もゼロ」はシーズン15度目。このままでは今年も…

宇根夏樹ベースボール・ライター
マイク・トラウト(左)とジョー・マッドン Jul 2, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月18日の試合に敗れ、ロサンゼルス・エンジェルスの白星と黒星は、どちらも46になった。借金も貯金もゼロの勝率.500は、今シーズン15度目。これは、ア・リーグのチームのなかで最も多く、ナ・リーグを含めても、フィラデルフィア・フィリーズの16度に次ぐ。

 半分以上の試合でマイク・トラウトを欠き、5月22日の時点では借金8(19勝27敗)を背負っていたことからすると、エンジェルスは健闘している、という見方もできなくはない。

 ただ、貯金は4が最多。4月9日時点の6勝2敗と、4月12日時点の7勝3敗だ。シーズン16試合目を終えた4月21日以降は、貯金3すら一度もない。

 このままでは、今年もポストシーズンにたどり着くことはできないだろう。

 1リーグにつき、ワイルドカードが1チームから2チームに増えた2012年から、2019年までの間に、延べ80チームがポストシーズンへ進んだ(特例の昨シーズン、各地区の上位2チーム+ワイルドカード2チームがポストシーズン進出は除く)。そのうち、貯金10未満のチームは、2017年のミネソタ・ツインズしかない。この年、ツインズは貯金8の85勝77敗(勝率.525)を記録し、ワイルドカードの2番手に位置した。

 エンジェルスが貯金8で今シーズンを終えるには、ここからの70試合で39勝31敗、勝率.557を記録する必要がある。しかも、それが実現できたとしても、ポストシーズン進出の可能性は高くない。現在、ワイルドカードの2番手にいるオークランド・アスレティックスは、ここから33勝34敗、勝率.493でも、シーズン全体の貯金は10だ。試合数が偶数(162試合)なら、貯金あるいは借金も偶数になる。

 また、ワイルドカード・レースにおいて、アスレティックスとエンジェルスの間には、4チームが存在する。7番手のエンジェルスは、アスレティックスを含む5チームを追い抜かないと、ポストシーズン進出圏内の2番手に浮上できない。

筆者作成
筆者作成

 エンジェルスが最後にポストシーズンへ進んだのは、今から7年前の2014年だ。地区優勝を果たしたエンジェルスは、ディビジョン・シリーズでカンザスシティ・ロイヤルズにスウィープされた。2011年にデビューしたトラウトは、この1度しかポストシーズンを経験していない。エンジェルスがポストシーズンの試合で白星を挙げたのは、2009年が最後だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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