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オランダの議員、キラーロボット開発と使用の禁止を訴え:地元メディアで

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

オランダの国会議員で、社会自由主義政党の民主66(Democraten 66)に所属しているサリマ・ベルハジ氏が「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器の開発と使用にオランダ政府は反対して禁止すべきだと地元のオランダのテレビRTL Nieuwsで主張していた。

サリマ・ベルハジ氏は「キラーロボットは映画やSF小説の世界ではありません。現実に迫ってきています。このようなキラーロボットの登場による予期せぬ紛争を回避すべきです。戦争がだんだんとオートメーション化、自律化してきています。現在でも、まだ多くの兵器は人間の軍人による操作、コントロールが必要です。しかし多くの国ではすでに自律化されたり、自動化された兵器を開発しています。例えば、"神風ドローン(Kamikaze Drone)"と呼ばれる兵器が開発されて、何百キロも先の標的に向かって攻撃を行っています。これらのキラーロボットは、紛争においてどのような結末をもたらすか全く予期できません。キラーロボットは禁止されるべきです」と語っていた。

AI技術は軍事分野でも多く活用されており、アメリカ、ロシア、中国などでもAI技術を軍事に積極的に活用しており、兵器の自律化も進んできている。

一方で、人間の判断を介さないでAI技術を搭載した兵器自身が判断して標的に攻撃を行うことが非倫理的であると国際NGOや世界の30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用に反対を訴えている。アメリカ、ロシア、イスラエル、インド、欧州主要国も自律型殺傷兵器の開発と使用に反対していない。オランダ政府も自律型殺傷兵器の開発と使用には反対していない。オランダの国防省は、オランダ軍は兵器の完全な自律化、自動化はしないで、人間の関与が必ず入ることを主張している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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