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【ファン・ウェルメスケルケン際】 選手が所属クラブのスポンサーに。「コロナのときこそ、できること」

中田徹サッカーライター
フィテッセに勝利した直後のファン・ウェルメスケルケン際 【中田徹】

■ VVV戦で今季初アシスト

 PECズウォーレの右サイドバック、ファン・ウェルメスケルケン際は11月28日、対VVV戦(2対2)で切れ味鋭いドリブル突破からのクロスで、ようやく今季10試合目にして初アシストを記録した。

「やっとアシストがつきました(笑)。インターセプトからクロスまで、自分自身で完結できたのは自信になりました」

 VVV戦ではいい感触でシュートを打ったが、相手GKにセーブされてしまった。

「リスクを負って攻め上がっている分、僕はシュートで終わらないといけない。そこは開幕前から考えていたこと。昨シーズンよりたくさん打ってると思います。僕がシュートで(攻撃参加を)終わると、チームも勢いづきますしね」

■ 全国紙のベストイレブンに

 続く12月5日の第11節は、2位フィテッセが相手だった。「今日は体が軽かった」という際は、7分間もの長い後半のアディショナルタイムにもスタミナを切らさず、果敢なインターセプトから得意のドリブルを披露するなど、チームの2対1の勝利に貢献した。そして、全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』紙選定の週間ベストイレブンに名を連ねた。

「僕たちは3試合引き分けが続いてました。これまで良いサッカーをしていても、勝てずにいたのが、やっと勝利につながりました。これまで、チームのみんなでやってきたことが間違いではなかったという再確認になりました」

 開幕から11試合連続フル出場を続けている際に、チームの主力としての風格を帯びてきた。

■ 寿司屋を開店する際、クラブのスポンサーになる

PECズウォーレのインスタグラムよりキャプチャー
PECズウォーレのインスタグラムよりキャプチャー

 PECズウォーレ対フィテッセのハーフタイム中、ピッチサイドに『SUSHI ROKU / TAKE AWAY & BEZORGING(“デリバリー”の意)』という電光広告が表れた。実は、これは際が12月に開店する『寿司ロク』という寿司テイクアウト&デリバリー店の看板だ。

「看板、出てたんですね。試合中、すっかり忘れてました(笑)」

 寿司ロク(すなわち際本人)は、PECズウォーレのスポンサーのひとつになったのだ。際はそのきっかけをこう語る。

「サッカークラブが選手に対して給料などの形で選手をサポートすることは当然じゃないですか。でも、今はどこのチームもコロナで財政的に難しい部分があります。だから、僕たち選手たちとクラブはお互いに助けあうことを考えないといけません。そこで、僕がクラブに対してなにを還元するかというと、今回はスポンサーという形になりました。

 選手がスポンサーとして所属先のクラブをサポートするということは、これまで世界的にもおそらくなかったんじゃないでしょうか。『コロナの時期だからこそ、こういうこともできます』という僕からの新しい提案ですよね。サッカー界としても面白いことだと思います。

 お寿司屋さんが潰れないように、僕はしっかりやらないといけません。もちろん、サッカーが第一ですが、勉強やビジネスは生きていく上で必要です。昔に比べると今は『ダブルキャリア』が増えましたので、『日本国外でプレーしている選手でも(サッカーをしながらビジネスが)できますよ』という提示もしていきたいです」

 PECズウォーレはホームページやSNSに、寿司ロクとのコラボキャンペーンを紹介している。そこには「1年間分の寿司ロク食事券」「サイン入りユニホーム」「サイン入り試合使用球」「サイン入りパーカー」「お気に入り選手のビデオメッセージ」が当たるクジもある。

https://campaign.fandrive.io/campaign/#/campaign/8f84f2e8-b7ed-4322-a23d-3f632758e9e8

 プレーヤーとして脂の乗った際が、経営面でどのような手腕を見せるか、今後が楽しみである。

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

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