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降水確率予報 始まりは東京から

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
日本で初めての降水確率予報は東京から始まった(写真:アフロ)

 1980年、全国で初めて東京から始まった降水確率予報。今では9割以上の人が重視する天気予報の看板情報となった。当時は午後3時から9時までの1日1回だけ。1ミリ未満のわずかな雨だったら降水確率0%でも許される。

9割以上が重視する

「もしもし、あしたの天気を教えてください」

「・・・・・・ですが、」

「降水確率は何パーセントでしょうか?」

 天気の問い合わせで決まって聞かれるのが降水確率です。天気予報の種類はたくさんあるけれど、降水確率ほど信頼されている予報はないと思います。

 気象庁の調査でも、降水確率を重視する(やや重視するを含める)と答えた人の割合は90%を超えています。晴れや雨などの天気予報に次いでの人気ぶりに驚いてしまいます。

短期予報の要素別重視度(気象庁調べ:著者作成)
短期予報の要素別重視度(気象庁調べ:著者作成)

 そもそも初めから人気があったのでしょうか?調べてみると、当時から発表してほしいという要望が強かったようなのです。

 日本で初めての降水確率予報は1980年6月、東京から始まりました。ただ、今とは違って、毎朝にその日の降水確率(午後3時から9時まで)が発表されただけでした。当時はコンピュータで計算された予想値(ガイダンス)が24時間先までしかなく、これが限界だったのです。

降水確率予報の予報対象時間イメージ図(現在と1980年:著者作成)
降水確率予報の予報対象時間イメージ図(現在と1980年:著者作成)

 

降水確率0%でも雨は降る

 降水確率予報は1ミリ以上の雨または雪の降る確率のことです。降水確率100%と聞くと、大雨を連想するかもしれませんが、雨の強さや大雨を予想しているものではありません。

 一方、降水確率0%では雨がまったく降らないと思うでしょう。実はそうではなくて、降水確率予報は降水量1ミリ以上の雨を対象にしているため、これよりも少ない雨だったら、降水確率0%でも許されるのです。ちょっとだまされた気がしないでもないですが、ほとんどの場合、雨や雪が降らないときに使われます。

降水確率の賢い使い方

 降水確率予報はどのくらい当たっているのでしょう。

 気象庁は3か月毎に降水確率予報の検証結果を公表しています。最も新しい2017年9月から11月までの検証結果をみてみました。

 低い確率では実際に降った雨はより少なく、高い確率では実際に降った雨はより多くなっています。つまり、降水確率30%では実際に降った雨は10回に2回だった一方で、降水確率70%では実際に降った雨は10回に8回です。

 少々込み入った話ですが、降水確率が50%以下だったら傘はあまり必要なく、降水確率70%以上だったら煩わしい思っても傘を持って行った方がよさそうです。

【参考資料】

立平良三:<トピックス>「降水確率予報」の拡大と「降水短時間予報」の開始,気象年鑑1983年版

気象庁:気象情報等の利活用に関する調査結果の概要 ,平成27年3月24日

気象庁:天気予報検証結果,24時間先までの降水確率予報の精度(2017年9月~2017年11月)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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