活発な太平洋と、台風15・16号のゆくえ
先週金曜日(14日)に同時発生した台風15号と16号が、非常に強い勢力にまで発達しています。
ひまわり8号には、グアムやサイパンのあるマリアナ諸島を中心に、ほぼ左右対称に二つの台風が並んでいるのが見えます。左側の15号は、非常にタイトに雲がまとまっている一方で、右の16号はより大きな雲の塊です。
今後の台風の予想進路
来週はじめにかけて、沖縄や小笠原諸島では、台風による影響が出る可能性があります。
<15号>
明後日(金)には、非常に強い台風のままフィリピン北部に接近。その後、進路を北に変更し、台湾や沖縄地方に向かう見込みです。沖縄では、危険半円と呼ばれる、風の強い台風の部分が通過する見込みで、日曜日から来週はじめにかけて、大荒れとなる恐れがあります。
<16号>
今日(水)にも、15号よりもさらに一段階強い、猛烈な台風へと発達する見込み。そして、週末に小笠原諸島に最接近する可能性があります。動きが遅く、また比較的大きい台風でもあるので、長時間にわたって大荒れの状態が続く恐れがあります。
過去のツイン台風
さて、今年の15号・16号は、同じ日に発生し、非常に強い勢力まで発達していますが、過去に同じようなツイン台風はあったでしょうか。
今からさかのぼること、18年前。1997年10月14日に、台風23号と24号が同時に発生し、猛烈な台風にまで発達したことがあります。そのうち、23号はフィリピン北部に上陸しました。強風と大雨等の影響で、一万五千軒が全壊または半壊、そして14名が命を落としました。
この1997年というのは、奇しくも今年と同じくエルニーニョの年、しかも、史上最強のエルニーニョが発生していました。
異様に活発な北西太平洋
今年は、例年になく速いペースで、強力な台風が次々に発生しています。これらの台風を生み出した北西太平洋は、今年どれほど活発なのでしょうか。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカ海洋大気庁などは、台風一つ一つのエネルギーを、台風の風速や生存期間などから計算しています。それが「台風の累積エネルギー(Accumulated Cyclone Energy: ACE)」と呼ばれるものです。
このグラフは、ヨーロッパ中期予報センターが発表した、今年上半期のACEの累積の値です。今年の6月までに発生した台風全てのACEを足すと、なんと例年の9倍にもなったといいます。
また、コロラド州立大学のKlotzbac教授によると、今年のこれまでのACEの合計は、すでに観測史上最も高いレベルに達しているようです。いかに今年が、北西太平洋で台風のできやすい状態であるのかが分かります。
台風のこれから
今後、温暖化に伴って、より強い台風が発生する傾向にあると言われています。また、名古屋大学と気象庁気象研究所の研究では、今後、スーパー台風(最大風速67m以上)が日本にも上陸する可能性が高まることをも示唆しています。
今年の活発な台風シーズンは、これらの傾向の一端とも言えるのかもしれません。