新戦力大阪桐蔭、智弁は投打の柱が復活! 高校野球近畿大会
春の近畿大会が大津市の皇子山球場で開幕。1回戦の4試合が行われ、大阪桐蔭と智弁学園(奈良)、京都国際のセンバツ組に、智弁和歌山が勝って、準決勝に進んだ。
大阪桐蔭は新戦力2年生右腕が躍動
センバツで智弁に初戦敗退を喫した大阪桐蔭は、センバツでベンチ外だった右腕・川原嗣貴(2年=タイトル写真)が、綾羽(滋賀1位)戦の先発に起用された。188センチの長身で、先輩の藤浪晋太郎(阪神)のように、始動で左足を大きく後方にクロスさせるダイナミックなフォームから力強い球を投げ込む。6回を5安打8奪三振2失点と好投し、西谷浩一監督(51)も「丁寧によく投げた」と及第点を与えた。この近畿大会では、ダブルエースの松浦慶斗(3年)が背番号10で、関戸康介(3年)が同11。エースナンバーは、救援が専門の竹中勇登(3年)が背負う。特に投手陣の層は厚く、夏の本番まで、選手たちも気を抜けない。
攻撃では新4番が口火
攻撃面では、これまで主に6番を打っていた花田旭(3年)を4番に据え、3番だった宮下隼輔(3年)が1番。
不動の4番だった池田陵真(3年=主将)が3番という新打線で、序盤から綾羽のエース・矢野航成(3年)を攻略した。口火を切ったのが花田で、2回の先頭で登場してフェンス直撃の三塁打。ここから3点を奪うと、4回には宮下の適時打などで突き放し、7-5で逃げ切った。攻撃面では積極的な走塁が目につき、4回までに7得点したが、5回以降は無得点。西谷監督は、「もっと打たないと」と注文をつけた。次戦で当たる智弁和歌山のエース・中西聖輝(3年)との力勝負が楽しみだ。
智弁学園はエースが電話で先発志願
その大阪桐蔭に、昨秋の近畿決勝、そしてセンバツ1回戦で連勝したのが智弁学園。特にセンバツでは大阪桐蔭を返り討ちにした試合内容から、全国優勝への期待も膨らんだが、明豊(大分)の継投策に打線が不発で、8強止まりだった。センバツ後、エースの西村王雅(3年)は腰を痛め、奈良大会はベンチ外。主砲の前川右京(3年)も、豪快な当たりが影を潜め、センバツのショックが尾を引いているかと思われた。そして、昨秋近畿の1回戦で延長の大苦戦を強いられた滋賀学園(滋賀3位)とまたも当たることが決まると、西村は、小坂将商監督(43)に電話で「先発、やらせてもらえませんか」と直訴した。
エース復活の5回無失点
奈良大会では、「将来のエース候補」(小坂監督)と期待される大坪廉(2年)も台頭してきて、小坂監督は近畿大会でも先発起用を考えていたようだが、西村の心意気に打たれた。立ち上がりこそ不安定で球数も多かったが、徐々に修正し、秋に8点を奪われた相手打線を5回無失点と、復帰戦できっちり「リベンジ」した。1年秋から守ってきたエースナンバーは、センバツ後、ライバルの小畠一心(3年)に。「競い合って二人で頑張ってきた」と小畠をリスペクトしつつも、最後の夏に背番号1を譲るつもりはない。
主砲には監督から厳しい言葉
そしてもう一人。入学早々から主軸として活躍してきた前川右京(3年)も、長いスランプから抜け出せていない。センバツでは3試合でわずか2安打に終わり、明豊戦後は、ベンチ前で号泣していた。春の奈良大会後、小坂監督に呼ばれ、「野球は全員でやるものだ」と厳しい言葉で突き放された。そしてこの日は公式戦初の1番に起用されると、打ちたい気持ちを抑えて、初回に四球でチャンスメイク。先制のホームを踏むと、2打席目には適時打。そして迎えた第4打席。ファーストストライクを振り抜くと、高い放物線は右中間最深部へ。
主砲にも会心の一発で指揮官安堵
皇子山球場は、奈良の佐藤薬品スタジアム(橿原公苑球場)よりもかなり広く、近畿大会の6会場では本塁打が最も出にくいとされる。しかし、打球はフェンスを軽々と越えた。
先輩の岡本和真(巨人)に匹敵するとまで言われた前川らしい豪快な当たりで、高校通算35号となった。近畿大会では、昨秋決勝に続く2試合連続アーチ。前川は、「チームのために何ができるか。何かを変えないといけないと思っていた。1番でも『2ストライクまでは自分のスイングをしろ』と小坂監督から言われていたので、1本打てて嬉しい。結果で返したいと思っていた」とホッとした様子。小坂監督も、「打球も上がっていなかったし、悩んでいたと思う。きっかけをつかませたいと思って1番にした」と、投打の柱が復活しての快勝(15-0=6回コールド)に安堵していた。
準決勝2試合は好カード
準決勝は大阪桐蔭と、神港学園(兵庫)に1-0で勝った智弁和歌山。そして智弁学園には、立命館守山(滋賀2位)を9-1の7回コールドで破った京都国際という好カードになった。京都国際は、エース左腕の森下瑠大(2年)が最速を140キロまで伸ばしていて、7回10奪三振。智弁の強打線との対決が見ものだ。