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古巣サントリーに勝利。神戸製鋼・日和佐篤、日本代表復帰への思いは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
身長166センチ、体重72キロの31歳。(写真:つのだよしお/アフロ)

 日本最高峰ラグビートップリーグの順位決定トーナメント決勝が12月15日、東京・秩父宮ラグビー場であり、神戸製鋼が2連覇中のサントリーを55-5で下し、15季ぶりに優勝した。

 殊勲者のひとりは、スクラムハーフの日和佐篤だろう。

 持ち前のテンポよいパスさばきでスコアラッシュを支えたのに加え、防御網のカバーや接点周辺への圧力と守備面でも光った。

 昨季までサントリーに在籍していた日和佐は、日本代表としてワールドカップに2大会出場の経験を持つ。現在は代表から離れているが、2019年のワールドカップ日本大会までの復帰と同大会での活躍も期待されている。

 試合後、優勝した感想や古巣への思い、代表復帰への意欲などを聞かれた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――今日の試合への意識は。

「春からやってきたことをしっかり出そうとしました。皆、ハードワークしてくれて、いい試合になったと思います」

――昨年までいたサントリーも今年の神戸製鋼も、よくボールを動かすチームです。違いはありますか。

「違いで言えば、フォワード同士の細かいパスがサントリーに比べると(神戸製鋼の方が)多い。サントリーはひとつのパスでゲインライン(攻防の境界線)を切って、もうひとつのパスで外へ運ぶイメージ。(神戸製鋼では)もう少し、人の手を経由します。ただ、空いているスペースにアタックをしようということ(考え)は変わらないです。やり方が違うだけで、目指していることは変わらないです」

――古巣と戦い、勝った気持ちは。

「サントリーに対して特別な思いはありました。いまでも大好きなチームなので。そういうチームとやれることは嬉しいですし、自分にとっていい経験ができているなと感じました」

――チームにはスタンドオフでニュージーランド代表112キャップのダン・カーター選手らワールドクラスの選手がいます。彼らはチームにどんな影響を与えていますか。

「どの試合でもよくない時間帯はあると思うのですけど、そのよくない時間帯に方向性を示してくれたのが大きいと思います。皆をしっかりまとめ、いい方向に導けるように話してくれました」

――この1年間で、神戸製鋼はどう成長したのでしょうか。

「やろうとすることが明確。それに、春に比べるといまはいいチームになったなと思います。春は個人個人でやっていたのかな、というイメージでした。それがいまはワンチームになって、ノンメンバーの選手も試合に勝って泣いてくれたりします」

――ワンチームになるまでの過程で、何があったのでしょうか。

「ひとりひとりの意識が変わった。勝ちたい意識もつきました。チーム内の競争も激しいですし、メンバーに選ばれる、選ばれないに関係なくひとりひとりに役割があり、それを遂行できた」

――改めて、移籍の背景には日本代表復帰を目指す気持ちもあったかと思われます。現在、そちらへの思いはいかがでしょうか。

「選ばれる側なので何とも言えないですけど、自分のパフォーマンスを出そうということです。『日和佐はサントリーから移籍してあかんようになったな』というのが一番だめなことで、それはサントリーにも凄く失礼なこと。まずは自分のスタンダードを落とさないでおくことをこの1年間――まだカップ戦が残っていますけど――やってきました」

 12月17日、1月いっぱいまでの休暇が与えられる「第三次ラグビーワールドカップトレーニングスコッド」が発表された。日和佐はこの隊列には加われなかったが、同スコッドのキャンプに帯同できそうな「ナショナルデベロップメントスコッド」には名を連ねた。1月にあるトップリーグのカップ戦でも「スタンダード」を保ち、元同僚の流大ら現代表スクラムハーフにチャレンジしてゆく。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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