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アイドルたち、それぞれの「平成」から「令和」へ

碓井広義メディア文化評論家
UHB北海道文化放送での今泉佑唯さん (筆者撮影)

今泉佑唯さん、アイドルから女優へ

コメンテーターを務めている、UHB北海道文化放送の情報ワイド番組『みんテレ』で、先日、元「欅坂46」の今泉佑唯さんとご一緒しました。

今月末にUHBで放送予定の『今泉佑唯の出逢い旅 ~20歳の再出発 アイドルから女優へ~』は、今泉さんにとって「初の冠番組」であり、その告知のための生出演です。

「欅坂46」を卒業した今泉さんが、北海道を一人旅。これまで会ったことのない様々なジャンルの方たちと話をしてきたようで、素顔の20歳がそこにいる感じがしました。

番組の合間や終わった後、少し話をすることができました。先月の舞台『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』をステップに、「今後は一人の女優として、急ぎ過ぎずに進んでいきたい」と語っていたのが印象的です。

グループ活動の平成時代から、個人活動の令和時代へ。改元とほぼ重なるタイミングでの転身、応援していきたいと思います。

「けやき坂46」から「日向坂46」へ

さて、31年ぶりに元号が新しくなりました。とはいえ、「平成」が「令和」になっても、当然ですが、急に社会全体が別のものになるわけではありません。また日本国民がまるごと入れ替わったりもしません。体制もメンバーも基本的にそのままです。

しかし、これからじわじわと何かが変わっていくのではないでしょうか。それは社会の空気とか、人の気分といったものからかもしれませんが、確実に変わる。できれば良い方向に変わってほしいものだと思います。

そして平成の終わりに、アイドルグループ「けやき坂46」も「日向坂46」と名称が変わりました。ネーミングって大きいですよね。

今泉さんが在籍していた「欅坂46」が、どちらかといえば暗さや重さの比重を増しているのに対して、明るさや温かさをイメージする「日向」をもってきたあたり、なかなかの戦略ではないでしょうか。

「日向坂46」は、所属するアイドルたち、メンバーは「けやき坂46」のままですが、先行する「欅坂46」との関係から、「平仮名けやき」などと呼ばれてきたことを思えば、ぐっと存在感が増したような気がします。

そして、新曲のタイトルは「キュン」。恋が始まった時のトキメキを歌っています。

歌詞にも「こうやって人は恋に落ちるのか 始まる瞬間」とありますが、この“始まる瞬間”が与えてくれる、「生きてるなあ」という実感は何物にも代えがたいものです。

メチャカリの新作CMの映像は、ほぼ全編が「キュン」のPVです。そこにテロップとナレーションをのせただけと言ってもいい。メチャカリにとっては、なんと素晴らしいコスパ!(笑) 

でも、それでいて、しっかり目と耳に残るCMになっています。再出発の「日向坂46」にとっても有効なプロモーションでしょう。

そう言えば、平成時代には、山口真帆さんをめぐる「NGT48」の騒動などもありましたね。令和時代の開幕けと共に、アイドル界もより良い方向に変わっていって欲しいものです。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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