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デビュー以来25連勝を飾ったIBF9位のアジア系アメリカン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 IBFスーパーライト級9位、コリアン・アメリカンのブランドン・リー(22)がデビュー以来無傷の25連勝を飾った。

 24勝してKOを逃したのは2回のみというリーは、この日もノックアウトを狙っていたであろう。アジア系ファイターが米国で人気を獲得するのは難しい。だが、倒しっぷりで世界9位まで上ってきたのが、リーである。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210824-00253384

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 カリフォルニア州立大学サンベルナディーノ校で刑事司法を専攻しながら、プロボクサーとして活躍するリーの対戦相手は、29歳のプエルトリカン、ザチャリー・オチョワ。

 21勝(7KO)2敗のオチョワは、アジア系の登り竜と3回まで互角に打ち合う。左右のフックをクリーンヒットし、リーのお株を奪うシーンも見られた。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 4回以降のオチョワは「どうしても倒したい!」と、やや大振りになるリーのパンチを、ひたすら喰わないポジションを取る。ガードを高く上げ、足を使って距離を保った。とはいえ、自ら攻撃するシーンはあまり見られなかった。

 仕留め切れないリーはフラストレーションを溜めていき、更に大振りになっていく。

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 終わってみれば98-92、99-91、99-91とワンサイドで勝利を飾ったリーだが、攻撃のバリエーションに課題が残った。

 試合後、リーは言った。

 「2ラウンドくらいは五分五分だったように思いますが、7ラウンド、いや9ラウンドは僕が取ったでしょう。こんな展開になる予感はありました。もっといい試合に出来た筈なんですけどね。僕はもっと鋭いコンビネーションを持っているので。

 まぁ、いい経験になりましたよ。まずはスーパーライトの王者になり、統一してからウエルターに移ります。そして147パウンドの統一王座に就いてみせますよ」

(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey / Premier Boxing Champions

 オチョワも語った。

 「ブランドン・リーは非常にいい選手だ。とても強い。私も巧く戦ったと思うが、彼のパンチを浴びてしまった。でも、まだプライドを失ってはいない。最後の3ラウンドはプレッシャーを掛け続けた。彼は、あんな体験をしたことが無かっただろう」

 米国で生活していると、嫌でもアジア系への差別と直面する。リーが学業を疎かにせず、チャンピオンの座を目指している姿には好感が持てる。伸び盛りの22歳は、この試合の反省を次にどう生かすか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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