井上尚弥の脅威となるか 対抗王者のタパレスとは
ボクシングWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)と、WBA&IBF同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)の4団体王座統一戦が、12月の開催に向け交渉が進められている。
タパレスとは
タパレスはサウスポースタイルのボクサーで、戦績は40戦37勝(19KO)3敗。バンタム級、スーパーバンタム級で2階級制覇している。
今年4月に元統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と対戦し、2-1の判定勝利を収めベルトを獲得した。
戦前はアフマダリエフ優勢の見方が多かったが、積極的な攻めで王者を破り、番狂せを起こした。
日本選手との対戦経験も多く、元WBOアジア太平洋スーパーフライ級暫定王者の木村隼人や元日本バンタム級王者の大森将平、元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の勅使河原弘晶などに勝利している。
しかし、元IBF世界スーパーバンタム級王者の岩佐亮佑との対戦では、ダウンを奪われ敗戦を喫した。
小柄ながら手数と勢いを武器に勝ち星を上げてきたが、ダウン経験など脆さもある印象だ。
タパレスとの相性は
対戦に向けての交渉も大詰めのようで、井上も試合に向けての準備を進めているようだ。
これから本格的な調整に入っていくことになるだろう。前回対戦したフルトンより相性は良いのではないだろうか。
タパレスはサウスポーの好戦的なファイターで接近戦では回転力もある。
しかし、小柄なためリーチが長くないのと、追い足はそこまでない。一発のパンチはあるが、距離さえ取れば怖い相手ではない。
時折、死角からのかぶせ気味のロングフックを放ってくるので、そのパンチは注意したいところだ。
井上がフルトン戦でのパフォーマンスを見せれば、難敵ではないだろう。
どこまで階級を上げられるか
この試合に勝利すれば、同階級にライバルと言える相手はいなくなるだろう。
他の対戦候補として、元2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)や、元3階級制覇王者のジョンリル・カシメロ(フィリピン)、ムロジョン・アフマダリエフの名前が挙がっているが、脅威にはならない。
他にも、現WBA世界ライト級レギュラー王者のジャーボンタ・デイビス(アメリカ)や、元3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との対戦を望む声も聞かれる。
しかし、井上がライト級まで進出するとは考えにくい。おそらく2階級上のスーパーフェザー級あたりが限度だろう。
先日のインタビューで、井上はフェザー級への進出について口にしていた。
以前は公言していなかったが、フェザー級に近いフルトンに圧勝したことで、手ごたえを感じたようだ。
どこまで階級を上げられるのか未知数だが、さらに上のスーパーフェザー級でも十分に戦えるポテンシャルはあるだろう。
以前は35歳での引退を宣言していたが、最近行われたメディア向けのインタビューで「パフォーマンスが上がっているなと感じたらやめる必要はない」と話している。
スポーツ科学の発展でアスリートの選手寿命も伸びている。さらに井上はパンチをもらわないので、パンチによるダメージも少ない。そう考えると35歳を過ぎても十分にトップ戦線で戦っていけるだろう。
残りの現役生活で、どんなドラマを見せてくれるのだろうか。