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LINE LIVE一般開放!笑える顔認識スタンプ・縦長高画質でスマホ生放送の本命に

三上洋ITジャーナリスト
オヤジのきもい顔でごめんw LINE LIVEの顔認識スタンプです

LINEの生放送「LINE LIVE」が、一般ユーザーに開放されました。8月9日深夜にLINE LIVEアプリ(iPhone)がアップデートされ、一般ユーザーが自分で配信できるようになっています。顔認識の動くスタンプ、縦長高画質で一気に人気が出そうです。

芸能人だけだったLINE LIVEが、一般ユーザーでも自由に使えるように

LINE LIVEは2015年12月10日にサービスが始まっていましたが、配信できるのは芸能人や企業だけで、一般ユーザーの利用は「夏までに開放したい」とのコメントのみでした。8月9日深夜、正確には10日2時ごろのアップデートで一般ユーザーも配信できるようになっています。

8/10にLINE LIVE一般開放。新着で表示される
8/10にLINE LIVE一般開放。新着で表示される

今のところ配信できるのはiPhoneだけのようですが、Androidもアップデートで対応すると思われます。

配信方法はとても簡単で、スマホのLINE LIVEアプリでLINEアカウントを連携させるだけ。すると自分のチャンネルが作成できるので、すぐにライブ配信ができます。映像・音声ありの生放送が、自分のスマホからできるのです。

LINE LIVEアプリで自分のチャンネルを作成すれば即配信可能に
LINE LIVEアプリで自分のチャンネルを作成すれば即配信可能に

顔スタンプがめちゃくちゃ面白い

まず楽しいのは顔認識のスタンプです。顔を自動認識し、リアルタイムで追随する動くスタンプが表示されます。

LINE LIVEの顔認識動画スタンプ
LINE LIVEの顔認識動画スタンプ

LINEのキャラクター・ブラウンが自分の顔に乗ったり、メガネや猫耳が自分の顔にピッタリのサイズで表示されます。

種類も豊富で、かわいいカチューシャやリボン、ゾンビや笑えるメガネなど、多数のパターンを内蔵。すべて動くスタンプで、リボンを途中で結ぶアクションまで出てきます。

これだけでとても面白いので、配信者が夢中になりそうです。筆者はオヤジですが、オヤジにかわいい顔スタンプが出ているのを、見ている人は失笑していました(笑)。

LINE LIVEのスタンプ。顔認識でリアルタイムに追随します
LINE LIVEのスタンプ。顔認識でリアルタイムに追随します

この機能は、いま流行している自撮りアプリ・スノー(SNOW)によく似ています。流行をしっかり取り込んで、LINEならではのタッチにしているところは見事です。

縦画面で高画質。第二世代ライブメディアの本命に

LINE LIVEはスマートフォンの縦画面いっぱいに表示される生放送です。

縦画面にすることで、顔がより自然にスマートフォンの画面で見ることができます。個人配信にはピッタリのしくみと言っていいでしょう。しかもツイキャスやニコニコ生放送に比べて画質がよくて驚きました。

縦画面のスマホライブ配信。第二世代ライブメディアだ
縦画面のスマホライブ配信。第二世代ライブメディアだ

今までのライブメディア、たとえばニコニコ生放送・Ustream・ツイキャスなどは横画面(16:9)が基本でした。画面サイズ的にはテレビを踏襲したもので、筆者はこれを「第一世代ライブメディア」と呼んでいます。映像は横長というテレビの常識を、ネットに移植したものだったのですね。

それに対してLINE LIVEは縦画面で、最初からスマホで撮影・スマホで視聴することをベースに作られています。テレビの常識から離れ、スマートフォンでの配信・視聴を考えたネット世代の映像配信です。

筆者はこれを「第二世代ライブメディア」と呼んでいます。第二世代の代表格は、Twitter連携によって海外で人気のある「Periscope(ペリスコープ)」、Facebookによる「Facebook LIVE」で、いずれも縦画面のスマートフォン向けライブメディアです。日本でも「タクスタ(takusuta)」などが縦画面のものもありましたが、本格的に縦画面ライブ配信として普及するのはLINE LIVEだと言えそうです。

アウトカメラにも対応。アウトカメラでも顔スタンプが自動認識で表示される
アウトカメラにも対応。アウトカメラでも顔スタンプが自動認識で表示される

吹き出しのコメント機能、画質切り替えなど最初から機能充実

もちろんコメント機能もあります。LINEのアカウントでコメントでき、配信者・視聴者のどちらも見ることができます(コメントできるのはスマートフォンのみ。PCからは閲覧だけになる)。TwitterとFacebookの連携機能もあり、連携しておくと開始時にツイートやFacebook書き込みを行うようです(筆者が試した時には、なぜかTwitterには開始ツイートが流れませんでした)。

Twitter、Facebookと連携可能
Twitter、Facebookと連携可能

気になるアカウント名ですが、初期状態で設定しないままですと、LINEでのアカウント名が出てしまうので注意。LINEアカウント名は、本名に近いものを付けている人が多いでしょうから、そのままだと配信に出てしまいます。LINE LIVEの設定で、自分のニックネームを変更できますので、必ずLINE LIVE用のニックネームを付けておきましょう。

その他の機能としては、インスタグラム(Instagram)のようなフィルター機能もあります。「アクア」「ブライト」など色調やタッチを変更するものです。女性向けにはいいかもしれません。

LINE LIVEのフィルター機能
LINE LIVEのフィルター機能

画質はPC視聴では「360P」「480P」「720P」で切替できます。これは映像の縦サイズを決めるもので、最大の720Pならばハイビジョン並みのクオリティ。スマートフォンでどこまで配信できるかはわかりませんが、PC全画面にも耐えられる高画質を楽しむことができました。

PC視聴では解像度を3段階切り替え可能
PC視聴では解像度を3段階切り替え可能

録画は公開でき、あとからも見ることが可能です。そのほかに、コメント表示のオン・オフを画面タップで切り替えできる、ハートの連打でランキングに表示されるなどの機能も用意されていました。この辺は、芸能人や企業向けLINE LIVEの経験を生かしたもので、最初から完成度が高いことに感心しました。

まだ問題点もあるが個人ライブ配信の本命になりそう

ただし始まったばかりであり、問題点もいくつかあります。配信は一枠が30分で固定されており、ツイキャスのような延長はできません。また環境によるようですが、音ズレが発生しているとの報告もありました。タイムラグは8秒程度あります。

左右にスワイプすると別ちゃんねるが表示される機能がありますが、ちょっと触ると他のチャンネルに移ってしまうので使いにくいとの声もありました。

マイチャンネル画面。録画は自動保存される
マイチャンネル画面。録画は自動保存される

このように多少の問題点はありますが、始まったばかりにしてはトラブルが少なく、スムーズに楽しめています。LINE側が力を入れていることは間違いないでしょう。

スマートフォン向けのライブ配信は激戦区です。日本ではAbemaTV、ツイキャスことTwitCasting、ニコニコ生放送、タクスタなどがひしめきあっています。しかしLINEは元々の利用者が多いことから、スタート直後から人気が出ることは必至。顔認識リアルタイムスタンプの面白さ、縦画面で高画質であることから、一気に本命になると筆者は予想しています。

ツイキャスに大きな影響がありそう。中高校生のマナーが心配

影響があるのはスマホでの個人ライブ配信で人気のあるツイキャスかもしれません。通知機能やコメントしやすさで人気のあるツイキャスですが、LINE LIVEの手軽さ・画質はツイキャスを超えています。ツイキャス・ニコニコ生放送などで人気の配信者たちが、一気にLINE LIVEを利用するようになるかもしれません。

一つだけ気になるのは、LINE LIVEが急激に普及した場合、社会的な問題に発展する可能性です。LINEは中高校生スマホユーザーのほぼすべてが使っていますから、中高校生が顔出し配信を躊躇なくやってしまいそうです。YouTubeやVineのブームはまだ録画でしたから何とかなったものの、中高校生がライブ配信に夢中になると、トラブルが発生する可能性もありそう。この部分は、LINE運営側にも気を配っていただきたいと願うとともに、ユーザー側も慎重に扱ってほしいなと思っています。

ITジャーナリスト

セキュリティ・ネット事件・スマートフォン料金を専門とするITジャーナリスト。テレビ・ラジオ・雑誌などでの一般向け解説多数。読売オンライン「サイバー護身術」、アスキー「5分でわかる時事セキュリティ」などを連載。文教大学情報学部非常勤講師

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