井岡一翔 4階級制覇に向け「全てを懸けて必ず勝つ」 令和初の世界王者へ
WBO世界スーパーフライ級王座決定戦で、4階級制覇を目指す井岡一翔が、同級1位のアストン・パリクテ(フィリピン)と対戦する。
試合は6月19日、幕張メッセで行われる。井岡は前回の敗戦からダイレクトマッチで、4階級制覇に向けて挑戦する。
ラスベガスでの調整
井岡は、現在アメリカのラスベガスで調整を行っている。
環境を変えて、よりボクシングに集中するために、国外でトレーニングをしているようだ。
ラスベガス郊外の一軒家を借りて、大学の先輩にあたる佐々木修平トレーナーと、共同生活をしている。
家とジムとの往復でシンプルな生活は、良い環境になっているだろう。
そして、メインのトレーナーには数々の世界王者を育てた名伯楽イスマエル・サラスがついている。今回の試合での対策や、戦術面でのアドバイスなどを受けている。
ラスベガスでの、1日の始まりは朝のロードワーク。公園のランニングコースを1時間かけて10~20km走る。
午後からのジムワークでは、週2日スパーリングを行い、試合と同じ12Rのスパーリングも行っている。
私も経験があるが、試合前に集中できる環境を作ることは大切だ。トレーナーや環境を変えることで、気持ちが切り替わり、試合モードに入る事ができる。
長身のパリクテ対策
パリクテは、軽量級では大柄な選手で173cmもある。長身から繰り出す強打で、戦績は25勝(21KO)2敗1分で、KO率75%を誇る。
井岡はパリクテ対策として、実戦的なスパーリングを積んでいる。主なスパーリングパートナーは、双子の兄弟。
彼らは、東京五輪を目指すアメリカ・ナショナルチームのアマチュアボクサーだ。2人とも身長は180cmでパリクテより7cm大きい。
アマチュア選手は、プロより試合時間が短いため、攻撃のテンポが早い。
練習相手としてアマの選手は、とてもいいパートナーなる。
「仮想パリクテ」として感覚を掴むために、内容の濃い練習ができているようだ。
井岡のボクシングスタイル
井岡は、「相手のパンチをもらわずに当てる」スタイルだ。自分の攻撃と防御の間合いを心得ている。
階級を上げてからは、自分より体格が大きい選手との対戦も踏まえ、前に出るボクシングも展開している。
今回の試合でも、パリクテの「懐に入って攻撃ができるか」がポイントになるだろう。
前に出る勇気と、パンチをもらわない動きの工夫が必要だ。
背水の陣で4階級制覇にチャレンジ
今回の試合は、井岡にとって大きな意味を持つ試合になる。年末の試合、井岡は2-1の判定で敗れたが、勝ったニエテスが王座を返上した。
結果、1位のパリクテとの決定戦のチャンスが巡ってきた。
本人も「2戦連続でタイトルマッチができるってなかなかない事。もう、こういったチャンスは訪れない。ラストチャンスだと思って、人生懸けて挑む」と意気込みを語った。
この階級は、激戦の階級だ。
先日は、WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチで、1位のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)が、
王者のシーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)に再戦で雪辱を果たし、2階級制覇を達成した。
その試合を観た井岡は、「今一番やりたい相手はエストラーダ」と話している。
エストラーダにたどり着くためにも、この試合は勝たなければならない。
「全てを懸けて必ず勝つ。最後のチャンスだと思う気持ちで練習しています」と意気込みを語った。
元号が令和に変わり、8人の選手がタイトルマッチに挑んだ。
その中で唯一勝利したのは、イギリスのグラスゴーで防衛を果たした井上尚弥だけだ。
まだ、令和初の世界王者は誕生していない。今回の試合で、井岡の勝利に期待したい。
そして、その先に見据えるビッグマッチに繋げて欲しい。
日本人初の4階級制覇チャンピオンに向け、戦いに挑む。