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アストロズが第2戦に挙げたワールドシリーズ初勝利は、審判のおかげだった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
右がラズ・ディアズ(左はロビンソン・カノー)Aug 6, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 延長11回のロング・ゲームを制し、ヒューストン・アストロズがワールドシリーズ初勝利を挙げた。アストロズのワールドシリーズ出場は、これが2度目だ。最初に出場した2005年はシカゴ・ホワイトソックスにスウィープされ、今年の第1戦もロサンゼルス・ドジャースに敗れた。

 この白星に最も貢献した選手を一人挙げるなら、ジョージ・スプリンガーマーウィン・ゴンザレスだろう。スプリンガーは11回表に2ラン本塁打、ゴンザレスは9回表に同点本塁打を放った。ダブル・スイッチにより、10回裏の途中から出場したキャメロン・メイビンも、価値ある働きをした。メイビンは11回表の先頭打者として、ヒットを打って盗塁も決めた。

 ただ、選手以外にも、アストロズの勝利に「貢献」した人物がいた。その人は、アストロズのピンチが広がるのを、身体を張って防いだ。

 10回裏のことだ。ドジャースはクローザーのケン・ジャイルズから2点を奪い、同点に追いついた。さらに、場面は2死二塁。アストロズはここで、ジャイルズに代えてクリス・デベンスキーをマウンドに送った。

 デベンスキーは初球の前に、二塁へ牽制球を投げた。このボールは、ベースに入ったホゼ・アルトゥーベより背の高い野手でも捕ることができないほど、大きく逸れた。そのままであれば、ボールは外野に抜けていき、走者は三塁に進んでいたはずだ。

 だが、ボールは二塁の塁審を務めるラズ・ディアズを直撃し、跳ね返ったところをアルトゥーベが素早く拾った。このため、走者は進塁できなかった。

 デベンスキーは打者をセンターフライに討ち取り、同点のままイニングを終えた。ただ、二塁ではなく三塁に走者がいたなら――それも自分の悪送球で招いた状況であったなら、結果は違っていたかもしれない。

 この試合では、3回表にこんなプレーもあった。センターを守るクリス・テイラーがダイビング・キャッチを試みたものの、打球は手前でバウンドしてグラブの上を通り過ぎた。けれども、長打にはならなかった。ボールはテイラーがかぶるキャップのツバに当たり、レフトのジョク・ピーダーソンの方へ跳ねた。

 アストロズはこのシングル・ヒットで先制点を挙げたが、抜けていれば二、三塁になっていたと思われる場面は、一、二塁にとどまった。後続の2人が三振に倒れ、イニングは終わった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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