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iPhoneの下り速度49~89Mbpsは本当? ドコモがスマホ実効速度の計測結果を発表

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
ドコモが発表したスマートフォンの実効速度。筆者作

12月25日(金)、ドコモが総務省が定めたガイドラインに基づいて計測したスマートフォンの実効速度の結果を発表しました。実効速度とは、「一般的な利用環境で計測された通信速度」のことです。

実効速度計測結果 | エリア | NTTドコモ

計測は政令指定都市、県庁所在地(東京都特別区を含む)から各ランダムに選ばれた3都市と東京都特別区の合計10都市の1,500地点にて行われ、それぞれ通信が混雑する時間帯で計測を3回行い、その平均を値としています。

その結果、iOS(iPhone・iPad)の実効速度は下り49Mbps~89Mbps、上り14Mbps~30Mbps。Androidの実効速度は下り53Mbps~91Mbps、上り13Mbps~28Mbpsであったとのことです。

なお、KDDI(au)とソフトバンクも2015年内の公表を予定しています。

第3者調査と大きなズレ

実効速度が発表されたことは喜ばしいながらも、その数値には少し疑問を抱いてしまいます。と言うのも、これまでに第3者が調査・発表してきた数字と比べてその差が大きい印象を受けるからです。

例えば2015年9月に株式会社ICT総研が発表したスマホの通信速度実測調査によると、ドコモは東京の40地点で下り24.64Mbps、上り10.22Mbpsとドコモ発表の数値に比べて低いです(ドコモは同62.50Mbps、24.86Mbps。東京都におけるiOSのデータから平均を算出)。

2015年9月 格安スマホ&大手携帯キャリア 通信速度実測調査 | ICT総研|市場調査・マーケティングカンパニー

同じく同年9月に株式会社イードが発表したJR東日本の主要駅(乗車人数上位30駅)の全改札での通信速度実測調査(iPhone 6s)では、ドコモは下り25.47Mbps、上り8.36Mbpsとなっています。

発売直後のiPhone 6sで3キャリアの通信速度を実測調査 JR東日本 乗車人数上位30駅の全改札で測定! | 株式会社イード

そしてこちらも同じく同年9月にリーディア株式会社が発表した首都高速道路の大井PAから湾岸線を通り、都心環状線を周回するルートでの通信速度実測調査(iPhone 6s)ではドコモは下り21.6Mbpsとなっています(上りは未計測)。

iPhone6sにおける首都高速、エリア・通信速度実測調査 | リーディア株式会社 - Leadea

そのほかにも『ASCII.jp』、『RBB TODAY』、『ウレぴあ総研』などの各インターネットニュースサイトが行った計測でも、下り20~40Mbps、上り5~20Mbps前後と同じような数値が出ています(他2キャリアも同じような値)。

ドコモと第3者発表数値の比較表。筆者作
ドコモと第3者発表数値の比較表。筆者作

今までこれらの数値を見続けてきたボクのような人間からすると、ドコモの発表した数値では「ユーザーの参考にならないのではないか?」という疑念が拭えません。

ドコモの結果発表ページからは各地域の詳細な計測場所、時間をチェックできますので、今回の計測結果を参考にされたい方はこちらで自分の住む地域、よく行く場所(会社や学校など)の実効速度を調べることをオススメします。

実効速度計測結果 | エリア | NTTドコモ

ドコモによる計測結果の詳細

計測対象都市(全国10都市)

秋田市・東京23区・さいたま市・富山市・大阪市・京都市・堺市・松山市・北九州市・大分市

計測期間

2015年10月~2015年12月

実効速度集計結果

  • iOSの実効速度(下り):49Mbps~89Mbps
  • iOSの実効速度(上り):14Mbps~30Mbps
  • Androidの実効速度(下り):53Mbps~91Mbps
  • Androidの実効速度(上り):13Mbps~28Mbps
ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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