ハワイ観測史上もっとも暑い夏 背景に「ブロブ その2」
夏のハワイは、意外にも、アメリカで最も涼しい州といえます。
というのは、州別の最高気温記録を比べると、ハワイ州はアラスカ州と同じく37.8℃(1931年)で、これは50州で最も低いからです。
そんなハワイが今夏、前代未聞の熱波に襲われ、観測史上最も暑い夏を記録しました。
史上もっとも暑い夏
一体どれほど暑かったのでしょうか。(※)
例えばホノルルでは夏の92日間のうち29日も日最高気温記録を更新し、特に暑かったマウイ島のカフルイでは、観測史上最高気温記録タイとなる36.1℃を記録しました。
この暑さのためエアコンの使用が増え、7月のオアフ島の電力消費量は昨年の同時期と比べて14%上昇、また同月の一家庭の平均電気代は183ドルで、例年より30ドル高くなったそうです。
暑さの原因
なぜ今年は記録的な暑さになったのでしょうか。
通常ハワイは、比較的冷たい海水に囲まれています。ハワイの最高気温記録が全米で最も低いこと、またハリケーンの上陸が少ないのはこのためです。
しかし今年は、北東太平洋の海域で「海の熱波」が発生し、水温が異様に高くなっているのです。下の図は、今月23日(月)の海水温の平年差を表していますが、アメリカ西海岸からアラスカにかけての範囲が、平年より2℃から4℃ほど高いオレンジ色から赤色で塗られています。
またハワイ近海の海水温も約3℃も高いことが分かります。海水温は今年4月から上昇し、5月下旬からは高温状態が顕著になっているのです。
暖水の塊=ブロブ
この北東太平洋に現れる暖かい海水の塊は「ブロブ(Blob)」と呼ばれます。ブロブとは、英語で小さな塊を意味します。
今回のブロブは、過去40年間で2番目に大きな規模だと言われ、「ブロブ その2 (Blob Part Two)」とも呼ばれています。
史上最大の、言わば「ブロブ その1」は2014年から2016年にかけて発生し、この時は一部の海域で海水温が平年よりも5.5℃以上も上昇、ハワイ西部のサンゴの半数が死滅する事態となったほどでした。
このようにブロブが現れると、海の生態系に影響をもたらすことが知られています。さらに今回は、前回のブロブから再生しつつあるサンゴ礁が影響を受けることになるために、より大規模な白化現象が進む可能性も危惧されているのです。
(↑2015年に撮影されたサンゴ礁の白化現象)
※気温のデータは、Weather Undergroundと米気象局の情報を参考にしました。