雪がやんでもホワイトアウト!?立往生はなぜ発生??遭遇してしまう前に備えたいことを気象予報士が解説
今シーズン最強となっている寒波の影響で、高速道路で車の立往生が発生するなど影響が出ています。
雪は今夜(24日夜)以降、ピークを越えて徐々におさまっていく見通しではありますが、たとえ雪の降り方が弱くなったとしても、ホワイトアウトや立往生が新たに発生することがあります。
立往生はなぜ発生してしまうのか、遭遇してしまう前にやっておきたいことは何か。気象予報士が解説します。
6時間で約50センチ!除雪の限界を超え観測史上最大
大雪が予想されるとき、高速道路ではあらかじめ除雪車が配備され、計画的に除雪が進められます。
そして、持てる除雪能力を超えそうな場合はたとえ事故も何も発生していなくても通行止めを行うという判断をします。
ただ、予想を上回って積雪が急増したり、想定より早い段階で事故で動けない車が出たりすると、判断が間に合わないことも。
今回、名神高速道路で24日午前から立往生が発生した岐阜・滋賀県境に近い岐阜県関ヶ原町では、たった6時間で49センチと、観測史上最大の降雪量を記録しました。
経験したことのないレベルの大雪が立往生につながってしまったのです。
雪がやんでもホワイトアウトする理由
25日以降、雪の勢いは全国的におさまっていく見込みではありますが、危険が去るわけではありません。
というのも、吹雪によるホワイトアウトは、たとえその瞬間に雪が降っていなくても発生するからです。
どういうことかというと、そもそも吹雪というのは雪が降りながら風が吹く場合と、雪が降っていなくても積雪が風で巻き上げられて発生する場合があります。
実際に2021年には、宮城県内の高速道路で晴天下のホワイトアウトが発生し、追突などの多重事故が起きて130台以上の車が立往生した事例がありました。
特に今回は、23日からの寒波で積雪が急増したところが多く、巻き上げられやすい新雪が大量にある状態。
たとえ雪がやんだあとでも、車での移動にはホワイトアウトそして立往生の危険が伴うと考えておく必要があります。
立往生に備えて車に積んでおきたいもの
立往生に遭遇してしまった場合、命を守るために特に防ぎたいのが、一酸化炭素中毒・低体温症・エコノミークラス症候群の3つです。
それぞれの対策に必要なものは、
▼一酸化炭素中毒を防ぐために
・スコップ…マフラーが埋まらないよう掘り返す
・水を通さない手袋…くり返し雪の中で作業できる
▼低体温症を防ぐために
・カイロ…首の後ろやわきの下など太い血管を温める
・予備の上着(薄いダウンなど)…重ね着をする
▼エコノミークラス症候群を防ぐために
・飲料水…こまめに飲む
・携帯トイレ…水分補給を躊躇しないために使う
これらに加えて、可能なら雪の中で作業できる長靴や、簡単に食べられる軽食、保温シート、モバイルバッテリーがあるとより安心。
もちろんできるだけ「運転をしない」のが最善ですが、仕事や家庭の事情でどうしても移動が必要な人もいます。
国土交通省のウェブサイト「教えて!雪ナビ」や高速道路会社のHPなどで常に情報を入手しつつ、慎重に運転しましょう。
そしてもし自分自身の車が動けなくなったら(立往生の先頭になってしまったら)、すみやかに国土交通省の緊急ダイヤル「#9910」で通報しましょう。