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「Life Goes On」でBTSが伝えたいこととは? ”楽曲説明のオフィシャル資料”を読解! 

(写真:Splash/アフロ)

BTSの”Life Goes On”の快進撃が続いている。

K-POP554グループのYouTube公式MVアクセス数を調査し、週刊ランキングを発表する「K-POP RADAR」では、11月15日から21日までの統計で1位となった(ランキング詳細は本稿末尾にて)。

同曲の公開時刻が20日14時で、統計締切が21日いっぱい。つまり、わずか34時間で週間1位を獲得したのだ。「K-POP RADAR」では、公開直後からの猛烈な人気ぶりをデータで紹介した。

  • 39分で1000万ビュー
  • 24時間で6800万ビュー
  • 52時間で1億ビュー(ランキング統計終了後)

ではこの”Life Goes On”、どういった意図で作られているのか。メンバーからも20日の会見で説明があったが、ここでは「事務所側が韓国メディアに配布する、公式な曲説明資料」の紹介を。筆者自身、K-POPのショーケースを多く取材してきたがこの資料を非常に重要視している。

制作者側がどういった意図で楽曲を発表しているのか。言うまでもなく、この点が分かるからだ。ここの説明から、どんどんファンからの解釈を加えていって、”作品”が仕上がっていく。韓国語(または英語)の楽曲は、言語がはっきりとわからないからこそ、想像・妄想するのが海外K-POPファンの特権。それくらいのことを思う。今回は韓国メディアの取材仲間から入手した公式資料を紹介する。

前作よりも「悲しみ」を強調しつつ、あたたかみのある作品

資料がまず説明するのが、前作からの連続性だ。世界的にヒットした<Dynamite>に続くストーリーがあるとしている。

防弾少年団はさる8月21日、全世界に向けてのメッセージを込めた<Dynamite>で新しい挑戦に出た。予想外の新型コロナでの状況を新しい挑戦の機会とし、全世界のPOPミュージックシーンに新たな歴史を刻んだ。

明るく、スッキリとしたディスコポップに楽しい歌詞、力強いパフォーマンスが調和し、文字通り<Dynamite>な旋風を巻き起こした。

<Dynamite>が”苦しい状況だけど、お互いができることしよう。歌と踊りで自由と幸せを見つけよう”というメッセージを伝えたものだとしたら、<Life Goes On>にはここに留まらない防弾少年団の率直な心情と本音を加えた。

「予告なしに止まってしまった世界」「足跡が消された街」「見えない出口」などの歌詞は新型コロナで変わってしまった日常を生きている今の私達の心を見抜いているかのようで悲しくもある。

前作よりもより”悲しみ”に踏み込んだ作品、という意味だ。いっぽう事務所側はこの点の表現方法についても言及している。

防弾少年団は中低音の声で”日々は続いていく”というずっしりと重くとも暖かいメッセージを投げかけ、未来に向かって手を差し伸べる。

ちなみに「Life Goes On」の”Life”は、”人生”という重い言葉にも訳せるが、事務所側の資料には韓国語で「インセン(人生の韓国語読み)」ではなく、「サルム」とある。生きる、暮らすを意味する動詞「サルダ」の名詞形。「暮らし」あるいは「日々」というニュアンスだ。

該当の資料。筆者撮影
該当の資料。筆者撮影

事務所側の資料はさらに、ミュージックビデオの説明へと続いていく。

<Life Goes On>のミュージックビデオにも防弾少年団のカラーがはっきりと出ている。小さな日常を送る防弾少年団の気さくな姿から、一斉に集まり落ち着いて歌を歌う場面まで、映像全般にあたたかみが溢れている。メンバーのジョングクがミュージックビデオの監督となり、新型コロナにより直接会えない無念や恋しさをオリジナルの感性で表現した。

平凡な20代の単調ながらも平和な時間が過ぎ、これを見守る側の気持ちまでもがあたたかくなる。部屋のなかで遠くの空を眺める様子、ちりの積もった自転車、過去に公演を行ったスタジアムを車の窓から見る光景、観客のいない公演会場で歌う防弾少年団の姿などを通じ、すべてのことが止まってしまったコロナの状況が余すところなく伝えられ、胸に迫ってくる。

歌詞の内容は前回作よりも「悲しみ」に寄ったものだが、映像には「あたたかみ」を織り込んだ。その調和もポイントとして挙がっているのだ。公式MV公開後、「朝鮮日報」は映像をこう評した。

「特に過去に公演したチャムシルオリンピック競技場周辺が車の窓から通り過ぎるシーンと、ガランとした客席を背景にメンバーが歌う姿が印象深いシーンとして挙げられる」

資料は最後に、「Life Goes On」の収録されたアルバム「BE」のトラックの紹介へと続いた。ここでも制作者側の意図が説明されている。

アルバムの門を開く最初のトラックであり、タイトル曲である<Life Goes On>は感覚的なアーティスティックギターサウンドが特徴のあるオルタナティブ・ヒップホップの楽曲だ。

必死に駆け抜けた後には、立ち止まるしかなかったり、望まない状況に出くわすもの。しかし「それでも日々は続く」という慰めのメッセージを伝える曲であり、中低音の声で歌う防弾少年団の特別な魅力を感じることが出来る。誰もが共感できる正直な歌詞に防弾少年団の重みのある響きが加わり、彼らの本音がより迫ってくる。

悲しみとあたたかみの調和。これらを中低音の声やアコースティックギターサウンドで表現。こういった点が伝えたいポイントではないか。

では、「K-POP RADAR」による最新の”K-POP世界ランキング(YouTube公式MVアクセス数ランキング)”ベスト10を。

BTOB 4U,MOMOLAND,aespaの新譜がランキング入り!

10位 BLACK PINK Ice Cream(with Selena Gomez)

10,591,170 (Views 以下同)

9位 BTOB 4U Show Your Love

11,432,362

8位 BLACK PINK How You Like That

12,285,984

7位 BLACK PINK Lovesick Girls

12,319,908

6位 MOMOLAND Ready Or Not

13,276,311

5位 TWICE I CAN'T STOP ME

13,812,392

4位 TAEMIN IDEA:理想

20,239,797

3位 BTS Dynamite

28,312,953

2位 aespa Black Mamba

44,332,426

1位 BTS Life Goes On

84,045,136

ランキングへのアクセスはこちらからどうぞ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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