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久保建英とヴィニシウス。「突破者」というサイドアタッカーへの要求に応じて。

森田泰史スポーツライター
レアル・マドリー戦の久保(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

2020-21シーズンの、レアル・マドリーの陣容が気になる方は少なくないだろう。

来季、ジネディーヌ・ジダン監督が構想に含められる人数は実に37名に上る。だがトップチームの枠は25名だ。12名が「余剰戦力」となってしまう。

とりわけ、関心を集めているのが現在レンタル放出されている選手たちの去就だ。アクラフ・ハキミ(ボルシア・ドルトムント)、マルティン・ウーデゴール(レアル・ソシエダ)を筆頭に、今季評価を高めた選手が数多くいる。

そして、その一人が久保建英だ。

画像制作:Yahoo!ニュース
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久保はマジョルカで主に右ウィングとして起用されている。

久保には、サイドアタッカーとして、「突破」が要求されてきた。一方、マドリーでその役割を求められてきたのがヴィニシウス・ジュニオールだ。

■久保とヴィニシウス/共通点と相違点

久保は今季のリーガで、24試合出場(出場時間1431分)3得点2アシスト。シュート数19本、ドリブル数34回、パス本数370本、パス成功本数255本、パス成功率68%、ボールロスト数291回、デュエル数252回、タックル数26回、ボール奪取数73回という数字を残している。

ヴィニシウスは19試合出場(出場時間901分)2得点1アシストを記録。シュート数24本、ドリブル数37回、パス本数327本、パス成功本数262本、パス成功率80%、ボールロスト数167回、デュエル数149回、タックル数12回、ボール奪取数37回という数字だ。

マジョルカというスモールチーム、レアル・マドリーというビッグチームでプレーするのは、大きく異なる。リーガエスパニョーラにおいては、マドリーとバルセロナの「2強」が突出するという状況が長く続いてきた。その2チームと当たる時、対戦相手は自ずと守備の時間が長くなる。

だがマジョルカのように1部昇格を果たしたばかりのチームに対しては、対戦相手は積極的に攻撃に出てくる。それはデータにも表れている。デュエル数、タックル数、ボール奪取数では、出場時間を考慮したとしても久保がヴィニシウスを上回っている。

久保とヴィニシウス、彼らに共通点があるとすれば、今季序盤ポジションが定まらなかったことだろう。久保はマドリーのプレシーズンでインサイドハーフとしてプレーした。マジョルカ移籍後、右WG、左WG、2シャドーの一角、FW、トップ下といろいろなポジションで起用された。マジョルカのビセンテ・モレノ監督は、突如として3バックを試すなど、まさに試行錯誤をしながらチーム作りを進めていた。

ヴィニシウスはプレシーズンで右WGで試された。昨夏、移籍金1億ユーロ(約115億円)で加入したエデン・アザールが左WGのファーストチョイスになったためだ。ただ、右WGではロドリゴ・ゴエスとのポジション争いを強いられた。フリーランニングが上手く、連携力の高いロドリゴをジダン監督は重宝。最終的には、アザールの負傷があり、再びヴィニシウスが左WGで起用されるようになった。

だが先述したように、チームが変われば、役割も変化する。久保の場合、彼自身が認めている通り、適性はトップ下だ。【4-3-3】を基本システムとするチームが多いリーガでは、インサイドハーフが適したポジションになる。ただ、それでも、今季の久保の活躍を、突破が求められるサイドハーフという観点から現時点で解き明かしておくことには、一定の意味があるように思う。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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