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オートバイのあれこれ『短期間で作られた最強の空冷CB。』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は『短期間で作られた最強の空冷CB。』をテーマにお話ししようと思います。

1970年代以降、日本の二輪メーカーは世界進出を賭け、技術開発とプロモーション活動を兼ねて海外のレースへ積極参戦し始めました。

WGP(世界グランプリ)がその最たるものではあるのですが、その一方、市販車ベースのレーシングマシンで競うプロダクションレースも盛り上がりを見せており、日本メーカーはこのプロダクションレースでの使用を意識したバイク作りを行うようになります。

70年代後半に登場したカワサキの『Z1000』やスズキ『GS1000』などはその代表的な存在で、これらのモデルはプロダクションレースで大活躍していました。

▲G1978年に登場したスズキのGS1000。鈴鹿8耐などでも活躍
▲G1978年に登場したスズキのGS1000。鈴鹿8耐などでも活躍

今挙げたような1,000cc級のスポーツモデルが他社から次々と現れてくるなか、ホンダは70年代末時点ではまだリッターオーバーの市販スポーツモデルを持っておらず、この頃のプロダクションレースにも『CB900F』で臨んでいました。

▲CB750Fの海外仕様であるCB900F。先進的だったが、プロダクションレースでは勝てなかった
▲CB750Fの海外仕様であるCB900F。先進的だったが、プロダクションレースでは勝てなかった

しかし、1,000ccクラスのライバル車に900ccのエンジンで立ち向かうのはやはりパワーの面で分が悪く、900Fはレースでことごとく苦戦。

そのような状況の下、ホンダはプロダクションレースでなんとか一矢報いるため、ついにリッターオーバーの新型車の開発を決意します。

そうして生み出されたのが、『CB1100R』でした。

▲「プロダクションレースで勝つためのバイク」。これがCB1100Rだ
▲「プロダクションレースで勝つためのバイク」。これがCB1100Rだ

エンジンは、排気量1,062ccの空冷DOHC4バルブ並列4気筒を搭載。

完全新設計品ではなく、900Fのエンジンをベースに排気量を拡大(901cc→1,062cc)し、クランクシャフトやクラッチプレート等がいっそう強化されたパワーユニットでした。

ピークパワーは900Fからプラス20psの115psとなり、ライバルモデルに対する出力面でのハンデはこれにて解消されました。

フレームは、900Fと同じスチール製のダブルクレードルタイプですが、900Fが整備性に配慮した分割式だったのに対し、1100Rでは強度が優先され、分解できないワンピース構造を採用。

1100Rのフレームは完全に「割り切った仕様」だったと言えます。

鳴かず飛ばずの状況をすぐにでも脱したいという思いから、1100Rを約8ヶ月というきわめて短期間で作り上げたホンダ。

急ピッチで仕上げられたことから、正直「詰めきれていない部分」も少なくなかった1100Rでしたが、それでもそのポテンシャルはかなり高く、デビューレースでいきなりの優勝。

そしてレースでの活躍により、1100Rは販売面でも好調なセールスを記録することとなりました。

▲最終型のD型(CB1100RD)。このD型をもって、1100Rは生産が終えられた
▲最終型のD型(CB1100RD)。このD型をもって、1100Rは生産が終えられた

デビュー翌年の1982年には早くもモデルチェンジが行われてC型(1100RC)となり、このC型からは専用設計のフルカウルも装着されます。

以降83年にはさらにD型(1100RD)へと進化し、このように1100Rは年を追うごとに熟成を深めていきました。

ただ、この頃になるとホンダはすでにV4エンジンの開発に主軸をシフトしており、1100Rは『VF』シリーズへフラッグシップの座を譲る形でD型を最後に現役を退くこととなったのでした。

画像引用元:本田技研工業/スズキ

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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