米ヤフー、マイクロソフトとの提携解消か? 検索エンジン開発や他社との提携などサービス独自に強化
米ヤフーが、地域店舗情報の共有サイト「イェルプ(Yelp)」と提携すると海外メディアが報じている。ヤフーは自社の検索サービスの結果画面に、イェルプのレストランやショップに関する情報、口コミなどを掲載し、サービスの利便性を高めるという。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、これは2月7日に開催した社内会議でマリッサ・メイヤー最高経営責任者(CEO)が明らかにしたもの。今後数週間以内に新機能が導入されると同紙は伝えている。
ヤフーではメイヤーCEO指揮の下、検索サービスの強化を図っている。とりわけ利用者がスマートフォンを使って街の情報を探すことが当たり前になった昨今、イェルプのような地域情報は検索サービスにとって重要なコンテンツだという。
ヤフーは、イェルプの情報を利用することで、米マイクロソフトのサービス「ビング(Bing)」との差異化を図り、米グーグルに対抗するとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
米検索市場で後塵を拝するヤフー
米国の市場調査会社コムスコアによると、昨年12月における米国の検索件数シェアは、グーグルが67.3%でトップ。この後マイクロソフトの18.2%、ヤフーの10.8%と続いている。
また同月における検索件数はグーグルが約123億件で、前月比2%増。マイクロソフトは同1%増の約33億件。これに対しヤフーは同3%減の約20億件と、大きく後れを取っている。
そうした中、先頃ヤフーが独自の検索エンジンを開発中だと報じられた。ヤフーでは、2009年に締結した契約により、2010年からマイクロソフトの検索エンジン「ビング」を利用している。
だがウォールストリート・ジャーナルによると、2012年にグーグルから移籍したメイヤーCEOは、検索広告収入の12%をマイクロソフトに支払うというその契約内容に満足していない。
また米PCワールドの報道によると、両社の契約には、ビングに移行してからしばらくの間、ヤフーの検索広告収入が所定の水準に達しない場合、一定の収入をマイクロソフトが補償するという条項が盛り込まれていた。
しかし、その後マイクロソフトが支払った補償額は、ほぼ一貫して取り決めの水準に達しておらず、ヤフーは決算発表時に何度もそのことを説明していた。
なお昨年4月、両社はこの補償に関する取り決めを米国についてのみ1年間延長することで合意した。その契約条項の期限は今年の4月1日。ヤフーが開発しているとされる検索技術はその頃に完成する予定だという。
マイクロソフトとの10年契約、2015年に解除可能に
ヤフーとマイクロソフトの提携の契約期間は10年。かねてメイヤーCEOはこの契約の途中解約を検討していると報じられていた。PCワールドやウォールストリート・ジャーナルの別の記事によると、契約にはその中間点である2015年半ばに、双方のいずれかが解除を求めることができる規定が盛り込まれており、メイヤーCEOはこれを用いる可能性がある。
またヤフーは昨年2月にグーグルと広告事業で提携した。これによりグーグルの広告配信サービスの広告をヤフーのウェブサイトで掲載するなど、同社は広告に関して様々な施策を講じている。
ただし、その結果は今のところ業績には現れていないようだ。同社の昨年10〜12月期の決算を見ると、売上高は1年前から6%減少し、4四半期連続の減収となった。主力のディスプレイ広告の収入は同6%減、検索広告は同4%減となった。
なお今回サービス強化を図ると伝えられた検索広告の収入は同社全売上高の3分の1強を占めている。
(JBpress:2014年2月12日号に掲載)